最初に現れたきり、その後なかなか登場しないサビを待ちわびているうちに、
いつしかBメロのハーモニーの魅力の虜になってしまった。
ロングのカーリーヘアー、田中昌之と、
パンチパーマ+サングラスのムッシュ吉崎の
ツインボーカルをメインに据えたバンド、
そのビジュアルの異様さから、
アニメ「北斗の拳」の主題歌の話が来るなど
当時からほぼイロモノ扱いのバンドであった。
また、『大都会』のインパクトがあまりにも強すぎたせいで
一発屋のレッテルを貼られ、損な立ち位置にいたことは否めない。
いかんせん『大都会の』のせいで、2番煎じの臭いを拭えない。
さて、静かなピアノから始まるこの『大都会』は、
無駄な部分をそぎ落としたベース、ギター、ピアノ、
それぞれの互いに邪魔しあわない演奏がむしろ魅力的だ。
このことで田中の超ド級のファルセットボイスが生きている。
「♪果てしない夢を追い続け」「♪いつの日か大空駆け巡る」
田中の歌うサビのパートは、夢を歌う。
「♪裏切りの言葉に」「♪裏切りの街でも」
ムッシュの歌うAメロのパートは、現実を歌う。
どちらのパートにも、抗っている現実のその先に
はちきれんばかりの希望が詰まっている。
続く二人のハーモニーのBメロのパートでは
「♪今日と違うはずの明日へ」
「♪輝く陽を受け生きてゆく」
さらに前向きな言葉が連ねられてゆく。
そしてなにより、ここのハーモニーが絶品で、
サビの部分なんかよりも、ずっとお気に入りになった。
最後の最後に、ようやくお待ちかねのサビが登場するのだが、
勿体ぶりすぎて遅きに失した感満載になってしまい
特に2順目からのコーラス部分は、正直言ってやりすぎだ。
ホントにここさえなければ、と思ってしまう。
「この木なからましかばと覚えしか」(By吉田兼好)
というやつだ。蛇足というやつだね。
ちなみに、このブログの前身となったWEBページ「日本百名曲」は
この曲からのスタートだったことを、蛇足ついでに記しておく。
名曲・聴きドコロ★マニアックス
クリスタルキングの特徴でもある、田中のファルセットボイスが、
よりによって草野球でのアクシデントをきっかけに失われたことが
他人事ながら本当に悔やまれる。
その後、テレビ番組企画などでのリハビリで
片鱗だけとはいえ歌声を取り戻したが、
すでにクリスタルキング自体が内部分裂してしまっていたこともそう。
1988年の『ウルトラマンガイア!』( by)
などは、あからさまに仮想クリスタルキングの曲で、
おそらく再結成のオファーがあったことは想像に難くない。
が結局、分裂の溝が埋まることはなく、田中とツインボーカルをとったのは
本当に惜しい。
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
「裏切りの言葉」「裏切りの街」
本文でも触れたが、おそらく現実を指していると思われる。
思い通りにならない人々と、思い通りにならない世界。
その中でもがきながら、希望をもって
夢に向かって駆け抜けようと、生きている。
「Run Away」
本来、逃げ去る、くらいの意味の言葉だが、おそらくここでは
飛び出せ、突き抜けろ、くらいの意味合いで使っているものと思われる。
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