日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『木綿のハンカチーフ』 太田裕美 ~ 天然悪女の男いじめうた

すべて女が悪いと思う。

 

新社会人として、意気揚々と都会へ旅立っていった男と、

故郷にひとり残された恋人の、

文通形式のこの曲*1を聴くたびにそう思う。

 

 

しかし一般世間の反応を見ると

どうも解釈が違うらしい。

 

都会にもまれて、変わっていく男、

そして男は故郷を捨て、

恋人に別れを告げる曲だと。

 

女は、最後にひとつ願い事を告げて、

別れを受け容れる。

「♪涙ふく 木綿の ハンカチーフください」

いじらしいじゃないの。

 

 

木綿のハンカチーフ[EPレコード 7inch]
シングルジャケット/amazonより
木綿のハンカチーフ

木綿のハンカチーフ

  • 太田 裕美
  • J-Pop
  • ¥250
 
  • 作詞 松本隆、作曲 筒美京平、編曲 萩田光雄
  • 1975年(昭和50年)12月21日、CBSソニーより発売
  • オリコン最高位2位(年間4位/1976年)
  • 歌詞はうたまっぷへ:木綿のハンカチーフ 太田裕美 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:木綿のハンカチーフ - Wikipedia
  •  

     

    いや待て、と言いたい。

    そうなる原因は女にあるだろうと。

     

    順に歌詞を見ていこう。

     

    男「♪恋人よ 僕は旅立つ … 華やいだ街で 君への贈り物探すつもりさ」

    女「♪いいえ、あなた … 都会の絵の具に 染まらないで帰って」

     

    男「♪恋人よ … 都会ではやりの指輪を贈るよ 君に似合うはずさ」

    女「♪いいえ、星のダイヤも 海に眠る真珠も …」

     

    男「♪恋人よ … 見間違うような スーツ着た僕の写真を見てくれ」

    女「♪いいえ、草に寝転ぶ あなたが好きだったの …」

     

     

    常に「いいえ」で返すんじゃねーよ、このヤロー*2

     

     

    男は、街に働きに出て、夢を追いかける姿を

    応援してほしいんじゃないのか?

    得意になっている手紙の返事が、

    前のほうが良かった、では、本当にいたたまれないではないか。

     

     

    この反応が嫌になったのだろう。

    すべて自分が悪い、ということにして

    男が別れを切り出す。

     

    女は憐れみを誘うように、

    今まで何も欲しいとは言わなかったけれど、

    最後に、涙をぬぐうハンカチを買ってほしい、

    と言い出す始末。

     

    男を悪者にして、関係を締めくくる、

    おそらくこいつは天然悪女。

    無意識的に、自分を絶対優位に持っていく性悪な女*3

     

    こいつがすべて悪いと思うのだ。

     

     

     

     

    名曲・聴きドコロ★マニアックス

    透き通るような太田裕美の歌唱がポイント。

     

    この声は意外に好き嫌いがはっきり分かれて、

    このコケティッシュな声がたまらない、という御仁*4

    クセがなくてつまらない、という御仁の二手に分かれる。*5

     

    男パートと女パートの歌いわけを、

    ダブルトラック*6の有無で行っているが、

    あまりにも声が透き通りすぎていて、

    ダブルトラックの部分とそうでない部分の差が

    いま一つ出ていない。

     

     

    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    「都会の絵の具に染まる」

    説明するまでもないかもしれないが、都会に感化される、の意味。

    地方出身者が東京に出て東京弁を粋がってしゃべることなどに現れる。

     

    木綿のハンカチーフ

    木綿は今風の言葉でいうとコットン。

    ハンカチーフはハンカチ。

    あえて、高級なイメージのあるシルクではなく、

    庶民的なイメージの木綿のハンカチを選ぶところにも、

    ちょっと作為的なものを感じてしまう。

     

     

     

    amazonで現在入手可能な収録CD 2曲目/視聴可能 

    DREAM PRICE 1000 太田裕美 木綿のハンカチーフ

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    脚注

    *1:言ってみれば、ひとりデュエット。

    *2:イヤ、野郎じゃないか。「このアマ」とするべきかもしれないが、この言葉は使うのは、ちょっと情けなくて恥ずかしい

    *3:無意識な分余計にたちが悪い

    *4:友人に、高音は太田裕美!、低音はカレン・カーペンター! と声高らかに主張する男がいる

    *5:そういう自分は後者の方だったりするのは内緒

    *6:本人による多重録音。同じメロディーを重ねて歌うが、微妙に揺らぎの差が出て声に厚みが出る