ブルーハーツの最大の良さは
ひとえにその、わかりやすさ、にあると思う。
「♪見えない自由が欲しくて」
「♪見えない銃を撃ちまくる」
「♪どんな記念日なんかより」
「♪どんな記念碑なんかより」
ダジャレ一歩手前の*1、韻を踏んだ歌詞と、
どんなことがあっても、
たとえ言葉のアクセントがおかしくなろうとも
1拍めにアクセントを置くことに執念を燃やすそのタテノリ。
「♪ロマンチックなほしぞらに あなたを抱きしめていたい」
「♪みなみ風に吹かれながら シュールな夢を見ていたい」
音だけ聞くと
「あなたを抱きしめ、停滞」
「シュールな夢を見、停滞」
になってしまうが、お構いなしだ。
ガンガン乗って突き進む。
そんなわかりやすさとは正反対に
その歌詞は意外に難解だ。
「♪ここは天国じゃないんだ かといって地獄でもない」
「♪いい奴ばかりじゃないけど 悪いやつばかりでもない」
「♪聖者になんかなれないよ だけど生きている方がいい」
世の中すべて、表と裏、善と悪、陰と陽をすべて併せ持っている、
きれいごとばかりではない、
ということを言っているのはなんとなくわかる。
「♪弱い者たちが夕暮れ さらに弱いものを叩く」
弱いものは最終的には、自分よりも弱いものを見つけて、いじめるのが常。
「♪その音が響き渡れば ブルースは加速していく」
そんな心の弱さのよりどころに、音楽がある。
「♪だから僕は歌うんだよ 精一杯でかい声で」
ブルーハーツは『人にやさしく』(1988年/ by)でも
同じように歌っている。
「♪僕はいつでも 歌を歌うときは
マイクロフォンの中から ガンバレって言っている」
弱い者たちへの応援歌、なのだろうか。
ただ、一つ言えることは、
Train-列車は、だれか一人だけが先に進むことはできない。
乗っているすべての人が、同じ場所に、同じ時間に到達する。
「いい奴」も、「悪い奴」も、「いやらしさ」も、「きたならしさ」も
ごちゃまぜに混載して、走っていく。
さあ目的地は栄光だ。
だけどゴールがない片道切符っぽい*2。
乗る?
名曲・聴きドコロ★マニアックス
歌詞カードでは、
「Train-Train 走ってゆけ」となっているが、
ボーカルの甲本ヒロトは明らかに「走っていく」と歌っている。
コーラスはというと、
「走っていく」と歌っている部分もあるが、
大半は「走ってゆけ」と歌っているようだ。
もしもこれがワザとだとすると、
みんなで栄光に向かって進もう、と訴える伝道師役が甲本で、
その他大勢は、走れ走れと祀り上げて
はやし立てていることになる。
いや、
たぶん考えすぎだ。
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
「見えない自由が欲しくて 見えない銃を撃ちまくる 本当の声を聴かせておくれよ」
漠然とした何かがほしくて、
定まらない行動を繰り返している。
いったい、本当は何が欲しいのか。
(たぶんみんな、それすらもわかっていないんだ!)
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