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日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100曲を紹介

『名もなき詩』 Mr.Children ~ プライドを捨てきれていないのは、自分。

なんでこの歌には名前が無いんだろう。

そんな本質とは離れた

比較的どうでもいいことを深く考え始めると

思考はドツボにはまっていく。

 

 

名前がない状態というのには

いくつかパターンがあると思う。

 

ひとつは、まだ名前が付けられていない状態。

出生届を出す前の赤ん坊のような状態。

 『吾輩は猫である』の猫のような状態。

いつか名付けられるであろうが、未だ決定せずの状態。

 

ひとつは、まだ名前を知らない状態。

「♪どこの誰かは知らないけれど、誰もがみんな知っている」月光仮面状態。

名乗るほどのモンじゃございやせん。

ああ、あの方は何処。

または、行路病者や無縁仏など。

本当の名前はあるハズなんだけど、あいにく存じ上げずの状態。

 

ひとつは、存在が未知なるもの。まだ見ぬ何か。

いつか現れる白馬に乗った王子様とか、未確認飛行物体とか。

または、新発見の彗星を追い求める天文学者の目指すものや

世界の根源や果てを突き詰めるの物理学者の求める真理など。

フロンティア精神に則って、鼻息も荒く、発見と名付け競争でもある。 

 

 

 

だけどこの曲に名前がないのは実はそんなんじゃなくて、

その意味するところを端的に表す、

「タイトル」を言葉にするのが

照れくさい、ためらわれる、認めたくない、カッコ悪い。

要するに自尊心が邪魔をして名付けられない。

そんなつまらない理由だ。

 

「♪妙なプライドは捨ててしまえばいい そこから始まるさ」

なんて言っている本人がこれだから。

 

 

恋人との些細な感情の行き違い

それを取り繕うのに、照れくささまぎれに

ずいぶんカッコつけた言い回しで

名もなき詩」と銘打ったごたくを並べていく。

 

 

「♪ちょっとぐらいの汚れものならば残さず全部食べてやる」

短所だって、すべて受け止めるぞと、器の広いところを見せてみたり、

 

「♪君が僕を疑ってるんなら この喉を切ってくれてやる」

自分の正統性と誠意をアピールしてみたり*1

こんなことで死なれたら相手が困るが。

 

 

 

 だけど、

「♪いらだつような街並みに立ったって」

「♪不調和な暮らしの中でたまに情緒不安定になるんだろう」

ああぁ、そんなんじゃまだまだ、彼女、不機嫌だよ。

まわりに八つ当たり始めそうだよ。

 

「♪自分らしさの檻の中でもがいているなら 僕だってそうなんだ」

理想と現実のはざまで揺れ動いているのは、

君だけじゃない、僕だってそうなんだと、

共感と理解を示してみたり。

もっとわかりやすい言葉で表現しないといけないと思うけどね。

 

 

いろいろ言ってみたけど、最後に、

「♪愛情っていう形のないもの 伝えるのはいつも困難だね

だからダーリン、この名もなき詩をいつまでも君に捧ぐ」

 

だからちゃんと名付けようよ。

ご免なさい、の歌だって。

そうだねわかるよ、の歌だって。

愛してる、の歌だって。

名もなき詩、なんて変にカッコつけてないでさ。

 

 

 

深読みしようと思えば

いくらでも深読みできそうな歌詞だけど、

こんな、はたから見れば

ほほえましい愛情表現の歌と思って聴けば、

 

まったく、何とも人臭く、かわいげのある曲ではないか!

 

 

 

 

 

 

名曲・聴きドコロ★マニアックス

このころのMr.Childrenの曲は、

歌詞やアレンジなどにThe Beatlesへの露骨なオマージュが

あちこちに垣間見られ、その道の人々をニンマリとさせやがる。

 

わかりやすいところでは、『Tomorrow Never Knows』(1994年/Mr.Children)なんて

タイトルがまんま『Tomorrow Never Knows』(1966年/The Beatles)だし、

 

わかりにくいところでは、『花-Memento-Mori-』(1996年/Mr.Children)では

大サビのリフ*2に『Hey Bulldog』(1969年/The Beatles)のリフが使われているし。

 

 

名もなき詩』についても、ご多聞に漏れず、

明らかに『涙の乗車券(Ticket To Ride)』(1965年/The Beatles)を

下敷きにしたリズムをベースに進行している。

歌詞中の「Oh! Darling」は『Oh! Darling』(1969年/The Beatles

だというのは、、、いくらなんでも穿ちすぎだ。

*3

 

盛りだくさんなのが『Cross Road』(1993年/Mr.Children)で、

前出の『Ticket To Ride』に加え、

『Long And Winding Road』(1970年/The Beatles)、

『Living In The Material World』(1973年/Geaoge Harrison*4)が

歌詞に散りばめられている。

 

今回も、だからどうしたという話でした。

 

 

 

あ、そうそう忘れるところだった。

もう一つ、

大サビからの強引な戻り方がすごい。

「♪自分の胸に突き刺さる」から

「♪だけど」と力技で持っていったかと思うと、

何事もなかったかのように「♪あるがままの心で・・」

おお、良く戻って来たな、

と感嘆の声を上げずにいられない。

 

まあ、元々『Ticket To Ride』のリフからの

サビに持っていく部分に強引さがある曲なので

この強引さも許容範囲内に収まっているんだろうな。

 

これもだからどうしたという話。

 

 

 

意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

「ノータリン」

 漢字交じりで書くと、脳足りん。

脳みそが足りていないということ。

 

不調和な生活くらし

言葉通りにとれば、バランスの取れていない不釣り合いな暮らし、

あるいは身分不相応な生活という意味合いになるが、

ニュアンス的に言いかえると

自分のやりたいこととかけ離れた生活、ということだろう。

 

不調和にしても生活にしても

なんでこんな言葉を当てはめたんだろうね。

 

 

 

 

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深海

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名もなき詩シングルジャケット/amazonより

作詞・作曲 桜井和寿、編曲 小林武史 & Mr.Children

1996年(平成8年)2月5日、トイズファクトリーより発売

 

歌詞はうたまっぷ

Mr.Children/歌詞:名もなき詩/うたまっぷ歌詞無料検索

 

曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい

名もなき詩 - Wikipedia

 

オリコン最高位1位(年間1位/1996年)

脚注

*1:ガキか。

*2:平たく言えば、伴奏の奏でるメロディーのこと

*3:こういうのを認めてしまうと、世界中のいろんな歌がロックバンド「yes」のオマージュになってしまう、といったような無理が生じる

*4:ビートルズのギタリスト