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暗転した舞台に、三味線と鼓による 『天城越え』(1986年/※試聴環境がないようです by)のイントロに導かれ スポットライトを浴びた、石川さゆり登場。 途中、新曲や、持ち歌以外のスタンダードを交えつつ、 『能登半島』(1977年/※試聴環境がないようです by)のようなヒット曲や 『ウイスキーが、お好きでしょ』(1991年/※試聴環境がないようです by)などの小品をからめて、 ラストにこの『津軽海峡・冬景色』を持って来れば 熱心なファンじゃなくても、お客さん皆大満足なこと…
小気味よい軽やかなリズムに乗せて 異様なほど伸びやかなボーカルが紡がれる。 そして歌詞を見て驚く。 これだけ?*1 そう。たったこれだけの文章。 シングルジャケット/駿河屋より 花嫁はしだのりひことクライマックスポップ¥250provided courtesy of iTunes 作詞 北山修、作曲 端田宣彦・坂庭省悟、編曲 青木望 1971年(昭和46年)1月10日、東芝音楽工業より発売 オリコン最高位2週連続1位(年間7位/1971年) 歌詞はうたまっぷへ:花嫁 はしだの…
巡り合わせの妙とはいえ、 実はこの曲がオリコン史上初のミリオンセラー。 といっても、それまで100万枚売れた曲がなかったわけではない。 オリコンが集計を開始した1968年以降で最初、というだけのものだが、 選りによってしょっぱながこれ。 ・・・なんて幸先のいいスタートなんだだろう! 別に皮肉でもなんでもなく、 エンターテイメントとしての音楽、 もっとくだけた言い方をすれば 細かいことなんか抜きにして楽しもうや、という まさに音楽の原点をついた出来事だったと思う。 小難しい音楽…
なぜに? 「♪好きなんだけど 離れてるのさ 遠くで星を見るように」 なぜに? 「♪好きなんだけど 黙ってるのさ 大事な宝隠すように」 なんという消極さ! 情熱的なはずのフラメンコ*1に乗せて 「♪壊したくない 無くしたくない」 同じ内容の歌詞を、言葉を替えつつ繰り返し、 「♪だ・か・ら」 奥ゆかしいを通り越して、 くどくどと言い訳じみている。 なのに、どこかカッコつけているのが大変イタい。 シングルジャケット/amazonより 星のフラメンコにしきの あきらJ-Pop¥250…
「♪穿こう 穿こう 鬼のパンツ!」 のとんでもない邦訳(というより替え歌か?)でもおなじみの 『フニクラ・フニクラ』*1と同じような、 観光PRソングだとばかり思っていたが、 どうも違うらしい。 また、歌のモデルとなった鉄道は、 かつて長野県の軽井沢と群馬県の草津を結んだ 草軽軽便鉄道だと思い込んでいたが、 それもどうも違うらしい。 なんだか、調べるほどに思い込みと勘違いだらけだったことに気付く。 『フニクラ・フニクラ』にも通じるアルペン風の曲調と、 「牧場」「白樺林」「山越…
そもそもラプソディとは何ぞや、 という疑問が先に立つ。 ラプソディといえば、この1936年の『東京ラプソディ』をはじめ、 『ボヘミアン・ラプソディ』(クィーン/1975年/※試聴環境がないようです by) 『新しいラプソディ』(井上陽水/1986年/※試聴環境がないようです by) 『ラプソディ・イン・ブルー』(DA PUMP/1998年/※試聴環境がないようです by)*1 など、古今東西に冠する曲は数あまたあれど、 その意味するところはあいまいではなんだかよく判らない。 …
「♪ハァ~」で始まる曲は数多くあれど、 その最高峰に位置し、いまだに盆踊りの代表曲であるこの曲は、 なんと1933年(昭和8年)のリリース。 三味線と小太鼓、合いの手の掛け声という、お座敷唄の様式をベースに、 太鼓と管弦楽伴奏を加えて音に厚みを持たせている。 まさに、ザ・音頭といった趣。 というより、この東京音頭が、「音頭」というジャンルを ひとつのジャンルとして確立させたといった方が正しいのかもしれない。 振り付けなんか全然知らないけど、 この曲が流れてくれば思わず小躍りし…
