日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見による日本100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『Train-Train』 ザ・ブルーハーツ ~ さまよえる羊たち応援団

ブルーハーツの最大の良さは

ひとえにその、わかりやすさ、にあると思う。

 

「♪見えない自由が欲しくて」

「♪見えない銃を撃ちまくる」

 

「♪どんな記念日なんかより」

「♪どんな記念碑なんかより」

 ダジャレ一歩手前の*1、韻を踏んだ歌詞と、

 

 

どんなことがあっても、

たとえ言葉のアクセントがおかしくなろうとも

1拍めにアクセントを置くことに執念を燃やすそのタテノリ。

 

「♪マンチックなほぞらに なたを抱きしめいたい」

「♪なみ風に吹かながら ュールな夢を見いたい」

 音だけ聞くと

「あなたを抱きしめ、停滞」

「シュールな夢を見、停滞」

になってしまうが、お構いなしだ。

ガンガン乗って突き進む。

 

Train-Train/無言電話のブルース シングルジャケット/amazonより
TRAIN-TRAIN

TRAIN-TRAIN

これは出だしが少しだけ異なるアルバムバージョン
  • 作詞・作曲 真島昌利、編曲 The Blue Hearts
  • 1988年(昭和63年)11月23日、メルダックより発売
  • オリコン最高位5位(年間29位/1989年)
  • 歌詞はうたまっぷへ:TRAIN-TRAIN THE BLUE HEARTS 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:TRAIN-TRAIN - Wikipedia
  • そんなわかりやすさとは正反対に

    その歌詞は意外に難解だ。

     

    「♪ここは天国じゃないんだ かといって地獄でもない」

    「♪いい奴ばかりじゃないけど 悪いやつばかりでもない」

    「♪聖者になんかなれないよ だけど生きている方がいい」

    世の中すべて、表と裏、善と悪、陰と陽をすべて併せ持っている、

    きれいごとばかりではない、

    ということを言っているのはなんとなくわかる。

     

     

    「♪弱い者たちが夕暮れ さらに弱いものを叩く」

    弱いものは最終的には、自分よりも弱いものを見つけて、いじめるのが常。

     

    「♪その音が響き渡れば ブルースは加速していく」

    そんな心の弱さのよりどころに、音楽がある。

     

    「♪だから僕は歌うんだよ 精一杯でかい声で」

     

     

    ブルーハーツは『人にやさしく』(1988年/ by)でも

    同じように歌っている。

    「♪僕はいつでも 歌を歌うときは

         マイクロフォンの中から  ガンバレって言っている」

    弱い者たちへの応援歌、なのだろうか。

     

     

    ただ、一つ言えることは、

    Train-列車は、だれか一人だけが先に進むことはできない。

    乗っているすべての人が、同じ場所に、同じ時間に到達する。

     

    「いい奴」も、「悪い奴」も、「いやらしさ」も、「きたならしさ」も

    ごちゃまぜに混載して、走っていく。

     

     

    さあ目的地は栄光だ。

     

    だけどゴールがない片道切符っぽい*2

     

    乗る?

     

     

    名曲・聴きドコロ★マニアックス

    歌詞カードでは、

    「Train-Train 走ってゆけ」となっているが、

    ボーカルの甲本ヒロトは明らかに「走っていく」と歌っている。

    コーラスはというと、

    「走っていく」と歌っている部分もあるが、

    大半は「走ってゆけ」と歌っているようだ。

     

    もしもこれがワザとだとすると、

    みんなで栄光に向かって進もう、と訴える伝道師役が甲本で、

    その他大勢は、走れ走れと祀り上げて

    はやし立てていることになる。

     

     

    いや、

    たぶん考えすぎだ。

     

    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    「見えない自由が欲しくて 見えない銃を撃ちまくる 本当の声を聴かせておくれよ」

    漠然とした何かがほしくて、

    定まらない行動を繰り返している。

    いったい、本当は何が欲しいのか。

    (たぶんみんな、それすらもわかっていないんだ!)

     

     

    現在入手可能な収録CD/視聴可能
    やっぱ生で聴きたい人は、ライブ・イベント情報&チケット

    ※該当曲を聴ける保証はありません。

     

     

     

    脚注

    *1:もしくはダジャレをも超越した

    *2:走っていく、どこまでも、だからね