日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『Love Phantom』 B'z ~ 自身の作り出した亡霊に振り回され自暴自棄になるお話

B'zの松本孝弘というギタリストは、

自分で作曲とアレンジを行っていて、

かなりのテクニックを誇示しているクセに、

なぜか、一歩引いている印象を受ける。

 

自己顕示が少ないんじゃないかと。

わかる人にだけわかってもらえれば、OK。

少なくともレコードでは、そういう印象を受ける。

 

Love Phantom』でも、最初に爆音から駆け上がるような

ギターを響かせたと思うと、あっという間に

ほかの音に吸い込まれて背後にそっと引っ込んでしまう。

 

そして、稲葉浩志のボーカルが始まると、

後ろの方でギュインギュインと

ギターをうならせてはいるものの、主役になろうとはせず、

全体を見渡せる位置から俯瞰して引き立て役に徹している。

 

 

LOVE PHANTOM
シングルジャケット/amazonより
LOVE PHANTOM

LOVE PHANTOM

  • B'z
  • ロック
  • ¥250
 
  • 作詞 稲葉浩志、作曲・編曲 松本孝弘
  • 1995年(平成7年)10月11日、ビーイングより発売
  • オリコン最高位1位(年間10位/1995年)
  • 歌詞はうたまっぷへ:LOVE PHANTOM B'z 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:LOVE PHANTOM - Wikipedia
  •  

    実は、このあたりのバランス加減が、

    変にマニアックなロックにならずに

    万人受けしている要因なのではないかと思う次第。*1

     

     

    1分以上ある長い長いイントロや、

    多くのゲストによる朗読(ラップ?)など、凝りに凝った展開が印象的。

    曲の構成がシンプルな分、アレンジをいろいろと

    やってみた結果なのだろう。

     

    おそらく、オペラや映画音楽のような

    イメージから出発しているのだろうが、

    ディスコサウンドっぽい音の作りが、どちらかというと

    ゲームミュージックのように聞こえてしまう。

    時代の音のせいなんだろうか。

     

     

    さて歌詞の方に目を向けてみよう。

     

    概要を大雑把にいえば、

    恋人に捨てられて自暴自棄になった男、

    相手に理想を求めすぎて、

    逃げられてしまった男の哀歌だ。

     

    彼女の幻影の声に対して、必死にすがろうと

    弁明する男の叫びだ。

     

     

    「You must know what I am.

    I must tell you what I’ve been loving.

    I’m nothing, lifeless, soulless.

    Cause I’m “LOVE PHANTOM”.」

     

    これはイントロ中のセリフ。男の声だから解りにくいけど、

    主人公が作り上げた女性の理想(幻想)の怪物が、

    喋っているものと思われる。

     

    きっとオマエもわかっているハズ。

    ワタシが何を愛していたか、オマエに伝えなければならない。

    ワタシは存在も、命も、魂もない

    なぜなら、ワタシはオマエが作り出した

    愛の幻影、なのだから。

     

     

    中盤では、女性の声で突然

    「そして私は潰される」

    ホラー映画みたいで、おっかない。

     

     

    最後には、ほとんど聞き取れないが

    こうつぶやいているらしい。

    やはり相手の女性*2のセリフだ。

     

    「幻をいつも愛してる 何もわからずに

    Can you hear the sound it's my soul?

    I will give you anything, anything you want」

     

    アナタはワタシのことを何も知らずに、

    ただワタシの幻を愛している。

    ワタシの本当の声がきこえていますか。

    ワタシは、アナタが求めることは

    何も叶えてあげることはできないのです。

     

     

    これらのポイントを抑えて、もう一度通して聴いてみよう。

    うろたえる男の依存っぷりが、もうみっともないんだから。

     

     

     

    名曲・聴きドコロ★マニアックス

    常々感じていることがが、特にこの頃の稲葉は、

    エアロスミス*3スティーヴン・タイラーのようだ。

    「♪君はいないから」のあとの「Aha」なんてあたりは

    まるでモノマネのようだ。

     

    毎度のことながら、だから何?

    というお話でした。以上。

     

    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    「途中の人はいいね」

    終わっていない人をうらやむ言葉。

    自分の恋が終わってしまったために、

    何かに夢中になっている人を羨んでいるのだろう

     

     

    「少しのズレも許さないセコい人間になっちゃったよ」

    自分に合わせてもらわないと怒る人、いるよね。

    相手に期待しすぎて、理想を求めすぎて

    うまくいかなくなった模様。

     

     

    「Yin & Yan」

    これはもともと中国語を英語表記にしたものなので、

    日本人には漢字で書いたほうがなじみの言葉になる。

    「陰&陽」

    陰と陽、表と裏、光と影だ。

    男女は表裏一体ということを言いたいのだろう。

     

    背中合わせにするつもりが、相手にのしかかり潰してしまったらしい。

     

    しかしどーも、反省している感じはしないね、

    この主人公は。

     

     

    amazonで現在入手可能な収録CD 8曲目

    LOOSE

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    脚注

    *1:対極にあるのがアルフィー高見沢俊彦で、 どんな曲調の曲でも、ピロピロギュインギュインいわす ギターソロを唐突にブチ込んでくる。
    それはそれで潔く、おもわず、 イヨォ、待ってました高見沢、と歌舞伎のような掛け声でも かけなきゃいけないんじゃないかと思ってしまう。

    *2:もしくは、その幻影

    *3:アメリカのロックバンド。TV番組・踊る!さんま御殿でかかる『Walk This Way』(1975年/ by)や、映画・アルマゲドンの主題歌『I Don't Want To Miss A Thing』(1998年/ by)などが知られている。聴いたことない奴は、黙ってアルバム「Get A Grip」を聴きたまえ