日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『誰か故郷を想はざる』 霧島昇 ~ まるで縦横無尽の格ゲーコマンド

はじめて表題曲を知ったのは、どういうわけか夢路いとし・喜味こいし*1の漫才だった。

小学生のころだったと記憶しているが、TVやラジオの演芸番組*2
今でいうお笑い番組を片っ端からカセットテープに録音し、
ダビングでCMや前振りなどの余計な部分をカットして寄せ集めた”漫才集”を作成して
ラジカセやヘッドホンステレオ*3なんかで聴いていた。

その中に、“いとこい”師匠の件の漫才があったのだが、
ほとんど前触れもなく、漫才のまっ最中にいきなりこの曲が始まり、
しゃべくりが中断して前奏からワンコーラス丸々聴けたのだ。

曲が終わると何事もなかったかのように漫才か再開されるのだが、
映像で残さなかった*4ために、どういういきさつで
こういう展開になったのか状況が全く不明だった。
よく知らないが、そういう芸風だったのだろうか。


・・・とにかくそんな「ひょんなこと」で思いがけず知ったこの曲。
戦時中の歌とはいえ、もうタイトルからして文学的で難解だ。
「誰か」は「だれか」ではなく「たれか」と読む。
今の言葉に直すと
「誰が故郷のことを思わないだろう」
つまりは
「ふるさとに思いをはせない人なんていない」
っていう意味になるんだと思う。反語ってやつだね。


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ネットの拾い物から作成した嘘画像
誰か故郷を想わざる

誰か故郷を想わざる

  • 霧島 昇
  • 演歌
  • ¥255

 


歌詞中の「♪幼馴染のあの友この友」なんて言い回しは
長じてはじめて何て歌っているか理解できるようになったくらいだ。
なんせ、「♪あの子もこの子も」と歌っていると思っていたくらいだから。

こういう勘違いは他の歌でもしばしばあることで、
カラオケで歌って初めて、こんな歌詞だったのか!と知ることがよくある。
やはり子供のころ、「♪アパッチベイビー、ライオン!」と歌っていた
『ギンギラギンにさりげなく』(近藤雅彦*5/1981年/ by※これは本人歌唱ではなくカバー。ジャニーズ系の歌は試聴できないことが多いのよん)なんかがその代表。

正しくは、「♪I want you baby, Right on!」らしい。
・・・だいたい合ってるじゃないか!?


歌詞もさることながら、それに輪をかけて難しいメロディーラインの曲で、
曲に合わせての鼻歌でも非常に音程が取りづらい。
「♪皆で肩を組みながら」の部分なんては独特のコブシもあって
とてもとても歌いこなせん。どうなっているんだ?ここのメロディは。



名曲・聴きドコロ★マニアックス

本文中でも紹介したように、節回しが、さり気ないながら大変難しい。

「♪みぃ~ンなーでぇ か~↓た~↓をー くみぃなーが↑→↓↓ら~」
「♪た・れか こーきょ↑↓↓→お↓↑を 思ぉわ~ぁざ↑→↓る~」

まるで難しい格闘ゲームのコマンド*6のよう。
歌唱力自慢なら一度チャレンジ。難易度きわめて高し!

意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

誰か
これも本文中に書いたが、「たれか」と読む。意味は「だれが」と同じ。いろは歌の一文にもある「我が世たれぞ常ならむ」あれと同じ。


現在入手可能な音源



ライブはもう見ることができないので、映像をどうぞ


www.youtube.com


脚注

*1:夢路いとし・喜味こいし】もう亡くなってだいぶ久しい漫才界の大御所。大御所を通り越して、当時でも結構なじいちゃんだった。

*2:【演芸番組】「漫才ブーム」と呼ばれていたものの名残がそのころまだあり、漫才や落語、手品などの舞台芸を集めたネタ見せ番組が残っていた。

*3:【ヘッドホンステレオ】通称ウォークマンSONYの本家本元は高くて買えなかったので、「遊歩人」という名の、あからさまなバッタものを長年愛用していた

*4:【映像で残さなかった】ビデオデッキというものが一般家庭に普及するにはもう少し時代を進まねばならない。というより、純粋に家にはビデオデッキが無かった

*5:【近藤雅彦】通称マッチ。このころのマッチの歌唱は高音の出ない部分を勢いでカバー。元気があってよろしい

*6:格闘ゲームのコマンド】ストII波動拳に代表される、方向キーとボタンを駆使して出す技のこと。何度昇竜拳をやろうとしても波動拳しか出やがらねぇ。ところで外国のビールにもあったなハドーケン。ラベルにコマンドを表す矢印が書いてあるのがニクイ