日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見による日本100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『KNOCKIN' ON YOUR DOOR』 L<->R ~つたなさがにじむ青い応援歌

 「♪あのきむにゅどぅ~」

いや、言えてないし(笑)。

 

 

個人的に、テレビの音楽番組というものを全く見ないため、

歌は知ってても、誰のなんていう曲か

まったく知らないなんてことがざらにある。

 

L<->Rとかいう妙な名前のバンド*1の、

「Knokin' on your door」というタイトルの曲が存在することは

なんとなく知ってはいたが、

曲とタイトルが結びついたのは何年も後になってからのこと。

 

タイトルから勝手に、ボブ・ディラン

『Knokin' on Heaven's Door(天国への扉)』(1973年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード ) のような

曲調をイメージしていたせいだと思う。

 

 

KNOCKIN' ON YOUR DOOR
ジャケット/amazonより
KNOCKIN' ON YOUR DOOR (Single Mix)

KNOCKIN' ON YOUR DOOR (Single Mix)

 
  • 作詞・作曲 黒沢健一、編曲 岡井大二
  • 1995年(平成7年)5月3日、ポニーキャニオンより発売
  • オリコン最高位1位(年間16位/1995年)
  • 歌詞はうたまっぷへ:KNOCKIN' ON YOUR DOOR L←→R 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:KNOCKIN' ON YOUR DOOR - Wikipedia
  •  

     

    あの唄い出しがまさか

    「♪I'm knocking on your door」と歌っているとは

    歌詞を見た今でも今ひとつしっくりこない。

     

    自分の中では今でも「♪あのきむにゅどぅ~」である。

    これも歌詞を知ったからこそで

    最初のうちは「あにょきむにゅ、むーにゅ」と聞こえていた。

    なんだか、まじかるっ娘の呪文のようだ。

     

    続く英語に至っては、もはや何と言っているのか

    歌詞を見ながら聴いてもわからない

     「♪ゆるっくんばらがあ」

     

    「You're nothing but a girl」らしい。

    言えてない、というより言ってないでしょ(笑)。

     

    カタカナ英語というよりはひらがな英語というほうが適切かも。

    だけど、この言えてない感が、実はこの曲のミソだったりする。

    つたない感じが先行して、カッコつけてる感が霧散しているのだ。

    このあたりは、同時代のDEENなんかにも言えることで、

    いい意味で青いと感じる。*2

     

     

     

    ところでところで

    おそらくは、出だしの音はドアをノックする音。

    ノックというには激しすぎる音で、

    そのあとの展開を考えると、号砲という感じの音だ。

    もっとも、スタートの号砲だとしたら

    2回鳴っているので、フライングだが。

     

    あるいは、競馬のゲートの開く音か。 ガッシャン!

     

    ・・・どうやら曲を聴くスタンスを見直さなければいけないようだ。

    最近純粋に音楽を楽しもうという気概が自分に感じられない。

    いけない。たいへんいけない。

     

     

    そんでもって、時々人に言われるんだけど、

    「それ、ちっともほめてない。」

     自分では第一級の賛辞を贈っているつもりでも

    くさしているようにしか聞こえないらしい。

     

    いやいや、褒めてますから!最高!

    ダテにベスト100のひとつに選んでいるわけではありません!

     

    解ってもらないのは判っているんだけど、

    なんといってもぐりぐり動くベースラインがいいのよ。

    この曲は。

     

     

    最初にツッコミから入って、

    (笑)

    なんて入れてしまったせいで、

    どっちへ進もうとしても

    どうしようもない袋小路に迷い込んでしまったようだ。

     

     

     

     

     

    名曲・聴きドコロ★マニアックス

    この曲を語るうえで忘れてならないのが、チャイムの音。

    チャイムといっても、玄関の呼び鈴ではない。

    コンサートチャイム、と呼ばれる楽器*3で、

    のど自慢の鐘(試聴/停止 byiTunesからダウンロード)、といった方が通りがいいだろう。

     

    この音がたいへん効果的に使用されている。

    といっても、おそらくシンセサイザーによるサンプリング音で

    生音ではない。変な話だが音程が良すぎるのだ。

    本物だったら、こんな風にかき鳴らしたら

    もっと変な反響音が出てしまうだろうから。

     

     

    それにしてもこの音をポップスで使用するには勇気がいる。

    なんだか大変仰々しくなってしまうからだ。

    ポップス系で他に思い浮かぶのは、

    FIELD OF VIEWの『君がいたから』(1995年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード)くらいだろうか。

     

     

    一方、古めの曲では比較的よく見かけ*4、 

    前出のNHKのど自慢のテーマ曲(試聴/停止 byiTunesからダウンロード)のほか、

    『ラジオ体操のうた』(1956年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード)、

    栄冠は君に輝く』(1948年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード) などに使われている。

    ほら、イメージするだけでなんだか仰々しいでしょう?

     

     

    なお、元が鐘の音をイメージして創られた楽器ということもあり、

    教会や学校をイメージした効果音としてはもってこいだ。

    山下達郎の『クリスマス・イブ』(1983年/試聴はこの先から)や、

    アニメ・キテレツ大百科の『お料理行進曲』(YUKA/1992年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード

    長崎の鐘』(藤山一郎/1949年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード)などで

    鐘の音を模した、チャイムの音を聴くことができる。

     

     

     

     

    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    いつもすぐせめぎあうlonely

    難解というよりは、正直いって意味不明だが、

    いつも孤独との葛藤にあえいでしまう、くらいの意味だろうか。

    唄い出しの一節は、無理やり解釈するならば

    「僕は君の心のドアをノックしてみるけれど、

    孤独を愛する君はいつもなかなか扉を開けてくれない」

    というような感じになるだろう。

     

    ところでlonelinessではなくlonelyなのは何か意味があるのだろうか。

    ロンリネスの方が音の収まりがいいと思うのだが。

    後に出てくる、Diary、Harmony, Ironyと

    韻を踏ませたかったのは解るんだけどね。

     

     

    「You're nothing but a girl」

    直訳すると、

    「君は一人の女の子に過ぎない」

    なんだか唐突な言葉だ。

    I'm knocking...と対にしてあるのは解るんだけどね。

    この曲の歌詞は、こういうロジックが先行しすぎていると思う。

    歌詞の構造の読みとき練習には最適かも。

     

     

    いつかすぐ笑えるさirony

    irony(アイロニー)は皮肉や当てこすりの意味。

    アイロンっぽいという意味ではない。

    悪口や陰口だって笑えるようになるさ、

    という意味だろうか。

    しかし果たして、心の扉をふさいでいる人間が、

    そこまで強くなれるのだろうか。

     

     

    なんだかほんと、今回の内容は

    ケチつけているようにしか見えないなぁ。反省。

     

     

    amazonで現在入手可能な収録CD 8曲目/試聴可能

    Let me Roll it!

    Let me Roll it!

     

    脚注

    *1:両矢印という機種依存文字を使用しないと表現できない厄介な名前(プリンスよりはましだが)。個人的には仕事でmacを使ったりもするので、機種依存文字には少し敏感になってしまう。結局、<->という記載に落ちつけた。

    *2:おっさんの視点のせいかもしれないけど。

    *3:正式(?)には、チューブラーベル、というらしい

    *4:いや、聴きかけ、か。