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日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100曲を紹介

『初恋』 村下孝蔵 ~ 覚えているのは名前だけ、エピソードなんてそんなもん。

1981~1985

先に謝っておく。

たぶんいろいろ失礼なこと言ってしまうから。

ごめんなさい。本当にごめんなさい。

 

 

村下孝蔵。以前より、

絶対、名前で損してるよな、と思っていたけど、

今回この稿を書くにあたり、初めてご本人の尊顔を拝見し、

ああ、容姿でも損をしていたんだねと

大変失礼なことに思いを巡らす。

 

70年代の小椋桂にしても、90年代の槇原敬之にしても、

似たような傾向はあるものの、

少なくとも名前で損しているようには見えない。

しかし、村下孝蔵という名前だと、

演歌歌手か何かかと勘違いしてしまいそうだ。

プロモーションの観点から芸名にするという選択肢はあっただろうに。

 

だから少なくとも、

タイトル、歌手名、ジャケット写真だけを見たときに

レコードをジャケ買い*1しようとは思わない。

これを損と言わずして何と言おう。

あえていうなら無欲というべきか。

 

途中からにせよ、シングルのジャケットを、本人の横顔のジャケットから

きり絵の女の子に差し替えたのは正解だと思う。

 

 

 

ところが、そんなちょっと損している男たちが生み出す、

恋心と、ささやかだからこそのリアルが詰まった歌詞、

美しいメロディ、それを奏でるなんとも爽やかな歌声は

皮肉にも、自分たちのように

色恋から縁遠かったようなものたちにも

大いなる共感を与えてくれる。

 

 

いや、カッコつけて言い過ぎだ。

ざっくばらんに言うと、

 

優男が歌った恋の歌じゃ、共感できないんだよ!

別世界過ぎて!

 

 

 

名曲・聴きドコロ★マニアックス

こんなところで自分の初恋をさらけ出そうとは思わないけど、

正直なところ、さらけ出せるようなエピソードなんて何もない。

だって本当に何も起こらなかったんだから。

 

 

この、初恋、という歌も、

そんなところをうかがわせる。

「♪放課後の校庭を走る君がいた 遠くで僕はいつでも君を探してた」

二人の接点はこれで終了。

 

後は悶々と、自分一人の胸の内だけが

抽象的ともいえる語句で綴られていく。

 

だって、エピソードなんて

ないよねえ、初恋に対して。

 

 

 

意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

五月雨さみだれ

5月の雨と書くが、季節は5月の出来事じゃない。 

旧暦の5月を指す言葉なので、だいたいひと月遅れの6月の出来事。

つまりは五月雨とは梅雨のことを指す。

梅雨の終わりごろの激しい雨と違い、

降ったりやんだりとはっきりしない天気。

 

さみだれ式、とか、さみだれ撃ち、なんていう言葉も、

本来は、途切れ途切れでダラダラと続くものの例えだったはずなんだけど、

最近は間髪入れない連続したもの、

というイメージが広がってしまっている気がする。

 

「振子細工」

たぶんこのような名前のものは存在しない。

いわゆるヤジロベエのようなものを想定しているのだろう。

振子→左右にフラフラと揺れ動く

細工→繊細で壊れやすいもの

ということで、少年のガラスのハートを象徴した

造語なんだろうと思われる。

 

「浅い夢」

淡い夢、儚い夢、などと同義だろう。

いろはうたの「あさきゆめみし」から来ていると思われる。

はっきりしない、ぼんやりとした記憶だからこそ、

たとえば優しい、悲しい、暖かい、のような

抽象的なイメージとして記憶されてしまい、

具体的に思い出すことができない代わりに、

感情の一部として自分の中に巣くってしまっているのだろう。

 

 

amazonで現在入手可能な収録CD 1曲目/試聴可能

これは出だしがちょっと長いアルバムバージョン

初恋~浅き夢みし

初恋~浅き夢みし

 

 

iTunes / 試聴も可能
初恋

初恋

  • 村下 孝蔵
  • J-Pop
  • ¥250

 

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初恋シングルジャケット/amazonより

作詞・作曲 村下孝蔵、編曲 水谷公生

1983年(昭和58年)2月25日、CBSソニーより発売

 

歌詞はうたまっぷ

村下孝蔵/歌詞:初恋/うたまっぷ歌詞無料検索

 

曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい

初恋 (村下孝蔵の曲) - Wikipedia

 

オリコン最高位3位(年間14位/1983年)

脚注

*1:どんなものが入っているか知らずに、商品の見た目だけで手を出すこと