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日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100曲を紹介

『探偵物語』 薬師丸ひろ子 ~ 連想ゲームの時間です。お題は「とまどい」

1981~1985

詩といい、メロディといい

かなり映像的な曲だと思う。

 

 「♪あんなに激しい潮騒が あなたの後ろで黙り込む」

激しく波音を立てていた海が、

ひとりの人物を映しだした瞬間に、無音の世界に変わる。

 

「♪夢で叫んだように唇は動くけれど 言葉は風になる」

激しく何かを叫んでいるが、何を言っているのかは聴こえない。

聴こえるのは、ただ風の音だけ。

 

イメージがひしひしと沸いてくるが、

映画の方は見たことないので、

実際どういうシーンで使われたのかは知らない。

 

たぶん全然違うのだろう。

得てして妄想とはそんなもんだ。

 

 

内容からは全く意味不明な曲のタイトルは、

まんま映画のタイトルそのもので、まさに“取って付けた”もの。

前作の『セーラー服と機関銃』(1981年)の原題が『夢の途中』だったように、

この曲も『海のスケッチ』という原題を持っていたらしい。

といっても、作者の来生たかおによって

原題でリリースされた『夢の途中』(1981年)とは違い、

原題はあくまで裏話として語られているだけで、公式なものではない。

 

その場限りのタイトルをつけられたことが、

マイナスになっているよな、と思う。

曲名で人に伝えたい時などに、とっさに思い浮かばないのだ。

正直、この曲ほんとにこのタイトルでよかったんだっけ、

といつも不安に掻き立てられる。*1

 

 

タイトルだけでなく、曲調も、

透き通った美しさ、と表現するには

あまりにもムズムズするような不安さ、不気味さがある。

 

ちょっと暗いけど、とてもいいメロディ、、なんだけど、

どこが盛り上がりのサビかはっきりとしない。

どこで終わるんだかもはっきりしない。

 

スローテンポのようで、実は通常のミドルテンポ。

ドラマチックな展開を見せるのは実はイントロだけ。

 

 

はっきり言って、落ち着かなく気持ち悪い。

無表情な薬師丸の歌い方が、いっそうそれを煽っている。

 

 

しかし、この気持ち悪さが、

こんなにもやすらかに、

気持ちいいと感じるのは、いったいどうしたことだろう。

僕の体が昔より、大人になったからなのか?*2

 

お子様にはこの良さがわかるまい。

大人ってホントやーね。

 

 

 

名曲・聴きドコロ★マニアックス

不思議な始まり方をして、不思議な終わり方をする。

 

遠くで聞こえるような寂しげなピアノの音-聞き逃しそうになる-、

ピアノに遅れをとったかのように慌てて飛び出すストリングス。

そんな意外な始まりが、曲の世界の中に

聴き手を引きずりこんでいく。

 

そして最後に余韻を残した終わり方、と言えば聞こえがいいが

何だろう、このもやもやした感じは。

 

曲の終わりとともに、聴き手は解放されて

訪れる静寂から日常の音が復帰してくる。

 

いや、おっかない曲だな。

 

 

意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

この曲、言葉の持つイメージからくる

例えだけで構成されているようなもので、

難解というよりも、むしろ連想ゲームのようなものだ。

 

テーマは、たぶん「戸惑い」。

そんな感情をいろんな例えで表現している

 

「あんなに激しい潮騒が あなたの後ろで黙り込む

           身動きも取れないの 見つめられて」

背景と人物が一緒に見えるような、少し離れた位置から、

頭の先からつま先まで-もしかしたら心の中まで-観察され、

周囲の音まで聞こえなくなるような戸惑いをおぼえた。

 

 

「話をそらして歩いても 心はそのまま置き去りね

             昨日からはみ出した私がいる」

戸惑いから逃れようと話を逸らすが、どうしたら良いかわからず

そこから心が一歩も動けなくなってしまった、

まるで時間が止まってしまったような

心ここにあらずの自分がいる。

 

 

「波のページをめくる 時の見えない指先」

本のページをめくるように、規則正しく引いては寄せる波。

止まったように思える時の中でも

時間はたえず過ぎていく。

 

 

「透明な水の底 ガラスのカケラが光る」

どちらも透明で見えないのだけれど、

うっかり足を踏み入れると怪我するもの、

あるいは壊れやすいものが潜んでいる。

純粋さの心に潜む危うさか。

 

 

「離れて見つめないで」

ここでやっというべき言葉が見つかる。

言葉にならない言葉を無理に言おうとするのではなく、

戸惑いの原因となるものをまず排除するべき、と気づく。

 

 

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エッセンシャル・ベスト 薬師丸ひろ子

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探偵物語

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シングルジャケット/CDandLP.comより

作詞 松本隆、作曲 大瀧詠一、編曲 井上鑑

1983年(昭和58年)5月25日、東芝EMIより発売

 

歌詞はうたまっぷ

薬師丸ひろ子/歌詞:探偵物語/うたまっぷ歌詞無料検索

 

曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい

探偵物語/すこしだけやさしく - Wikipedia

 

オリコン最高位7週連続1位(年間4位/1983年)

脚注

*1:だって探偵物語といえば、SHOGUNの『Bad City』(1979年)だもんな。どちらも松田優作主演なところが余計に混乱する。タイトルが同じだけで、全然関係ない話らしい。実際同じ物語だと思っていた。

*2:『壊れかけのRadio』(徳永英明/1990年)より無断借用