浮かれたバブル期の到来を予感させるような
ラテン風でトロピカルな曲調*1とは裏腹に、
「いなせだね」
「目元流し目」
「粋なこと」
「め組のひと」
「気もそぞろ」
と、やけに古風な言い回しが目に付く。
視線の力と妖しい魅力で、男たちを虜にしていく女を歌った歌だが、
その容姿を表現する言葉はほとんど出てこない。
「髪に飾った花」「細い腰」
という表現だけで、水着かどうかすらわからない。
ただただ、江戸っ子的な表現で女をほめたたえている。
というよりも、
本来は女性に対するほめ言葉とは言えないような
形容詞が多用されている。
いなせ(鯔背)→いきがって威勢がいいこと
粋→すっきりと洒落ていること
小粋→さりげなく洗練されていること
め組→江戸の火消し「いろは48組」のひとつ
きっぷのいい、ある種生意気な女なのか。
そんな女が見せる、
流し目(遠慮がちに、視線だけそちらを向くさま)や
浮気なほほえみ(移り気するように、いろんな男に投げかける笑顔)、
気まぐれなウインクなどの
思わせぶりな態度で
男たちの心をそぞろ(そわそわして落ち着かないこと)にさせる。
そのくせ、
「♪Baby, Baby be my girl」(カノジョ、付き合ってくれよぉ)
と気安く声をかけられるように、近づきがたい女ではないようだ。
現れただけで、遠く波打ち際までうわさが伝わり、
砂浜に人だかりが沸く。
いったいどんなすごい女なんだろう。
女の描写はそれくらいにして、楽曲に目を向けてみよう。
なんとなく聞き流してしまうが、
この歌、歌ってみるとかなり難しい。
譜面通りに歌おうとすると、かなり野暮ったくなるのだ。
曲調が目まぐるしく変化するし、
キメ文句の「めッ!」
なんて、どうやったらいいのか見当もつかない。
「めっ!」
優しく怒っているようになってしまうか、
「めぇッ!」
怒った羊のようになってしまうか、
どちらかだ。
力を入れ過ぎると、案外高い音に
声がひっくり返って
「んメえ!」
相当間抜けなことになる。
とりあえず、
横向きのVサインから覗き見るキメポーズだけは、
勢いでビシッとキメておこう!
名曲・聴きドコロ★マニアックス
桑野信義のトランペットを区切りに曲調が変わるたびに
バックのドゥワップコーラスの表現が変化する。
「Shooby-Dooby Doo-Doo-Doo-Wap」
「eye-eye-eye」
「baby, baby, be my girl」
となっている。
だからどうしたといわれても困るが。
どうでもいいついでに、桑野信義って
もしかしたら、日本で一番有名なトランぺッターなんじゃないだろうか。
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
「め組のひと」
目の力でものをいうから、「め」組なのだろう。
本文でいろいろ書いてしまったので、
改めてここで挙げることないなぁ。
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