日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見による日本100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『B・BLUE』 BOØWY ~ Bの意味するところ。考える人の数だけ答えはある

“作者のもっとも言いたかったことは何か?”

というかなりの無茶問題が、しばしば国語のテストに見受けられる。

 

「知るかボケ」

が最も適切かつ適格な答えだと思うが、

今も昔もそんな答えは許されないようなので

テストに於いてはそれっぽい回答を用意しなくてはいけない。

 

「それっぽい回答」というのが重要で、

要はいかに大多数の人を納得させられる答えを用意できるか

それだけがいわゆる正解に導くポイントだ。

つまりは多数決理論。

 

「作者」が決して人格破綻者ではなく

一般的な思考の持ち主であるという、

見ようによっては、見当違いも甚だしい前提に基づいている。

 

似たような例で、推理小説などで

「普通こうする」みたいな推理を行う探偵がいるが

事件を起こすような性格破綻者が、通常の行動原理で動くと

考える方がおかしいではないか。

 

 

 

さて、長い前置きを使って、あらかじめ言い訳をしておいたところで、

いったいぜんたい、この楽曲のタイトルにある

「B」とは何なのだろうという、

間違えなく答えの出ない問題に取り組んでみようと思う。

 

ビー・ブルー [EPレコード 7inch]
シングルジャケット/amazonより
B-BLUE

B-BLUE

 
  • 作詞 氷室京介、作曲・編曲 布袋寅泰
  • 1986年(昭和61年)9月29日、東芝EMIより発売
  • オリコン最高位7位
  • 歌詞はうたまっぷへ:B・BLUE BOΦWY 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:B・BLUE - Wikipedia
  •  

     

    まさか、「ブ、ブルー?」と

    どもっているとは思えないので、

    さしあたっては、とりあえず歌詞の中に「B」を探してみよう。

     

     

    「♪Oh Baby, Blue」

    と歌っているので「Baby」かとも思うが

    あくまでこのBabyは、「Oh Baby」のほうにかかっているので

    単独でBlueにくっつけてしまうと訳がわからない。

     

     

    続いて見つかるのは「Broken」と「Boys」。

    意外なところでいうと「器用」の「B」。

     

    "Broken Blue"(打ちのめされた憂鬱)、

    "Boys Blue"(青ずくめの少年たち)、

    "不器用ブルー"(戦隊モノのブルーのあだ名か?)

    どれもなんとなく面白くて好みだけど、

    並べてつなげることに、もともと無理があり、内容にもそぐわない。

     

     

    あるいは、次点、対抗馬、の意味合いを持つ

    「B」という考えはどうだろう。

    この用例ではB級グルメB級映画などの

    「B級」という表現がいちばんおなじみだろうか。

     

    "B Blue"(抑えとしてはアオっしょ。本命はやっぱアカかな?)

     

     

    英語で俗にYouを「U」、Seeを「C」のように表現することがある。

    ひとつの単語を、発音が同じアルファベット1文字に置き換えているのだ。

    では「B」だとすれば何か。

    "Be Blue” だろうか。

    やや意訳気味だが、「落ち込んでろ」という意味になる。*1

    結構それっぽい答えで、これをテストの回答とするために

    こじつけの説明をいくつかでっち上げてもいい。

    いやいや、それなら"Bee Blue"(蜂のことを考えるだけで、ほんと憂鬱っ)

    でもいいじゃないか。

    まったく意味通じないけど。

     

     

    いろいろととりとめもなく挙げてみたものの

    まあ、予想通りというかなんというか

    決定打となる根拠がどれにもない。

     

    そもそも、ものの本によると、

    この曲のもともとのタイトルは『True Blue』で、

    同じ1986年9月にリリースされたマドンナのシングル曲(試聴/停止 byiTunesからダウンロード)と

    かぶってしまったため変えたものとか。

     

    やっぱ意味なんてないんだろうな。

    たぶんこれも、最適解は

    「知るかボケ」なんだろう。  

     

     

     

