日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見による日本100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『恋のフーガ』 ザ・ピーナッツ ~ 突き刺さるイントロに、ふとゴジラの面影をみる

突然の大音量にびっくりする。

今の言葉で言うと、「オーケストラヒット」*1に相当する音だろうが
そんな言葉もない当時にしてみれば、相当センセーショナルな音だったに違いない。

その鋭角的な2音からなる衝撃音と、
入れ替わり現れるティンパニーソロとの
繰り返しによるイントロが特徴的というよりは、異様とも言えて印象的。

このアレンジは、ピーナッツといえばこの人、宮川泰によるもので、
コンサートやレコードの冒頭で度肝を抜くにはまさにもってこいだ。
現代においてもその存在感に圧倒される。

あまりにも攻撃的な音なため
まるで怪獣映画の曲のような印象を持ってしまう。
ピーナッツが映画「モスラ対ゴジラ」に出演*2していたための
先入観からくる錯覚かもしれない。


シングルジャケット/amazonより
 
  • 作詞 なかにし礼、作曲 すぎやまこういち、編曲 宮川泰
  • 1967年(昭和42年)8月10日、キングレコードより発売
  • 歌詞はうたまっぷへ:恋のフーガ ザ・ピーナッツ 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:恋のフーガ - Wikipedia

  • そういえば、この曲を作曲したすぎやまこういち*3は、
    時代を下った1989年に「ゴジラビオランテ*4で音楽を担当していた。
    しかし、前述したようにこの印象的なイントロを作ったのは編曲の宮川のようなので、
    まあ、やっぱりゴジラとは関係ないのだろう(当たり前だ)。


    歌詞の内容はというと、いっとき限りの恋。
    切ない情景であるはずなのだが、
    このアレンジのおかげで
    まるで大失恋劇のようになってしまったではないか。


    ・・・そんなことに思いをめぐらしている間に、
    「♪パヤ パヤパヤ」といいながら、
    あっという間にフェードアウト、終了してしまう。
    ついつい物足りなさを覚えて、リピート再生してしまうのだった。

     

    名曲・聴きドコロ★マニアックス

    「♪ 追いかけ↓ぇて 追いかけ↓ぇて」
    「♪あの人↓ぉが 逃げて行↓ぅく」
    と、言葉の本来の発音とは無関係なポルタメント*5が印象的。
    こういう、言葉のアクセントと、メロディーのアクセントが異なるのは
    当時としては結構斬新だったものと思う。
    現代の視点で見ても結構印象的に聴こえるくらいだから、当時としてはなおさらだっただろう

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    フーガ
    音楽の形式のひとつ。フーガといえば、バッハの『小フーガ・ト短調 byが有名。というかそれしか知らない。これはパイプオルガンといえば・・の代表曲。
    ところで、この「恋のフーガ」ってば、これもフーガなのかな?恋の××シリーズの一つとして、言葉の響きをメインに選んだのだろう。
    海堂尊の小説「チームバチスタの栄光」シリーズみたいなノリ*6だと思われる

    現在入手可能な音源


    ライブはもう見ることができないので、映像をどうぞ


    www.youtube.com

    脚注

    *1:【オーケストラヒット】General MIDI でいうと56番。印象的な重厚な鋭角音で、80年代のテクノ・ダンス系の曲で多用された。

    *2:【ピーナッツが映画「モスラ対ゴジラ」に出演】「♪モスラーやモスラ~」の『モスラの歌』(1961年/ by)でおなじみ。
    ちなみにゴジラ映画のタイトル「○○対××」は、先に来る○○が勝者になるという法則がある。

    *3:すぎやまこういち】当時、フジテレビの音楽ディレクターを経て作曲家として活躍。今ではゲーム、ドラゴンクエストの作曲家としておなじみ。
    ピーナッツのデビュー当時当時、音楽番組「ザ・ヒットパレード」を担当していたのがすぎやまで、レギュラー出演していたピーナッツと、その育ての親ともいえる宮川、という図式から表題曲が成り立っているのがわかる。

    *4:ゴジラビオランテ】要するにこちらではゴジラの勝ち

    *5:ポルタメント】弦楽器などで音を滑らかにつなぐことだが、歌唱でもこの表現で合っているのかどうか…よくわからん

    *6:【「チームバチスタの栄光」シリーズみたいなノリ】「ナイチンゲールの沈黙」「ジェネラルルージュの凱旋」「イノセントゲリラの祝祭」・・・と、カタカナ語+2字熟語で形成されるシリーズ小説