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日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100曲を紹介

『硝子の少年』 Kinki Kids ~ 少年に少年時代を振り返らせるナンセンスかな

歌い出しに現れる無音の瞬間にゾクっとくる。

随所にみられる、こういう

”古臭い”テイストがこの曲のキモ。

 

古臭いといっても、世代を超えた大昔ではなく、

ひとりの人間が、ふと余裕をもって

振り返ることができる程度の過去。

 

雰囲気からして、おおよそ10年くらいさかのぼった、

つまりはこの曲の1997年からみた10年前、

87年前後のテイストではないかと思う。

 

曲に細かい飾りを施す、クラシックギターの音色、

頑なにハモらない、Kinki Kidsの二人のユニゾン

締めに余韻を残すストリングスの音など

作る方も聴く方も、そうそう、こういう感じだったよね、と

思わずニンマリとしてしまう細かい仕掛けが満載。

 

 

その中において、シャカシャカとなっているドラムが、

少し現代的なアレンジを加えていると思いきや、

よく聞くとその音が何ともいえずチープで、

ファイコンのノイズ音かよ!*1とも突っ込みたくなるほど。

80年代の打ち込み音の草創期の雰囲気が、こんなところにもよく出ている。

このあたり、さすが妥協を許さない音職人、

山下達郎の作・アレンジといったところか。

 

   

歌詞の内容も、過去を振り返る内容で、

ちょっとした懐かしさを演出している。

 

「♪嘘をつくとき瞬きをする癖が 遠く離れてく愛を教えてた」

このあたりの歌詞なんかも、

『抱きしめてTonight』(田原俊彦/1988年)の

「♪悩み事を隠すの案外下手だね 肘をついた姿勢で爪を噛んでる」

なんかと微妙にリンクするように感じるのは

おそらく曲調のせいもあるんだと思う。

 

 

街で見かけたかつての恋人、

その左手には婚約指輪*2が光っていた。

主人公の胸には、かつてのほろ苦い思い出がよぎり

その場から逃げるように立ち去る、

しかし心はまだ未練たっぷり。という内容。

 

しかし、現役の少年たち*3に、

少年時代の苦い思い出話を歌わせるなんて。

等身大の自分を歌うことがもてはやされた時代に、

何とも大胆な試みだったと思う。

 

未成年に背伸びした歌を歌わせるのは

昔からの常套手段だが、

背伸びを通り越して、数年後の視点から過去を振り返らせて、

現在の自分たちを投影させてしまうあたり、

相当ひねくれた歌なのかもしれない。

 

 

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それにしても、堂本光一と、堂本剛

この二人の歌い方が驚くほどに似ている。

声の表情のつけかたから、発声の仕方、

はては声質に至るまで。

 

歌い方が達郎っぽくないので、

だれかほかに歌唱指導の人がいたのかもしれないが、

器用にも二人はそれを忠実に再現してしまったのだろうか。

 

複数人が歌うことによる音の揺らぎ*4がほとんど感じられないくらい、

二人の歌唱が溶け込んでいる。

 

どういうトリックを使ったんだろう。

ただ単に偶然が生み出したものかもしれないけど。

ただそのせいで、デュエットで歌っているという必然性が

音の上ではなくなってしまったのがやや残念。

 

 

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「雨が躍るバスストップ」

確信的にブッコんだ文学的表現。

雨が躍る、なんて表現も、バスストップ、なんて言い方も

けっして日常会話で出て来るものではない。

雨のバス停、じゃ絵にならないが、

雨が躍るバスストップ、とくれば途端に絵になるから不思議だ。

 

 

「僕の心はひび割れたビー玉さ のぞきこめば君が逆さまに映る」

やってみるとわかるけど、

ビー玉から覗いた景色は、逆さまに映る。

それはそうと、よく考えてほしい。

ひび割れてしまうとそこに不連続面ができるので

そこで光は拡散、もしくは反射してしまって

おそらく向こう側は見えないと思われる。

 

理科の現実的な問題なのではなくて、

これも文学的表現のひとつなんだなぁ。

 

ビー玉(ガラス玉)→もろひび割れやすい

ビー玉→景色が逆さまに映る

 

僕の心には、君の心は正反対に映り、

そして僕の心はもろく崩れやすい。

 

 

「硝子の少年時代の破片が胸へと突き刺さる」

少年時代の破片。

すでに崩れ去ってカケラになっているけれど

まだチクチク胸を刺す。

 

 

「よそゆきの街」

またしても出ました文学的表現。

普段の街、の反対としてのよそゆき。

見栄を張ったような、ちょっと背伸びした街に

デートに行ったんだろうね。

 

 

 

amazonで現在入手可能な収録CD
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どちらもなし。試聴どころかジャケット写真すらないんだから、

ほんと、ジャニーズ事務所はこのあたりかなりシビア。

 

 

data

シングルジャケット/駿河屋より

作詞 松本隆、作曲・編曲 山下達郎

1997年(平成9年)7月21日、ジャニーズエンターテインメントより発売

 

歌詞はうたまっぷ

KinKi Kids/歌詞:硝子の少年/うたまっぷ歌詞無料検索

 

曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい

硝子の少年 - Wikipedia

 

オリコン最高位3週連続1位(年間2位/1997年)

脚注

*1:任天堂の名機・ファミリーコンピュータの音源は、矩形が2音、正弦波が1音、ノイズ音が1音の合計4音。正確にはもう1音PCM系統の音源があるらしいが、音楽向きではない。こんなチープな音源でよくあれだけの音楽を奏でていたと思うと頭が下がる。

*2:もしくは結婚指輪

*3:二人とも1979年生まれというから、当時18歳かな?

*4:コーラス効果。複数の人が同時に歌ったり、同じ人が2重、3重に重ね録りするなどする。わずかに音程やタイミングが異なることによって、音に厚みを持たせることができる。