甘えるような猫なで声が、歌詞の青さと相まって、 幼さの残る年頃の、恋物語を引き立てている。 男目線の歌を女性がボーカルをとることで、さらに主人公たちの幼さを連想させる。 たぶん、中学生くらいなんだろうな。 「♪友達見つけて離れて歩いた」 男女二人っきりでいるところを、目撃されてからかわれるのが嫌。 なんとも初々しい、そんな年頃。 キャッチ―なメロディなので、老若男女問わず楽しめるけど、 決して当事者である年代向けの歌ではないと思う。 いい大人が、かつての淡い恋心を思い出して、…
つまりは、この「花火」っていうのは、 恋心のことなんだよな。たぶん。 理由はわからないけど、どうしてもあきらめなければいけない恋。 「♪夏の星座にぶら下がって 上から花火を見下ろして」 一歩引いた位置から俯瞰するように、客観的に自分の恋心を眺めてみた。 「♪確かに好きなんです 仕方ないんです」 恋している。間違いなく。こればっかりは否定できない。 「♪涙を落として火を消した」 やっぱりやめよう。現実的に考えて、泣く泣く恋をあきらめた。 「♪バイバイバイ・・・」 と恋心に別れを…
あぁしまった!そうだった! と関西弁で叫んでいるようにしか聞こえないが、 「そぉや~ん!!」こと、『So Young』。 頑なまでに日本語にこだわり、最後まで英単語のひとつも使わず*1に 絞り出すように、ラストにしてようやく叫んだ英語でもある。 チャラチャラしたカッコだけの英語とはわけが違う。(と思う) The Yellow Monkeyの曲を、ああ、これ凄くいいな、と最初に思った曲。 弟の持っていたベストアルバムに入っていた。 この曲をきっかけに、時代をさかのぼるようにイエ…
カラオケでこの曲を選曲した人がいたならば、 ぜひとも勝手にハモりパートを歌って迷惑がられたいと 常日頃から思ってやまないのだが、ついぞその機会に巡り合わない。 というより、今の今までただの一度も、この曲やこのグループの話題が 会話に登場したことも、街角で巡り当たったことすらもない。 うすうす感じてはいる。 この曲、本来百名曲に選ぶような対象ではない。 知る人ぞ知る名曲、とか、隠れた名曲、そういうのにピッタリの曲だ。 だけど選ばずにいられなかった。 だってこんなにいい曲なのだか…
歌い出しに現れる無音の瞬間にゾクっとくる。 曲の随所にみられる、そういう"古臭い"テイストが、この曲のキモだったりする。 古臭いといっても、世代を超えた大昔ではなく、 ひとりの人間が、ふと余裕をもって振り返ることができる程度の過去。 どこかで見聞きしたことがある、という知識としての過去ではなく、 実体験として、身をもって覚えている、過去だ。 雰囲気からして、おおよそ10年くらいさかのぼった、 つまりは表題曲のリリース年である1997年からみた10年前、 1980年代中盤のテイ…
時は、大航海時代。 何かの物語の主題歌ではないことが不思議なくらいな、 なんとも寓話的なシチュエーション。 それにしても視点が斬新。 主人公の役どころは、なんと「悪魔のささやき」。 自分が悪女と思われることもいとわず、むしろ余裕しゃくしゃくとばかりの口調で、 まるで子守歌でも聴かせるかのように、そしてすべてお見通しとばかりに、 ただ淡々と相手に語りかける。 人の心は、人が信じようとするより、はるかに儚はかなく、 誰もが心に弱さをかかえている。 だからあなたが誘惑に負けることが…
何とも奔放なギターが、ある意味ほほえましい。 YUKIのヘタウマ*1なボーカルの後ろで、ちょこまかと動き回るさま*2は、 テレビ中継のレポーターの後ろのほうで、画面に映り込もうと跳びはねる悪ガキどものようだ。 リズムとか音程とか本当にこれでいいの? と疑ってしまいそうなトリッキーな演奏だが、 いやいやどうして、要所要所でメロディーにガッチリ 噛み合っていて、邪魔になっていない。 こんなにノイジーなのに。 雑音にしか聞こえなくて、これは無いほうがいいんじゃないの? なんて思った…
せつない内容の歌なのに、なんでだろう。なんだかとってもオシャレ。 ピアノを中心として、ベース、ギター、ドラムスといった アコースティック*1の楽器を並べ、 トランペットを中心にしたブラスアンサンブルとストリングスで飾り立てることで、 ニクいまでの“大人な感じ”を演出している。 個人的にはストリングスと、キラキラした音の鳴る楽器*2は 正直余計だったかなと感じてしまうんだけど、 ただでさえ装飾の少ないこの曲においては、 ヒット性を生み出す上で、必要なものだったのかもしれない。 …
