日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見による日本100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『まゆみ』 KAN ~ 無償の愛、受ける側には結構ありがたくない

たぶん守秘義務があるので、詳しいことは言えないが

ときどき仕事で有名無名のミュージシャンの動向を知ることがある。

 

世間的には、『愛は勝つ』(1990年/ by)で

一発屋として知られるKAN(失礼)が

弾き語りばったり」とかいう単独ライブを開いてることを知ったのはそのためで、

何年かにわたって、下請けの下請けみたいな感じで、ごくごく端の仕事を請け負っていた。

 

毎回

弾き語りばったり #7 ウルトラタブン」

弾き語りばったり #11 言った、言わない」

のように

番号と、駄洒落にもならないような副題がついているのだが、

どういうわけかその番号が、毎回飛び飛びだった。

たぶん、飛び飛びに仕事の声がかかっているのだろうと思っていたが、

この稿を書くにあたりWikiを覗いてみたら、この番号は

素数*1を小さい順に追って増えているとのこと。

どおりで5の次が7で、その次が11だったわけだと納得したと同時に、

ここ数年は本当に声がかかっていなかったことも知った。無念。

 

まゆみ シングルジャケット/amazonより
まゆみ

まゆみ

  • Kan
  • J-Pop
  • ¥250
これは後年の再録バージョン
  • 作詞・作曲 KAN、編曲 小林信吾
  • 1992年4月21日 ポリドールより発売
  • オリコン最高位17位
  • 歌詞はうたまっぷへ:まゆみ KAN 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:まゆみ (KANの曲) - Wikipedia
  •  

    さてそのKANであるが、個人的にイチ推しなのがこの『まゆみ』。

    先ほどのライブ名にもあったように、ピアノによる弾き語りではじまる。

    さり気ない小曲、という感じの出だしで大変良い。

    「♪最近の君はどう?僕はね少しフテ腐れてるよ。」なんて感じに

    「まゆみ」に対する、つぶやきにも似た投げかけを

    行う構成になっている。

     

    だけどどうも、名前の入った曲を歌うとなると、 

    なんでか身構えてしまったりするね。

    特に知り合いに同じ名前の人がいたりすると。

    もちろん別段にどうこう思っているわけではないんだけど、

    どうしてもそういつへのメッセージみたくなってしまうんじゃないかと。

     

    それがたとえ、知っている「まゆみ」が

    阪神真弓明信氏だけだったとしても同じだろう。

     

    それは、『SACHIKO』(ばんばひろふみ/1979年/ by)だったり、

    『順子』(長渕剛/これも1979年/ by)だったり、

    『安奈』(甲斐バンド/これも1979年。なぜ?/ by) だったり、

    サザエさん』(宇野ゆうこ/1969年/ by )だったりするわけだが、

    たとえ浮かぶ相手が還暦過ぎの方だったとしても、

    もし本人がいればその前でお気に入りの曲、と披露するのは実にこっ恥ずかしい。

    ・・・明らかに考えすぎなのは確か。自意識過剰とはまさにこのこと。

     

    ヤケになって、サザンオールスターズの『チャコの海岸物語』(1988年/ by)を

    「♪心から好きだよ○○」と彼女の名前で歌うことも起こるわけだ。

    周りがはやし立てて半ば強要する場面も時折みられる。

    アイタタタタタタタタタタタ

     

     

    脇道ばかりでちっとも本題に入れない。さて『まゆみ』だが、

    まゆみちゃん(もしくはまゆみくん*2)に対して

    人生に迷った時のために、先輩としてのささやかなアドバイス

    歌に託して贈るというのがテーマになっている。

     

    さだまさしの『案山子』(1977年/ by)や、

    かぐや姫の『なごり雪』(1974年/ by)のように

    目上の男性*3、たぶん実の兄貴あたりからの目線で綴られるのだが、

    こういう助言って、受ける方からすると本心からウザかったりする。

    何解ったようなこと言ってんだ、という気持ちの方が先に立ってしまうんだよね。

     

    主人公も、それをわかっているのか最後に

    「♪こんなことしか言えない僕を許して」 

    と及び腰に逃げを放っている。 

    多分にテレもあるのだろうけど。

     

    なにせ「♪一番透き通ってて美しい水って何か知ってるかい?」

    の答えが

    「♪恋をして 切なくて」「♪こぼれた涙がきっとそうだよ」

    だもんな。

    兄貴が言っている、という仮説を取り下げたくなる。

     

    そうだ、まゆみちゃんお気に入りのクマのぬいぐるみが、

    動けないながらも心だけ持って、心の中で歌っているという

    メルヘン設定ということで切り抜けよう!!

     

     

     

    ところで、大サビの最後に入る、いちばんの盛り上がる部分の間奏、

    知っている人が聴けば、明らかに

    ビートルズの『マジカル・ミステリー・ツアー』(1967年/ by)の

    出だしの音だとわかる。正直言ってこれが余計。

    これさえなからましかばとおぼえしか。

     

    ビートルズつながりで、Aメロからサビに移る

    ピアノの「タターン、タターン」という単音のフレーズ

    これも絶対ビートルズからの、そのまんまの引用だと思っているのだが、

    どこからの引用かがハッキリしない。

     本命:『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』(1967年/ by)、対抗『レディ・マドンナ』(1968年/ by)、大穴『ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト』(1967年/ by)だろうか

    何だかはっきりしないので、サージェントペパーズからアルバムを順繰り

    ワンコーラスずつ端折りながら聴いて行って

    戻って結局一周してみたがみつからない*4。なぜだ

    誰か教えて。

     

     

    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    「つまらない時のために」

    暇でしょうがない時のために、という意味ではない。

    全てがつまらなく感じてしまう、そんな人生に迷いが生じたときに、の意味。

     

     

     

     

     

     

     

    現在入手可能な収録CD/視聴可能
    TOKYOMAN

    TOKYOMAN

     

     

     

    脚注

    *1:1と自分の数しか約数がない数。1から2, 3, 5, 7, 11…と続く。

    *2:歌詞のどこにも「まゆみ」が女性であると示す言葉は存在しないのだ

    *3:これも男性とも限らないんだけど

    *4:一番近いのは、アンソロジー収録の『The Long And Winding Road』だったが、なんか違う。