日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『夏祭り』 whiteberry ~ 実のところ一発の花火だって打ちあがってはいないのだ

甘えるような猫なで声が、歌詞と相まって、

幼さの残る年頃の、恋物語を引き立てている。

 

男目線の歌を女性がボーカルをとることで、

さらに主人公の幼さを想像させる。

 

たぶん、中学生くらいなんだろうな。

「♪友達見つけて離れて歩いた」

男女二人っきりでいるところを見られて

からかわれるのが嫌。そんな年頃。

初々しいね。

 

 

キャッチ―なメロディなので、

老若男女問わず楽しめるけど、

決して当事者の年代向けの歌ではないよね。

いい大人が、かつての淡い恋心を思い出して

しみじみとするための歌。

 

だけど、自分がまさにそうだが、

中学どころか高校時代にも、

こんな甘酸っぱい素敵な思い出は持っていない。

 

それでも、こんな憧れのようなものを抱いていた

・・・ような気がする。

そう、まさに「遠い夢の中」にだけ存在した

幻の物語として*1

 

 

 

幻といえば、サビに登場する「打ち上げ花火」。

歌詞をよく読んでみると判るが、

実は物語中に、花火は打ちあがっていない。

 

神社の縁日デートに繰り出した二人。

綿菓子や金魚すくいに興じているだけで、

打ち上げ花火を見上げるような

描写はどこにもないのだ。

 

むしろ、人混みから離れた石段で

派手な打ち上げ花火の対極にあるような

地味な線香花火を楽しんでいる。

 

派手に咲いて、パッと散る、

余韻だけが残る想い出の象徴として

打ち上げ花火という言葉が使われているに過ぎない。

 

 

 

ところで、主人公は

「♪好きだって事が言えなかった」

ことを悔やんではいるが、

そんなことを言わなくても、

ちゃんと相手には伝わっていたと思う。

 

だけど、言葉に出して伝えなかったから

そこから先に進むことがなかった。

 

そんなことも解らないくらいの

若かりし日の想い出。

成就しなかったけれども、こういうのは、

正直、羨ましくて妬ましいというやつだ。

 

そんなときにかける言葉はただ一つ。

このリア充めが!

 

 

名曲・聴きドコロ★マニアックス

よく知られている通りこの曲はカバー曲で、オリジナルは、

「♪あなたが私にくれたもの、キリンが食べ残したピラフ」(違う*2

で有名な、ジッタリンジン

 

シンプルなオリジナルに対し、

しっかり作りんこんだアレンジを聴かせるカバー曲。

というのが世の常で、迎々しくなる傾向にあるため*3

両方知っている人には、オリジナルの方がいい、

という声をよく耳にする。

 

しかしこの曲の場合、

オリジナルのジッタリンジンのバージョンが、

あまりにもシンプルすぎて*4

whiteberryのバージョンが、普通にシンプルさを売りにしたような佳曲になっている。

そのあたりが、この曲が大成した要因のひとつではないかと思っている。

 

(両者の比較については、そのうち

「ナイスカバー」の項で改めて取り上げてみようと思う)

 

 

意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

「浴衣姿 がまぶし過ぎて」

正直、音だけで聴いているうちは

これの意味がさっぱり分からなかった。

カマブシだか、ガマブシだか、

そんなようなもののの横を通り過ぎているのか、

かまびすしい*5のように

なんだかよく判らないけど粋な言葉だと思っていた。

歌詞を見て納得。浴衣姿が、眩しすぎて。

 

 

「離れないで、出しかけた手を ポケットに入れて握りしめていた」

手をつなぐきっかけを模索していた主人公。

人混みの中、はぐれないようにという口実で

手をつなごうと考えたが言い出せず。

結局、ポケットの中から出せずじまい。

 

 

amazonで現在入手可能な収録CD 5曲目/視聴可能
(初)

(初)

 

 

iTunes / 視聴も可能
夏祭り

夏祭り

 

data

夏祭りシングルジャケット/amazonより

作詞・作曲 破矢ジンタ、編曲 坂井紀雄

2000年(平成12年)8月9日、ソニーミュージックより発売

 

歌詞はうたまっぷ

Whiteberry/歌詞:夏祭り/うたまっぷ歌詞無料検索

 

曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい

夏祭り (JITTERIN'JINNの曲) - Wikipedia

 

オリコン最高位3位(年間34位/2000年)

脚注

*1:中高生の頭ン中なんて、妄想だけで構成されている。年取った今でもそんなに変わらないかもしれないが。。。

*2:正しくは、「♪あなたが私にくれたもの キリンが逆立ちしたピアス」の『プレゼント』(1990年)。ピラフが出てくるのは嘉門達夫の『替え唄メドレー』(1991年)

*3:逆に、セルフカバーと呼ばれる、楽曲を提供した作者が後から自分でカバーするものは、シンプルなものになる傾向がある

*4:デモテープ音源か、ミニライブ音源か、はたまたオーバーダビング前のベーシックトラック音源か、と錯覚するようなシンプルさ

*5:喧しい。やかましいの意