日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見による日本100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『恋のバカンス』 ザ・ピーナッツ ~ ジャパン・ポップス、バラ色の幕開け

洋楽ポップスのカバーを中心に活躍してきた
双子のデュオ*1ザ・ピーナッツ
やがてぽつぽつと出し始めたオリジナルソングが、この曲で大ヒットに至った。

洋楽メインでやってきたグループが、オリジナルソングでヒットを飛ばすのは
後のブリリアント・グリーンみたいな感じだと思うが、
ちょっとイメージちがうかな?


どちらが主旋律ともとらえきれないツインボーカルは、
声質こそ旧態依然とした「歌謡」の雰囲気を漂わせているものの、
曲全体をつつむ雰囲気が、新たな時代の音楽を予感させるものとなった。

恋のバカンス (MEG-CD)
シングルジャケット/amazonより
 
  • 作詞 岩谷時子、作曲・編曲 宮川泰
  • 1963年(昭和38年)3月、キングレコードより発売
  • 歌詞はうたまっぷへ:恋のバカンス ザ・ピーナッツ 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:恋のバカンス (曲) - Wikipedia

  • ふたりのボーカルのほかは、
    ウッドベースと、エレキギターと、ドラムスと、ブラスアンサンブル。
    最低限の編成とも思える、それらの要素*2が奏でる、軽快なリズム。

    作・編曲の宮川泰は、のちには
    宇宙戦艦ヤマト』(ささきいさお/1974年/ by )や、
    紅白歌合戦フィナーレの『蛍の光』における指揮をはじめとする、
    雄壮なクラシック系のイメージが強くなるが、
    むしろ、表題曲をはじめとする、ピーナッツと組んで発表した曲の数々や
    『ズームイン!朝』メインテーマ( by /1979年)のような、
    底抜けに明るく軽快な曲にこそ、らしさがあると思う。


    そして、開放的な歌詞。
    「♪裸で恋をしよう 人魚のように」

    文字にすると結構直接的でいやらしい歌詞だが、
    開放的でカラッと明るい曲調が
    むしろ、隠すことなく潔い、さっぱりとした健全な恋に印象を転化させている。

    プラトニックで牧歌的な恋物語ではなく、
    大人のいやらしさを感じるドロドロした愛憎物語でもなく。
    あっけらかんとした、若者の憧れの混じったラブストーリー。

    J-POPの歴史は、まさにここから始まったといっても、過言ではないと思う。


    さぁ、いよいよ
    日本のポップスの幕開けだ!


    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    バラ色
    バラ色という言葉は、そもそも色彩を表す言葉ではない。
    文字通りの薔薇の色、主に薄紅や桃色系の色を指すとする解説が多いが
    薔薇のように、色とりどりの花が存在する花を指して、色名とするには
    各々が思い浮かべる色が違いすぎて、はっきり言って不適切と言わざるを得ない。

    ここでいう「色」は、カラーではなく雰囲気。
    「敗色」とか、「反省の色」とか、「色めく」という、
    特定の色彩ではなく、状況をあらわすイメージを表現する語だ。
    バラ色とは、「輝かしく明るいイメージの表現」と言えばいいだろうか。


    バカンス
    フランス語で「休暇」のこと。英語でいうとVACATION(バケーション)。
    同名の歌*3のおかげで辞書を引かなくても綴りがわかる。♪楽しいな



    現在入手可能な音源
    ライブはもう見ることができないので、映像をどうぞ


    www.youtube.com


    脚注

    *1:【デュオ】2人組の意。二人で歌う歌はデュエット。「コンビ」という言い方の方がなじみが深いが、それは和製英語なので、英語と間違えて使用しないように注意。
    ちなみに3人組はトリオ、4人でカルテット、5人でクインテット。グループ名では、てんぷくトリオ玉川カルテットなどお笑い系でときどき見かける(どちらも古い)が、デュオとかコンビがつくグループは見かけないな。ビューティー・ペア(これも古い)がそれに近いか。クインテットは、、、大好きなゲームメーカーだったのにな。・・・脱線が過ぎる。

    *2:【最低限の編成とも思える、それらの要素】実際は、プラス男性コーラスが入っているが、個人的にはこれが邪魔だと思う。

    *3:【VACATION】弘田三枝子の1962年のカバー byが知られている。オリジナルはコニーフランシス by