日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『夏祭り』 whiteberry ~ 実のところ一発の花火だって打ちあがってはいないのだ

甘えるような猫なで声が、歌詞と相まって、

幼さの残る年頃の、恋物語を引き立てている。

 

男目線の歌を女性がボーカルをとることで、

さらに主人公たちの幼さを連想させる。

 

たぶん、中学生くらいなんだろうな。

「♪友達見つけて離れて歩いた」

男女二人っきりでいるところを見られて

からかわれるのが嫌。そんな年頃。

実に初々しいね。

 

 

キャッチ―なメロディなので、老若男女問わず楽しめるけど、

決して当事者である年代向けの歌ではないと思う。

いい大人が、かつての淡い恋心を思い出して

しみじみとするための歌だろう。

 

だけど、自分がまさにそうだが、

中学どころか高校時代にも、

こんな甘酸っぱい素敵な思い出は持っていない。

 

それでも、こんな憧れのようなものを抱いていた・・・ような気がする。

そう、まさに「遠い夢の中」にだけ存在した

幻の物語として*1

 

 

夏祭り
シングルジャケット/amazonより
夏祭り

夏祭り

 
  • 作詞・作曲 破矢ジンタ、編曲 坂井紀雄
  • 2000年(平成12年)8月9日、ソニーミュージックより発売
  • オリコン最高位3位(年間34位/2000年)
  • 歌詞はうたまっぷへ:夏祭り Whiteberry 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:夏祭り (JITTERIN'JINNの曲) - Wikipedia
  •  

     

    幻といえば、サビに登場する「打ち上げ花火」。

    歌詞をよく読んでみると判るが、

    実は物語中に、花火は一発も打ちあがっていない。

     

    神社の縁日デートに繰り出した二人。

    綿菓子や金魚すくいに興じているだけで、

    打ち上げ花火を見上げるような描写はどこにもないのだ。

     

    むしろ、人混みから離れた石段で

    派手な打ち上げ花火の対極にあるような

    地味な線香花火を楽しんでいる。

     

    派手に咲いて、パッと散る、

    余韻だけが残る想い出の象徴として

    打ち上げ花火という言葉が使われているに過ぎない。

     

     

     

    ところで、主人公は

    「♪好きだって事が言えなかった」

    ことを悔やんではいるが、

    そんなことを言わなくても、

    ちゃんと相手には伝わっていたと思う。

     

    だけど、言葉に出して伝えることが出来なかったから

    そこから先に進むことがなかった。

     

    そんなことも解らないくらいの、若かりし日の想い出。

    成就しなかったけれども、こういうのは、

    正直、羨ましくて妬ましいというやつだ。

     

    そんなときにかける言葉はただ一つ。

    このリア充めが!

     

     

    名曲・聴きドコロ★マニアックス

    よく知られている通りこの曲はカバー曲で、オリジナルは、

    「♪あなたが私にくれたもの、キリンが食べ残したピラフ」(違う*2

    で有名な、ジッタリンジン

     

    シンプルなオリジナルに対し、しっかり作りんこんだアレンジを聴かせるカバー曲。

    というのが一般論としての世の常で、迎々しくなる傾向にあるため*3

    両方知っている人には、オリジナルの方がいい、

    という声をよく耳にする。

     

    しかしこの曲の場合、

    オリジナルのジッタリンジンのバージョンが、

    あまりにもシンプルすぎて*4

    whiteberryのバージョンが、普通にシンプルさを売りにしたような佳曲になっている。

    そのあたりが、この曲が大成した要因のひとつではないかと思っている。

     

    (両者の比較については、そのうち

    「ナイスカバー」の項で改めて取り上げてみようと思う)

     

     

    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    「浴衣姿 がまぶし過ぎて」

    正直、音だけで聴いているうちは、ここの意味がさっぱり分からなかった。

    カマブシだか、ガマブシだか、

    そんなようなものの横を通り過ぎているのか、

    かまびすしい*5のように

    なんだかよく判らないけど粋な言葉だと思っていた。

    歌詞を見て納得。浴衣姿が、眩しすぎて。

     

     

    「離れないで、出しかけた手を ポケットに入れて握りしめていた」

    手をつなぐきっかけを模索していた主人公。

    人混みの中、はぐれないようにという口実で

    手をつなごうと考えたが言い出せず。

    結局、ポケットの中から出せずじまい。

     

     

    amazonで現在入手可能な収録CD 5曲目/視聴可能

    (初)

    (初)

     

    脚注

    *1:中高生の頭ン中なんて、妄想だけで構成されている。年取った今でもそんなに変わらないかもしれないが。。。

    *2:正しくは、「♪あなたが私にくれたもの キリンが逆立ちしたピアス」の『プレゼント』(1990年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード)。ピラフが出てくるのは嘉門達夫の『替え唄メドレー』(1991年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード

    *3:逆に、セルフカバーと呼ばれる、楽曲を提供した作者が後から自分でカバーするものは、シンプルなものになる傾向がある

    *4:デモテープ音源か、ミニライブ音源か、はたまたオーバーダビング前のベーシックトラック音源か、と錯覚するようなシンプルさ

    *5:喧しい。やかましいの意