それにしても、なんて美しい曲だろう。
印象的な前奏から、一抹の寂しさを伴って胸にしみてくる。
『想い出の渚』(ザ・ワイルド・ワンズ/1966年/ by)の稿でふれたように、
夏のうたがノスタルジィ*1であるのならば、
秋のうたはというと、ロンリネス*2だろうか。
同じ回想でも、秋の歌は懐かしさよりも寂しさが先立つような気がする。
主人公は、目かくし鬼さんの遊びに参加しているのではなく
窓越しに聞こえてくる音を頼りに、秋の情景を見ているようだ。
病床にでもあるのだろうか、
おもわず物語「最後の一葉」(オー・ヘンリー)のワンシーン*3を思い浮かべてしまう。
ジャケット/ネット上での拾い物(いけません)
元々は、NHKの番組企画の童謡として作られた歌だそうだが、
その数年後にボニー・ジャックスが歌ってヒット。
『赤とんぼ』( by)や『夕焼け小焼け』( by)のような
戦前からの唱歌に混ざって、秋のうたの代表曲のひとつとなった。
物寂しげな前奏から、効果的な繰り返しの歌詞をへて
こころ寂しくも美しいサビに突入する。
「♪お部屋は北向き曇りのガラス うつろな目の色溶かしたミルク」
病棟では、硝子だけでなく、目の色もうつろに曇りがちだ。
そんな病室に、そとで遊ぶ子供たちの声がかすかに聞こえてくる。
見える景色はわずかだが、風音や鳥の声、
古ぼけた風見鶏に引っかかった、たった一枚の葉に
主人公は、かすかに季節の手がかりを見い出している。
病室で季節の変わり目を見るということは、
ひと月やふた月の療養生活ではないのだろう。
ん、沁みるね。
名曲・聴きドコロ★マニアックス
同じフレーズの繰り返しの多いこの歌、
「♪誰かさんが・・・」は音程もまったく同じなので
それぞれ少しずつ歌い方を変えないと、
レコード針が飛んでいるようになってしまう。
その気になればこの部分をエンドレスにして
ギャグにすることも可能。
次に来る「♪ちいさい秋・・・」は同じようでいて
微妙に音程がかわっていく。
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
めかくし鬼さん
鬼ごっこのひとつ。元が子供の遊びなので公式の競技規則はないが、「鬼さんコチラ、手の鳴る方へ」と手を叩きながら四方へ後ずさりする。目隠しした鬼にタッチされたら負け。
逃げる側は、走ったり遠くへ行ったら反則だが、相手が目隠ししていることをいいことに、結構卑怯なふるまいをするため、一つ間違えたらいじめのようになりかねない。鬼は年長者などの強めの者がやるのが、遊びが成立するコツ。
入日色(いりひいろ)
上記のように漢字で書いてしまえば、解説はたちまち不要となる。夕焼けの色。
現在入手可能な音源
やっぱ生で聴きたい人は、ライブ・イベント情報&チケット
※該当曲を聴ける保証はありません。