B'zの松本孝弘というギタリストは、 自分で作曲とアレンジを行っていて、かなりのテクニックを誇示しているクセに、 なぜか、一歩引いている印象を受ける。 ああ見えて意外に自己顕示が少ないんじゃないかと。 わかる人にだけわかってもらえれば、OK。 少なくともレコードでは、そういう印象を受ける。 『Love Phantom』でも、最初に爆音から駆け上がるような ギターを響かせたと思うと、あっという間に ほかの音に吸い込まれて背後にそっと引っ込んでしまう。 そして、稲葉浩志のボーカル…
まったくの個人的観点から言わせてもらうが、 バンド・サウンドのベストはイエモンだと思う。 おそらく意識的に超高音と重低音を排除し、 中低音の音域にどっかと腰を据えた骨太のサウンドに、 話し言葉のような日本語を載せている。 そのせいだろう、歌詞カードがなくても 何をしゃべっているのか割合はっきりと聞き取れる。 そう、歌っているというよりは喋っているような感覚。 そして、これは意識しているわけではないと思うが、 アクセントがおかしくなるくらいであれば、 平然とリズムや旋律を変えて…
日本の流行歌史上、大きな位置を占めるこの名曲は 「君」を何と解釈するかによって、歌詞の意味が大きく変わってくる。 そもそもが全体に抽象的で、暗喩のようなキーワードばかりで 具体的に何を言っているのかさっぱりわからないのだから、 それは当然のなりゆきともいえる。 普通にラブソングとして考えれば、 「君」は手の届かない女性と捉えることができる。 しかしいや待て。草野マサムネによるスピッツの歌詞の世界は かなりメルヘンの世界に通じているフシがあるので 「君」といっても、必ずしも人と…
あらためて歌詞を見てみると、意外なほど愚痴っぽいのに、 なんだかとってもハッピーなうた。 みんなでワイワイと適当な楽器を持ち寄って、 せーのでこの曲を演奏してみるだけで、 たぶんきっと下手なりにもみんなハッピーになれる。 タンバリンをシャリシャリ鳴らしているだけでもいい。 曲の終わりに「シャララララララララ・・・シャン!」と決めるだけでも、 気持ちいいこと請け合いだ。 何せこの曲、2つのフェーズしかない。 「♪走る街を見下ろして のんびり雲が泳いでく」から始まる10小節と 「…
よくぞ名付けたり、『夏の日の1993』 これで1993年の夏のヒット曲でなければ もはや嘘を通り越してペテンである。 ピンク・レディー『カルメン'77』(1977年/※試聴環境がないようです by)、 中森明菜『十戒(1984)』(1984年/※試聴環境がないようです by)、 本田美奈子『1986年のマリリン』(1986年/※試聴環境がないようです by)、 hitomi『LOVE2000』(2000年/※試聴環境がないようです by)などなど、 リアルタイムの年を冠した曲…
沖縄音楽の最大のヒットが、 このヤマトンチュ*1による『島唄』だったのは、 ちょっとした皮肉だったろうか。 しかし、 『ハイサイおじさん』*2(1976年/※試聴環境がないようです by)や 『すべての人の心に花を』(1980年/※試聴環境がないようです by)で、 喜納昌吉らが長年かけてコツコツと浸透させてきた沖縄音楽を 一気にポピュラーソングまで持って行った功績は大きい。 まるで様子窺いのように、最初に沖縄でリリースし、 局地的にヒットさせたあとで、ファンの要望にこたえる…
おそらくは、本人たちですら意図せぬままに、 頂点まで登り詰めてしまった、偉大なるマイナー、米米クラブ*1。 推測でしかないが、この歌にしても、もしかすると 元々はトレンディー路線のポップスに対する、単なるパロディだったのかもしれない。 例えば、『君がいるだけで、心が強くなれる』 なんてフレーズ、スゴくそれっぽいじゃん?みたいなノリの。 そんな妄想さえ抱かせてしまうほどの、アンチ正統派感が、 彼らにはある。 そう考えると、音の切れ目と、言葉の切れ目が全然かみ合っていないのも こ…
