日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見による日本100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『田園』 玉置浩二 ~ 本当にみんないるのかな。自分だけハブかれてない?

『田園』という、本文中にカケラも登場しないタイトルもさることながら
歌詞にしたって、結局のところ何が言いたいのか正直よくわからない。
難しい言葉なんて何ひとつ使われていないのに。


「僕」は、石ころを蹴飛ばし、夕陽に泣き、
陽だまりの中、がむしゃらに走る。

「君」は、夜空見上げて、星に祈り、
そろばんはじいて、頭を抱える。

「あいつ」は、油にまみれて、黙り込み、
空っぽのミルク瓶に、タンポポを挿す。

「あの娘」は、仕事ほっぽらかして、頬づえつき、
道を外れちゃって、途方に暮れる。


「僕」や「あいつ」のような男連中は、なんだかとってもロマンチストで、
「君」や「あの娘」のような女性陣は、現実の生活の中でもがき苦しんでいる。

そこまでは判るが、何故かは解らない。

田園
シングルジャケット/amazonより
田園

田園

  • 玉置 浩二
  • ロック
  • ¥255
 
  • 作詞 玉置浩二・須藤晃、作曲 玉置浩二、編曲 藤井丈司
  • 1996年(平成8年)7月21日、ソニーレコードより発売
  • オリコン最高位2位(年間25位/1996年)
  • 歌詞はうたまっぷへ:田園 玉置浩二 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:田園 (玉置浩二の曲) - Wikipedia


  • それにしたって「僕」ばっかりカッコよすぎやしないか。
    話の展開としては、もっとカッコ悪い部分をさらけ出した方が、良かったんじゃないのか。

    だってこれ、できなくたっていい、見てくれがカッコ悪くてもいい。
    頑張って生きていることがカッコイイんだ、
    って曲なんじゃないかと思うから。
    それともその解釈自体が間違っているのかなぁ。

     周りのみんなのカッコ悪いところを歌いつつ、
    自分のカッコ悪いところを見せるのは、
    本当の自分をさらけ出すのを、ためらっているように見えてしょうがない。


    そして、僕やみんな、愛はここにあるんだから
    君は、どこにも行くことはできない、と断言する。
    他に何ができる?とまで問うてみせる。 


    うわぁ、なんだか勝手だなあ。
    そんな勝手なものにもかかわらず、なんだかとても勇気づけられるのが、
    なんだかとっても、変。


    おっと、ここで結論出ました。
    この曲、 変。



    名曲・聴きドコロ★マニアックス

    静かな高揚感、と表現するのが良いだろうか 。

    馬の駆る音のような、タッタカタッタカ、というリズムに合わせて、
    平坦なメロディーが、時にうねりながら疾走していく。

    この手のリズムの曲は意外と珍しい。
    『スイス軍隊の行進(ウイリアム・テル序曲)』 by*1のような
    クラシック曲では時折耳にするような気がするが、
    ポップスではあまり聞き覚えがない。
    パッと思いつく限りは『ハイスクールララバイ』(イモ欽トリオ/1981年/ by )
    くらいだろうか。
    (探せばほかにもいくらでもあるのかもしれないけど。)


    そのためか、なんだかすごく独特な雰囲気をもった魅力的な曲に感じてしまう。
    なんだかとっても捉えどころのない、
    アピールポイント不明の曲であるにもかかわらず。

    特筆すべき点をあえて挙げるとすれば、歌詞のない、叫んでいるような歌唱の部分。
    この部分だけ、馬の駆けるようなリズムではなく、通常の8ビートになっている。
    そのせいで、急にテンポアップしたように錯覚してしまうのだ。

    だからこの部分が、この曲の一番の盛り上がりのようになっている。
    「♪生きていくんだ それでいいんだ」のサビ部分よりもね。


    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    田園
    結局のところ、表題曲の最大の難解部分はこのタイトルにある。
    単なるフィーリングで付けた可能性も否定できないが。

    「街にはじかれて」ドロップアウトした先が田園なのだろうか。
    ほかのみんなが現実の中で働いてもがいている中、
    僕だけが石ころや夕陽、陽だまりのような自然の中で
    感情を殺さず生きているように見える。


    僕がいるんだ 君もいるんだ みんなここにいる
    タイトルと相まって、ムラ社会における「輪」をイメージしてしまうんだが、
    はたしてその解釈で合っているんだろうか。
    このあと、「愛はどこにも行かない」とあるので
    なんとなく閉鎖的なムラ社会の印象を受けてしまう。


    現在入手可能な音源

    【オリジナルアルバム】
    CAFE JAPAN

    CAFE JAPAN

    • アーティスト:玉置浩二
    • 発売日: 1996/09/13
    • メディア: CD

    【ベストアルバム】
    やっぱ生で聴きたい人は、ライブ・イベント情報&チケット
    ▼ 玉置浩二
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    ※該当曲を聴ける保証はありません。





    脚注

    *1:【ウイリアム・テル序曲】ジョアキーノ・ロッシーニ作曲。ある一定世代以上にはひょうきん族のオープニング曲と言った方が通りがいいかもしれない