日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見による日本100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『スーダラ節』 ハナ肇とクレージー・キャッツ ~ 生真面目にとほうもない脱力劇

サラリーマン哀歌の元祖ともいえる楽曲だが、
その突き抜けるまでの能天気なアレンジと歌唱が、
根底に流れる暗さを微塵も感じさせない、
浮かれた、酔いの境地に似た空間を醸し出している。

サビは、脱力を無限に発する
「♪スーイ スーイ スーダラダッダ スラスラ スイスイスイ」
ときたモンで、
どこかを泳いでいるのか、何かをそらんじているのか、
まあ意味も何もないのだろうが、とにかく強烈だ。
すっとぼけた管楽器の伴奏が、きらびやかに花を添えている。

そして何の必然性もなく、歌の直前のブリッジ(間奏)が、
1番、2番・・・とすべて異なるメロディーになっている。
アレンジだけでなく、間奏の旋律がぜんぶ異なるのだ。

コミックソングと侮るべからず。
楽曲として不必要なほどに凝っている。

スーダラ節【EP】
シングルジャケット/amazonより
スーダラ節

スーダラ節


 
  • 作詞 青島幸男、作曲・編曲 萩原哲
  • 1961年(昭和36年)8月20日東芝音楽工業より発売
  • 歌詞はうたまっぷへ:スーダラ節 ハナ肇とクレイジー・キャッツ 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:スーダラ節 - Wikipedia

  • 後に東京都知事になる青島幸男*1のペンによる、
    1番が酒、2番がギャンブル、3番が女にまつわる
    失敗談、あるあるネタの歌詞で、
    酔っぱらいはいつの時代も変わらないのだなぁとつくづく思う。

    「♪分かっちゃいるけど やめられねぇ ぁソーレ」
    植木等の、脱力・いい加減なボーカル・・・とみえて
    実はしっかりと歌い上げられた明朗なボーカルを
    メインに配置したことで、強力なオリジナリティを生み出し、
    古いんだか新しいんだか、とかいう判断基準をおもわず見失ってしまうような
    時代を超越した存在になっている。


    名曲・聴きドコロ★マニアックス

    イントロで聴くことのできる、間の抜けた音を出す楽器の
    正体が判明したので、忘備録代わりにここに書いておく。
    その名も、「クラビオリン」。
    うわぁ、知らねー。多分覚えられない。というより覚える必要はまったくない。

    デル・シャノンの『悲しき街角』(1961年/ by)の間奏で聴ける
    物憂げな音もこの楽器によるものという。
    うん、雰囲気が似ているような木もするけど、同じかといえば正直よく分からない。
    メロトロンと同じような、初期の電子楽器のひとつで、
    今は博物館行きのような代物のようだ。
    おそらく一生手に触れる機会はないだろう。

    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    ハシゴ酒
    連続して店の場所を替えながら飲み続けることを言う。同じような段を繰り返しすすむことになぞらえた言葉だと思われる。今は「ハシゴする」という動詞形の言い方のほうが主流かもしれない。ちなみに、連続ではなく場所を変えることは「河岸(かし)を替える」ともいう。

    現在入手可能な音源



    ライブはもう見ることができないので、映像をどうぞ


    www.youtube.com


    脚注

    *1:青島幸男】タレントとしては意地悪ばあさんが有名。子供のころ、本気でばあさんだと思っていたので、男だと知った時にはびっくりした。