巡り合わせの妙とはいえ、
実はこの曲がオリコン史上初のミリオンセラー。
といっても、それまで100万枚売れた曲がなかったわけではない。
オリコンが集計を開始した1968年以降で最初、というだけのものだが、
選りによってしょっぱながこれ。
・・・なんて幸先のいいスタートなんだだろう!
別に皮肉でもなんでもなく、
エンターテイメントとしての音楽、
もっとくだけた言い方をすれば
細かいことなんか抜きにして楽しもうや、という
まさに音楽の原点をついた出来事だったと思う。
小難しい音楽もあれば、心にしみる音楽もある。
そんな中、あぁ、音楽ってこういうのもアリなんだ、
と日本中に思わせた功績は計り知れない。
本人たちはいたって不真面目だったんだろうが*1、
クリエーターたちの曲作りに対するアプローチに
無限ともいえる可能性を示した。
言わずもがな、この曲の一番の特徴は
鬼太郎のおやじのような甲高いボーカル。
録音した音を倍速で再生することによる、
トリッキーな歌声。
だけど当然、子供にとっては
倍速再生なんてテクニックは知りえないことから、
『ドリフの早口ことば』(ザ・ドリフターズ/1980年/ by )の
志村けんのパートもそうであったように、
バカ真面目に声色で真似したものだ。*2。
一方、通常スピードで録音された神様のパート、
歌詞では、怒鳴っているということになっているが、
実際はすっとぼけたスローな説教。
酔っぱらった頭の中で、ゆっくりと反響しているようにも聞こえる。
だけどこの主人公、
なんで天国に行けたんだろうね。
よほど寛容な神様とみた。
名曲・聴きドコロ★マニアックス
ザ・ビートルズの『愛こそはすべて(All You Need Is Love)』(1967年/ by )
にでもインスパイアされたのだろうか。
この曲は様々な歌がコラージュのように散りばめられている*3。
一番わかりやすいのが、「♪天国良いとこ一度はおいで」は
「♪草津よいとっこ 一度はァおいで」から来ている。
そして最後はベートーベンの
『エリーゼのために』( by)でフェードアウトする。
もっと細かいところでいうと、
最後の読経は途中から
『ア・ハード・デイズ・ナイト』(ザ・ビートルズ/ by)の
「♪It's been a hard day's night」になるし、
すっとぼけた神様のセリフのバックに流れる調子っぱずれの旋律は、
運動会の徒競走でおなじみの『天国と地獄』( by)*4。
間奏の電子ピアノは、Wikipediaには
これもビートルズの『Good Day Sunshine』( by)が元ネタだと
書いてあるけど、それに関してはどうだろうね。
あれ自体はもともとジャズ系の
オーソドックスなフレーズがモチーフだと思うから。
ところで、 A Hard Day's Nightになる前の
お経はいったい元ネタは何なのだろう。
加藤和彦は当時仏教系の大学に在籍していたらしいので
まったくのでたらめではないと思うのだけれど。
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
Fork Crusaders。直訳すると民謡十字軍。
民謡布教の尖兵といったところか。
なんだかインテリなグループ名が、妙に曲にミスマッチ。
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