日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見による日本100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『愛・おぼえていますか』 飯島真理 ~ 愛って旅立った先にはどこに行くのだろう。

当初からこれがアニソン*1だとは
全く意識していなかった。
出自を知った今になっても、その認識はさほど変わっていないと思う。

アニメソングという枠組みを超えて、純粋な楽曲としてもヒットした
銀河鉄道999』(ゴダイゴ/1979年/ by
『CAT'S EYE』(杏里/1983年/ by
などと違って、タイトルにも歌詞にもアニメのタイトルや、
登場人物名のような直接のキーワードが登場しないためかもしれない。

かといって、決してタイアップ曲*2ではない。
ちゃんとこの物語向けに作成された曲だ。
これは、劇中歌として作られたことが一因だろう。

劇中歌とは、例えば歌手である登場人物が、
話の中で持ち歌として披露する歌のこと。
ドラえもん*3でいう、ジャイアン*4
「♪俺はジャイアン ガキ大将~」、あれだ。*5

既存の曲が用いられることもあるが、
新たにオリジナルで作成されることもある。

オリジナルの劇中歌でヒットした例をいくつかあげると、
ドラマ「時間ですよ」から、
『赤い風船』(浅田美代子/1973年/ by
映画「スワロウテイル」から、
『SwallowtailButterfly〜あいのうた〜』(YEN TOWN BAND/1996年/ by)
ドラマ「ふたりっ子」から、
『夫婦みち』(オーロラ輝子/1997年試聴はこの先から
ドラマ「愛をください」から、
『ZOO 〜愛をください〜』(蓮井朱夏/2000年/試聴はこの先から
映画「黄泉がえり」から、
月のしずく』(RUI/2003年*6 by
などを思い浮かべる。
役名でリリースされているために、劇中歌であることがわかるものも多いが、
なんとも現実の中に虚構が入り込んでいて正直混乱する。

さておき、ここまでのヒット曲になると、
曲のヒットのおかげで、本編の知名度が増すという逆転現象が起こる。

事実、個人的にこれらは曲を知った方が先だ。
本編未視聴のものも多い。というか、ほとんどだ。


その最たるが『愛・おぼえていますか』。


愛・おぼえていますか (MEG-CD) シングルジャケット/amazonより
愛・おぼえていますか

愛・おぼえていますか

 
  • 作詞 安井かずみ、作曲 加藤和彦、編曲 清水信之
  • 1984年(昭和59年)6月5日、ビクター音産より発売
  • オリコン最高位7位(年間38位/1984年)
  • 歌詞はうたまっぷへ:愛・おぼえていますか 飯島真理 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:愛・おぼえていますか - Wikipedia


  • 「超時空要塞 マクロス」。
    TV版主題歌を覚えているので、再放送か何かで見たことはあるのだろうが、
    かすかほどにも内容を覚えていない。

    その劇中における、アイドルのヒットソング、
    という扱われ方だったらしく
    歌詞の方はあまり深い意味や暗喩的な内容はなく
    ありがちなラブソングになっている。

    深く意味を追求してもしょうがないのだろうが、
    ちょっとばかし掘り下げてみてみよう。


    久しぶりに対面したかつての恋人。
    声をかけてくれて、歩み寄ってくれた。
    だけど触れることはなく、
    離れていて、遠くで見守ってくれている。
    さみしかった昨日は過去。
    もうひとりじゃない。

    なんだか微妙にわけわからん。

    仮に、例えば、夢か現か、亡くなったはずの恋人が会いに来た、
    というような、ファンタジー的解釈を排除してしまうと、
    重病で無菌室に隔離されている主人公、
    もしくは、何かやらかして収監されているのが主人公。
    それでも恋人は面会に来てくれた。
    ガラス越しに向き合うだけでも、体温を感じ取れる気がする。

    そんな解釈になってしまう。


    小難しいことは考えずに、
    アニメソングという色眼鏡で見ることもせずに*7
    純粋にサウンドを楽しんでみよう。

    なんて美しい曲なんだろう。





    名曲・聴きドコロ★マニアックス

    この曲を最初に知ったのは、たしか
    カメラか何かのCM曲としてだったと認識しているのだが
    いまひとつ事実関係がハッキリとしない。

    意外とこういうのがネット検索で引っかからないのだ。

    現在の風潮では、
    ネットでかすりもしない=>間違い
    となる悲しい傾向があるのが、何とも歯がゆい。

    同様の例で、ジョン・レノンの『ウーマン』(1980年/ by)を
    初めて知ったCMもネット検索で引っかからない。
    ジョンの奥さんのオノ・ヨーコ
    「息子のショーンは・・・」とナレーションを入れていたCMに
    この曲が流れていたはずなのだが*8


    ネットとかだと、こういう古い情報を拾うことができないことが案外多い。
    古い時代の出来事で、記録にとどめる必要がなかった程度の些末なことは、
    引用元が重視されるネット上では検証が難しいからだ*9

    ネットにある古いエピソードの引用元は、
    意外と最近の記事や番組がソースだったりする。


    だけど、何かと何かがごっちゃになって
    記憶を形成している、
    そんな可能性の方が高いんだな。たいがいは。



    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    「それは始めての愛の旅立ちかしら」
    初めてではなく、始めて。
    ・・誤植だろうか。
    何かを始めてから、愛が旅立った。
    いったい何を始めたのだろう?

    EPレコード記載の歌詞がこの表記になっているので、
    この表記がオリジナルなんだろうけど、
    間違いなのか、深い意味があるのか。



    現在入手可能な収録CD/視聴可能
    やっぱ生で聴きたい人は、ライブ・イベント情報&チケット
    ▼ 飯島真理
    icon icon

    ※該当曲を聴ける保証はありません。




    脚注

    *1:説明いらないと思うけど、アニメ向けに作られた歌ね。

    *2:話の本題とは直接関係ない、いわゆる相乗りの主題歌などの楽曲

    *3:大山のぶ代時代のドラえもんね。

    *4:ジャイ子の兄ちゃんだから、ジャイアン。あんなキャラの強い兄貴のあだ名の由来になるほどだから、よほどセンセーショナルな名前だったんだな。ジャイ子

    *5:正式な曲名は『おれはジャイアンさまだ!』(たてかべ和也/1979年/ by

    *6:あ、20世紀の曲じゃないや

    *7:逆に、アニメファンからすると、いや、劇中にもっといい曲があるんだよとかいうめんどくさい話になりかねない

    *8:当時はジョンレノンもオノヨーコも知らなかったので、このおばさん誰なのよ、と思っていたけど。

    *9:wikipediaなんかでは、自明なことでも引用元を提示しないことで、警告を受けたり削除されたりする。逆にとんでもない情報でも、紙媒体の引用元を記しておけば、客観的事実として表示される。非常に馬鹿らしい