曲の終盤にあらわれる、しつこいぐらいの念押しが
主人公の今の心のありようを物語っている。
「♪まるで全てが そう、まるで何もかも全てが 全てのことが」
メロディーの進行を捻じ曲げてまで、
しつこく、しつこく、しつこく、しつこく。
「♪うまくいっている かのように 見えるよね」
第三者の視点のように言っているけど、
ここでいう「恋人たち」はもちろん主人公とその彼氏のことだろう。
当たり前のこととして日常に発生する波風は、当然あるものの
ほんとうに順調に日々を重ねて行っているハズなのに、付きまとう不安。
順調な日々だと思っているのは、実は自分だけなのかも。と、
考えれば考えるほどに、不安のスパイラルに陥って行く。
幸せそうに見えるよね?
大丈夫そうだよね?
幸せそうだよね?
はじめのうちは「♪二人しかわからない」といっていたのに
最後になると不安に負けて「♪誰にもわからない」というところまで落ちてしまう。
イントロの、洞窟の中をさまよっているようなサウンドや
浜崎の泣きそうな鼻にかかった歌声が
余計に終わりのない底なし沼感を演出(?)している。
だけど、
だけどだよ?
はたから見て、どうみてもこの二人って幸せだよね。
幸せだからこそ、その幸せを失うことが怖くてしょうがない。
『神田川』(かぐや姫/1973年/ by)と一緒。
「♪ただ あなたのやさしさが 怖かった」
こんなにも優しくされているのは、実は何か裏があるんじゃないか。
そういう、ひねくれた意味ではもちろんない。
そして、『ら・ら・ら』(大黒摩季/1995年/ by)と似た
シチュエーションながら、もっとラブラブ期のお話。
「♪人の心 裏の裏は ただの表だったりして」
裏か表か、表か裏か。なんて変な勘ぐりに至らない、お幸せな時期のお話。
「♪今年の冬は二人して 見れるかな、過ごせるかな、言えるかな」
うわぁもう、幸せ妄想いっぱいじゃないですか。
見ようによってはものすごく贅沢な不安。
真冬にコタツでアイスを食べながら、糖分の摂り過ぎを憂いているに近い。
当人は不安で押しつぶされそうになっていようが、
ひとはこれをノロケという。
名曲・聴きドコロ★マニアックス
同時代の、宇多田ヒカルの楽曲についてもいえることだけど
浜崎の歌って、アレンジと歌唱が卑怯だよね。
いえ決して悪い意味ではなく*2。
決して表題曲のことを言うわけではないのだけども、
ぱっとしない楽曲でさえ、アレンジや歌唱のテクニックで
ヒットソングに押し上げてしまう。
だから正直悩むのよ。どの曲を採り上げたらよいのか。
20世紀の浜崎あゆみの曲で一番売れたのは
『Seasons』(2000年/ by)らしいんだけど
それが一番かといえば、今ひとつピンと来ないというか。
売れた曲といい曲が合致しないというのではなく、
どれも同じような高めの水準を保っているせいで、突出したものがなく、
あとは聴き手の好みとその時々の心境や、置かれている状況によってしまうのだ。
そんなわけで結果的に自分の最も好みの歌を選ばせていただいた。悪しからず。
こういうのも「ぜいたくな悩み」、なんだろうけど、
まとめて聴くとメリハリがないとつまらなく感じてしまうのは
自分がひねくれているせいなんだろうな。
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
appears
日本語で、~のように見える。の意。まんまですね。
まんまだけど、歌詞に1回も登場しないからタイトルと歌が全然結びつかない。
「恋人たちはとても幸せそうに」の歌、といった方が通りが良いのが困りモノ。
それでも去年は離れていたよ
ここの部分が非常に難解。
前の歌詞が「白く輝く雪がとても大好きで」なので、
文脈からすると、「大好きだけれど離れていた」のは「雪」になる。
去年は雪を見に行けなかったけど、今年は二人で行こうね!
なんていう無理解釈はできなくもないが、全体の流れからするとあまりにも唐突過ぎる。
離れていたのはやはり彼氏だろう。
理由は不明だが、去年は一緒に過ごせなかったクリスマスを
今年は過ごしたいと願う一文であることは間違いない。
薬指に光った指輪
「恋人たち」なので、薬指の指環の意味するのが「結婚指輪」でないことは確か。
かなりピュアな付き合い方をしているように見受けられるので、
結婚指輪をしている同士の指輪→不倫の恋ということでもないだろう。
普通に考えて婚約指輪か。これは現実の指輪と考える必要はなく、
愛の誓いを「薬指の指輪」に例えていると考えてもよい。
お互い、何度も愛の約束を破ろうかと思ってきた。
これはそのたびに乗り越えてきたことの証明である。
ひょっとしてひょっとすると、マリッジブルーの歌なのか?この歌は?
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