心の叫びを絞り出すような、心に響くメロディーに おもわず勘違いしそうになる。 「♪心の底から誰かを愛することができるはず」 「♪誰もが Wow.. 愛する人の前を気づかずに通り過ぎてく」 自分の思いに気付いてくれない人に対して、遠回しに想いを伝えている歌、 というわけではなく、 「♪孤独で 君のからっぽのそのグラスを 満たさないで」 決して一人じゃないよ、まだ気づいていないだけで どこかにきっと、あなたを愛してくれる人がいるよ。という励ましの歌、 でもなく、 ましてや、 「♪…
毎回毎回、もっともらしく歌詞の解説をしてはいるが、 実のところは、シチュエーションの設定次第で、 物語の解釈はどうとでもなることが多い。 こういうのを曲の懐の広さ、という。 曲に懐の広さがあるからこそ、 人はその中に自分の実体験や、見聞きした物語との共通点を見出すことが出来る。 たとえそれが、ごくごく僅かな取っかかりであったとしても、 想いを共感、投影することで、 曲と想い出とをセットにして、心にとどめ込むのだと思う。 それを逆手にとって、勝手極まりない解釈を垂れている。 そ…
ときはまだまだ、バブル景気を強く引きずっているころ。 日本中すべてが浮かれまくって 「♪24時間戦えますか?」なんて歌が流行った時代だが、 (『勇気のしるし』(牛若丸三郎太*1/1989年/※試聴環境がないようです by)) どういうわけかこの時代は、ノスタルジックな曲が特に目立つ。 浮かれすぎた反動なのか、あるいは、余裕があると人は過去を振り返りたがるのか。 「♪遥かなる空の果て 想い出が駆け巡る なだらかな このなだらかな 名前さえ知らない坂だけど」 10年おきぐらいにい…
和製ボブ・ディラン、といえば吉田拓郎のことだが、 いやいや和製ディランであれば、むしろ 井上陽水のことだろう、と常々思っている。 どうやら自分の持つボブ・ディランのイメージと 世間の持つボブ・ディランのイメージに隔たりがあるらしい。 自分のイメージするディランといえば 偉大なる詩人先生、であり、 あの崩した歌い方はその次の特徴であるからだ。 シングルジャケット/amazonより 少年時代井上陽水J-Pop¥250provided courtesy of iTunes 作詞 井…
まず第一に、小林武史によるアレンジが秀逸。 トーンチャイム*1とハープの中間のような音の 静かなイントロから導かれる 桑田佳祐のつぶやくような歌い出しに、 切なさがあふれている。 ゴテゴテした装飾の一切ない、 シンプルアレンジの一本鎗で、 桑田のボーカルと、原由子のコーラスを引き立てている。 サザンの魅力は、この不世出な二人の異質なボーカルの 組み合わせにあると常々感じている。 だって、普通に考えるとおかしいもの。この組み合わせは。 しゃがれたダミ声の桑田と、コケティッシュな…
あらかじめ回数を決めた、ポンピングブレーキ*1はやめましょう。 とっても危ないことこの上ない。 「♪ブレーキランプ5回点滅 ア・イ・シ・テ・ルのサイン」 かくいう自分も、若かりし頃に(恥ずかしながら)何回か実行したことがある。が、 去り際にやっても相手の反応を知ることはできないので これはただのミーハーな自己満足でしかない。 しかも世代的な問題により、 歌が流行っていた時分ではなく、遥か後年にやっているため 間違いなく通じていなかったものと思われる。 というよりも通じてたら、…
あらためて歌詞をみて初めて気づいたのだが、 別れた相手を想い出にできなくて苦しい、 という単純な歌とは、どうやら違うらしい。 彼に言われた別れの言葉が、 いつまでも頭の中でリフレインしていて、逃れられない。 だけどなぜか、愛しさを忘れることができない、 という内容の曲なのだと思い至った。 アルバムジャケット/amazonより https://itunes.apple.com/jp/album/m/id575487935?i=575487966&uo=4&at=1001l4PV…
ブルーハーツの最大の良さは ひとえにその、わかりやすさ、にあると思う。 「♪見えない自由が欲しくて」 「♪見えない銃を撃ちまくる」 「♪どんな記念日なんかより」 「♪どんな記念碑なんかより」 ダジャレ一歩手前の*1、韻を踏んだ歌詞と、 どんなことがあっても、 たとえ言葉のアクセントがおかしくなろうとも 1拍めにアクセントを置くことに執念を燃やすそのタテノリ。 「♪ロマンチックなほしぞらに あなたを抱きしめていたい」 「♪みなみ風に吹かれながら シュールな夢を見ていたい」 音だ…