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日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100曲を紹介

『お富さん』 春日八郎 ~ 意外や意外にヤクザな物語

「♪死んだハズだよ お富さん」

元ネタは歌舞伎*1らしい、と知ったのは最近のこと。

 

人の女に手を出したチンピラが、女ともども半殺しの目にあって、

自分だけ生き延びていたと思っていた。

 

しばらくのち、

当の女は誰かに囲われていていい暮らしをしていたことを知り、

てめえだけがいい目見やがって、と男は女をユスりにかかる。

 

そんな話らしい。

歌の歌詞も確かにそうなっている。

・・・マジ?

 

ところが、

 

どういうわけか、

 

そんなヤクザなドロドロした歌詞に、

何を思ったか、こんな

「♪パ パン が パン」ってな調子の手拍子をあしらった

軽快な曲を乗せてしまったものだからさあ大変。

 

元が歌舞伎なせいで、小難しい意味不明な言葉が多く、

それを聞き流して、わかる部分だけをつなげていくと

こんな物語が出来上がってしまう

 

お富サン Re:Birth(黄泉返り) が 突如出現、

これにはお釈迦様もびっくりだ。

 

過ぎた昔(死んだこと?)を、恨んだり、愚痴ったり。

まあまあ とりあえず飲みなよ。お富サン。

 

何だか話が弾んじゃって

夜が明けたら ついてくるんだけど・・・

どうしたものかね お富サン。

 

・・・主人公、取り憑かれたのか?

 

 

軽快な音楽と、勘違いから生まれた「不条理さ」のギャップから

大ヒットした『お富さん』

今後も聴いた人たちを、次々と煙に巻いていくのだろう。

 

 

 

名曲・聴きドコロ★マニアックス

リズムに乗って「♪おットミ さん~」とは歌わずに

「♪おトォーミ さん~」、

のように2音目を前のめりに歌っているところが非常に高ポイント。

この効果で、単純になりがちなメロディーが転化して

聴きごたえのある曲になっている。気づいてた?

 

意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

「粋な黒塀 見越しの松に」

漢字で書けば解説はほとんどいらない。しゃれた黒い塀越しに見える、松の木のそばに の意。

 

「源氏店」(げんやだな)

地名。固有名詞なので特にこれ自体に意味を求める必要はない*2。「店」を「たな」と読むのは、今でも大店(おおだな)などの言葉に残っている。

 

「切られの与三」

主人公のあだ名。本名与三郎。半殺しの目にあい、傷だらけの迫力のある姿になったため、ハッタリのきいた(切られ、というのは不名誉な名のような気もするが)なあだ名を得た。

 

「これで一分(いちぶ)じゃ」

ここでいう一分はお金のこと。当時の貨幣単位で、一文、一分、一両などがある。一文無しとか、千両役者とか、ほかの単位は今でも言葉として残っているが、分は、今では五分五分のように、割合のほうの単位しか残っていないのでピンと来ない。

現代の感覚の設定に置き換えると、お富さんは1万円札を差し出して、昔の男に帰ってもらうように仕向けたが、主人公は「これっぽっちじゃ帰れねえな」と言っているわけ。

 

amazonで現在入手可能な収録CD 2曲目/試聴可能
特選:歌カラ1000 春日八郎 別れの一本杉/お富さん

特選:歌カラ1000 春日八郎 別れの一本杉/お富さん

 

 

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作詞 山崎正、作曲 渡久地政信、編曲 高田弘

1954年(昭和29年)8月、キングレコードより発売

 

歌詞はうたまっぷ

春日八郎/歌詞:お富さん/うたまっぷ歌詞無料検索

 

曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい

お富さん - Wikipedia

 

脚注

*1:与話情浮名横櫛という演目らしい

*2:細かく言うと、実際の地名と漢字を変えているらしいが、この配慮は歌舞伎での上演の都合によるもの