日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見による日本100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『いつでも夢を』 橋幸夫・吉永小百合 ~ 曲がいいと中国語でもイケるのよ

どこで覚えたのかはとんと記憶がないが、
昔からこのメロディーは知っていた。

表題曲をそれとして最初に認識したのは
1992年のサントリーの烏龍茶のコマーシャル*1が最初だったと思う。
中国語で唄われたこのCMは当時ちょっとした話題となり、
調子に乗って新聞に載せた烏龍茶の全面広告には、
譜面入りで中国語のフリガナ付の歌詞が載っていた。

「♪ピーシーユーハイシャシーユーニー」(適当)
や、よく覚えていないや。広告取っておけばよかったかな。


それはさておき、古き良き時代のデュエットの大トリを飾る*2この曲、
とにかく、特筆すべきはその優しいメロディーだろう。

メロディーが良い、という曲は
言葉で表現するには大変困ったもので、
聴いてもらうしかないのが何ともじれったい。

いつでも夢を[吉永小百合][EP盤] シングルジャケット/amazonより
 
  • 作詞 佐伯孝夫、作曲・編曲 吉田正
  • 1962年(昭和37年)9月20日、ビクターより発売
  • 歌詞はうたまっぷへ:いつでも夢を 橋幸夫/吉永小百合 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:いつでも夢を - Wikipedia

  • お聴きいただいたように、たいへん優しげな曲である。
    特に吉永小百合の、透き通るようにクセの無い
    譜面に忠実な歌唱が印象的。

    女優業ともなれば、感情味たっぷりに歌い上げそうなものだが
    むしろ感情は押さえ気味で、後の、同じく女優である
    いしだあゆみ薬師丸ひろ子の歌唱にも通じるところがある。

    オカリナやパンフルートの音色のような、まじりっ気のない音。
    それと、橋幸夫の人間くさい歌謡とのユニゾンがマッチしている。

    ハモっているわけではないので、
    どちらかの独唱でも成り立ちそうな曲ではあるが、
    どちらが欠けても、この楽曲は成り立たなかっただろう。


    名曲・聴きドコロ★マニアックス

    メロディーに寄り添うようなアコーディオン
    それを追いかけるように流れる木琴(シロフォンマリンバ?)
    が、曲により優しさを加えている。

    バファリンの半分はやさしさでできている*3らしいが、
    この曲は純粋にやさしさを主成分として作られている。

    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    言っているいる お持ちなさいな
    「言っているいる」の部分は実はナレーション。
    節の切れ目と、言葉の切れ目が合っていないから、誰のセリフか混乱が生じる。

    あのこはいつも「お持ちなさい、いつでも夢を」と歌っているのだろう。
    「いるいる」と繰り返すことで、「あのこ」はいつもうたっていることを強調している。
    周りの人々は、どんなにつらい時も、そのうたで慰められているということだ。

    似たような例で、童謡『もりのくまさん』( by)の歌でも、
    ナレーションとセリフが混在して混乱する場面がある。
    「♪くまさんの言うことにゃ、お嬢さんお逃げなさい」の部分。
    この部分はナレーションで、熊のセリフではない。

    これを熊のセリフだと勘違いしてしまうと、
    逃げろと口では言いつつも執拗に追い回す熊の行動が、熊の暴力性以上に恐ろしくなる。
    このように、メロディーの切れ目と、歌詞の切れ目が不明瞭なまま話が進むと混乱する。

    参考までに、中国語バージョン / いつのまにか試聴できなくなっちまったい

    SUNTORY OOLONG TEA CM SONG COLLECTION

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    • アーティスト:CMソング
    • EMIミュージック・ジャパン
    Amazon

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    ※該当曲を聴ける保証はありません。



    脚注

    *1:サントリーの烏龍茶】今では烏龍茶も市民権を得て当たり前のものとなってしまって、当初CMで使われた「烏龍茶はサントリーのこと」のようなキャッチは使いにくくなってしまったようだ。

    *2:【古き良き時代のデュエット】これ以降は、『東京ナイトクラブ』の回でも書いたように、対話形式のデュエットが主流となる

    *3:バファリンの半分はやさしさでできている】バファリンCMの名キャッチコピー。鎮痛剤成分のみだと消化器系によろしくないので、半分は胃腸薬成分が入っているとかなんとか。物は言いようの典型。