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日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100曲を紹介

『なごり雪』 イルカ ~ 巣立つ娘の父親の視点に立ってみる

1971~1975

本当に恋人同士の別れのうた、なのだろうか?

 

男目線の歌を女性であるイルカが歌うことで、

さらにその違和感は深まってしまった。

 

おそらくはこのうたと同時に発表された、

同じく伊勢正三作詞・作曲の

22才の別れ』(かぐや姫/1974年)の影響だろう*1

青春最後の時期の恋人同士の

別れを歌った歌のように思われている節がある。

 

 

・・・果たしてそうか?

 

「♪東京で見る雪はこれが最後ねと 寂しそうに君がつぶやく」

 

悲壮感はあまりない。あるのは一抹の寂しさだけだ。

言動から決して恋人同士ではないような気がする。

 

「♪時が行けば幼い君も 大人になると気づかないまま」

 

むしろ、旅立っていく娘を見送る父親

ではないかとも思えてしまう。

 

 

また、見送っているのも一人ではなく

複数人のような気がする。

 

「♪君の唇がさようならと動くことが 怖くて下を向いてた」

 

二人きりの別れの場面だったとすれば、

目を合わせようとしないなんて、

相手を子ども扱いしていたはずの

自分のほうがよっぽどガキではないか。

 

やはり複数人での見送りであると思う。

 

 

主人公は、見送っているうちの誰だろう。

父親ではなく、幼馴染だろうか。

男とも限らず「ボクっ娘」の幼馴染である可能性も捨てがたい*2

それとも、兄やいとこ、だろうか。

少なくとも同年代か、年上だろう。

自分としては父親説が捨てがたい。

 

 

「♪今春が来て 君はきれいになった」

 

大人になった「君」の、巣立ちのうたではないか?

 

 

春の旅立ちを、門出の桜ならぬ、

季節外れのなごりの雪が見送ってゆく。

 

 

名曲・聴きドコロ★マニアックス

「♪去年より↑ぃ ずっと きれいに↑ぃ なった↑ぁ」

直前の音程を残したまま歌い、語尾で次の音に持っていく歌い方、

オリジナルの伊勢正三の歌唱にはなかった歌い方が

このうたに更なる余韻を与えている。

 

オリジナルとの比較は、詳しくは「ナイスカバー!」に書いているので

そちらをどうぞ。 

songs20thcentury.hateblo.jp

 

 

意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

なごり雪も 降る時を知り」

雪までもが名残惜しみ、まだ春じゃない、旅立つのはまだ先だ、と告げているかのよう。主人公の名残惜しい心境を、季節外れの雪に代弁させている。

なごり雪」という造語*3が、名残惜しんでいる雪、という意味合いを持たせ、「なごりの雪=冬の余韻の雪」という意味合いとは一線を画しているように思う。

 

「ふざけすぎた季節のあとで」

季節外れの雪を指しているが、それと同時に子供時代の比喩であるともいえる。

子供だからと、無責任にじゃれていられる時期が終わったことをさしていると思われる。

 

 

 

amazonで現在入手可能な収録CD 1曲目/視聴可能 
イルカベスト

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iTunes / 視聴も可能 ※これは後年のリメイクバージョン
なごり雪 (Version 2002)

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  • イルカ
  • J-Pop
  • ¥250

 

data

なごり雪[EPレコード 7inch]シングルジャケット/amazonより

作詞・作曲 伊勢正三、編曲 松任谷正隆

1975年(昭和50年)11月5日、日本クラウンより発売

 

歌詞はうたまっぷ

イルカ/歌詞:なごり雪/うたまっぷ歌詞無料検索

 

曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい

 なごり雪 - Wikipedia

 

オリコン最高位4位(年間11位/1976年)

 

脚注

*1:どちらもオリジナルはかぐや姫のうた。伊勢正三かぐや姫の一員。ちなみにかぐや姫はバンドの名前。古代日本に伝わる宇宙人のことではない。

*2:これはイルカが歌っていることからの連想にしか過ぎないが

*3:日本語的には「なごりの雪」が正しい