日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見による日本100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『勝手にしやがれ』 沢田研二 ~ カッコつけるが女々しさ全開

勇ましいタイトルや曲調と裏腹に、なんとも女々しい歌であることよ。

 

力強いピアノによるイントロ*1から導き出される

ジュリー*2こと沢田研二

カッコよく歌いあげるストーリィは、、、、

 

出ていく女をタヌキ寝入でやり過ごす男。

女が出て行ってからむっくり起き上がり、

遠く去りゆく女に向かって、窓越しに「アバヨ」と声をかける。

 

しまいには夜中だというのに

派手に音楽をかけて朝までひとり残念会で現実逃避。

 

・・・なんてカッコ悪いんだろう。

 

勝手にしやがれ[沢田研二][EP盤]
シングルジャケット/amazonより
勝手にしやがれ

勝手にしやがれ

 
  • 作詞 阿久悠、作曲 大野克夫、編曲 船山基紀
  • 1977年(昭和52年)5月21日、ポリドールレコードより発売
  • オリコン最高位1位(年間4位/1977年)
  • 歌詞はうたまっぷへ:勝手にしやがれ 沢田研二 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:勝手にしやがれ (沢田研二の曲) - Wikipedia
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    これで「♪カッコつけ」ているつもりで

    「♪照れてただけ」だなんて。

    それでいて「♪戻る気になりゃいつでもおいでよ」と、

    強気なんだかよくわからながい、とにかく未練たらたら。

     

     

    中島みゆきの曲に代表される、「女」の恨み節に対して、

    「男」の別れ歌は、そんな未練たらたらの

    女々しいものが妙に多いような気がする。

     

    『あの素晴しい愛をもう一度』(加藤和彦北山修/1971年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード

    ルビーの指環』(寺尾聰/1981年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード

    涙のリクエスト』(チェッカーズ1984年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード

    『もう恋なんてしない』(槇原敬之/1992年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード

    『Over』(Mr.Children/1994年)

    『ウソツキ』(Something Else/2000年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード

     

     

     女の未練はというと、時によっては狂気じみたものにさえなって、

    「♪着てはもらえぬセーターを 涙こらえて編んで」

    いたりするから、もう大変怖い。

    (『北の宿から』(都はるみ/1975年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード))

     

    「♪みちに倒れて誰かの名を 呼び続けたことはありますか」

     (『わかれうた』(中島みゆき/1977年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード))

    怖い怖い。

     

     

    男の未練は、取り返しのつかないものを

    思い返しては嘆き悲しむばかりで、

    「♪いつでも探しているよ どこかに君の姿を

        、、、こんなとこにいるはずもないのに」

     ああ、もう女々しいったらありゃしない。

    (『One More Time, One More Chance』(山崎まさよし/1997年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード))

     

    まあ、「女々しい」という言葉自体が

    そもそも男に使う言葉だからかな。しょうがないか。

     

    それにしても、変に強がってカッコつけてる分、

    カッコ悪さが半端ない。

    だけどジュリーが歌うだけで、なんでこんなにカッコよくなるのだろう。

     

    名曲・聴きドコロ★マニアックス

    曲の最後、8小節にも及ぶメロディーに、

    あえて歌詞をつけないという技法が用いられている。

    「♪アアア アアア アアアアーア アアア アアア アアア アアアアー」

    文字で書くと非常に変。

     

    「♪ウララ ウララ ウラウララ ウララ ウララ ウラウララ」の、

    『狙い撃ち』(山本リンダ/1973年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード)や

    「♪シャララーラ シャラララーラ、シャララーラ シャラララーラ」の

    日曜日よりの使者』(The High Lows/2004年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード*3

    なんかも似ているが、

    実は根本的なところで違っていて、

    これらでは実は曲の後ろの方で同じフレーズに歌詞が付けられている。

    「♪見てて ご覧 この私、今に 乗るわ 玉の輿」

    「♪てきとーな 嘘をつぃて その場を 切り抜けぇて」

     

    けれども、この曲では、フレーズに歌詞が付くことがない。

    意外に勇気がいる*4ものだと思う。

     

    ほかには大黒摩季の『ら・ら・ら』 (1995年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード)や

    ミニー・リパートンの『Lovin' You』(1974年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード)くらいしか

    思い浮かばない*5

     

     

    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    勝手にしやがれ

    歌詞には登場しない。

    元はフランス映画のタイトルというが、もちろんそれは邦題*6だろう。日本人の誰かがつけたものだろうが、勇ましい響きが良いからか、その後あちこちでパクられ続けている。

    そしてしばしば、雰囲気だけで内容とは関係なかったりするタイトルとして用いられる。

     

    「寝たふりしてる間に」

    「ネタふりしてるマギー」と聞こえるがそれは間違い。(あたりまえ)

    思わず、「このハンカチの模様が変わったらびっくりするじゃない?」と喋る

    司郎の姿が目に浮かぶ。

     

    現在入手可能な収録CD/視聴可能
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    ▼ 沢田研二
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    ※該当曲を聴ける保証はありません。

     

     

     

    脚注

    *1:印象的なフレーズだと思っていたら、演奏しているのは羽田健太郎だという。名のある人は名前を出さなくても目立つものだ

    *2:タイガース時代の愛称。この人だけはソロ転向後も愛称を引きずっている。今じゃほとんど岸部一徳のことを「サリー」とは呼ばないし、別グループだが、谷村新司を「チンペイ」とは呼ばない、あるいは呼ばせていない

    *3:あ、20世紀の曲じゃないや

    *4:意味をつけてしまう誘惑に勝つ勇気。

    *5:もちろんスキャットがメインの曲は除く

    *6:日本語のタイトルをつけたもの。直訳ではなく意訳が多い