    最後に、無理やり解をもう一つあげておこう。

    チャック・ベリーの名曲『ジョニー・B・グッド』(1958年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード)のように

    Bは人の名前のイニシャルという考えだ。

     

    たとえば、Bobby Blue(ボビー・ブルー)さん19歳。通称B・B。

    どこにでもいる、ちょっとシャイな青年だ。*2

    彼がこの物語の主人公だ。

     

    B・Bは彼女と続いた夢の日々が失われたことに涙し、

    そして今度こそは彼女に幸せになってほしいと、本気で願っている。

     

    二人で幸せになることはできなかったけど

    お互い、破れた恋を背負って、

    幸せになろうと誓うのであった。

    そんなB・Bの物語。

     

    ・・・ダメ?

    国語のテストであればペケだよな。

     

     

    名曲・聴きドコロ★マニアックス

    ノイズ音を交えた出だしの力強いドラムソロが印象的。

    そしてボーカルの導入をいざなうように

    ギターがシンプルだが効果的なフレーズを入れる。

     

    ノリのいいロックの始まる予感。

     

    Aメロまでは完璧だと思う。

    リズムを刻むギターの音が不規則にギャーと鳴るのも

    故意か偶然か、いいアクセントになっている。

     

    だけど、Bメロ、サビと進むにつれて

    氷室の主旋律がメロディアスになっていくのに反して

    そんな予感がだんだん薄まってしまうのがちょっと残念。

    決して悪くはないんだけど、何かが足りない。

     

     

    よく言われるように、BOOWYの魅力って、

    シンプルなロックっぽさと

    謡曲っぽいメロディーの融合なんで、

    ある種しょうがないんだけども。

     

    サウンドに関して、後年の『季節が君だけを変える』(1987年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード

    くらいまでこなれてくると、もっとピシッとしたんだろうけど

    そのころにはバンド自体が消滅に瀕していたらしいので

    難しいところだよね。

     

     

    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    本文が、曲にあんまり関係ない方向に行ってしまったので

    なんとなく全文日本語訳行ってみようか。

     

    感情を忘れたような君の醒めたつぶやきに込められた、

    別れの言葉をすぐには理解できず、

    不意にあふれ出た涙で霞む街並みは、

    急激に色あせ、つまらない景色になってしまった。

     

     

    いい思い出として振り返るにはまだ早いんじゃない?

    可哀そうな天使。僕が孤独にしてしまったんだね。

    もう僕には君を幸せにしてあげることは出来ないみたいだけど

    心から、次こそ君には幸せになってほしいと思う。

     

    愛しき君よ、本当に。僕はいつも素直じゃなかった。

    愛しき君よ、本当に。なぜなら君のやさしさが照れくさかったから。

     

     

    ポケットに入ってしまうくらいの

    ちっぽけな夢だったけど

    それだけを信じて生きることができたんだ。

    いつまでも信じていられると思っていたんだ。

     

    ふたり愛し合った夜も

    僕の天使は、実は不安で孤独だったんだね。

    その笑顔の裏に隠れていた孤独に、

    僕は気づかなかった。

     

    愛しき君よ、本当に。愛することが下手くそだった僕。

    愛しき人よ、本当に。知らないうちにお互い傷つけあっていたんだね。

    愛しき人よ、悲しいね。いつも抱き合っていたはずなのに。

    愛しき人よ、悲しいね。僕たちは、お互い求めるものが違っていたんだ。

     

     

    失意に折れた翼を広げて。破れた翼だっていいんだ。

    失意に折れた翼を広げて。もう一度飛んでみよう。

    失意に折れた翼を広げて。悲しみに押しつぶされた心のままでいい。

    失意に折れた翼を広げて。もう一度みんなに笑いかけてみよう。

     

     

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    BEAT EMOTION

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    脚注

    *1:直訳するなら、「憂鬱であれ!」

    *2:キャラ設定を考えるのって楽しいけど、冷静に考えるとだいぶ痛いよな。だからこの程度でやめておく。