日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見による日本100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『赤いスイートピー』 松田聖子 ~ 実は隠れ鉄道ソング

なんの気のてらいもない、純粋にメロディーのいい曲。

よって、よほど文章が巧みか、曲の構成に造詣が深くないと

文章を書く手掛かりが見つからない。

 

作曲者の呉田軽穂が実は松任谷由実の変名だった、

というような、ちょっと調べればわかる裏話を書いてもしょうがないので、

歌詞方面から、ほかのアプローチを試みてみる。

 

 

歌詞を見ていくと、この曲、実は隠れ鉄道ソングであることがわかる。

「♪春色の汽車に乗って海に」

「♪四月の雨に降られて 駅のベンチで二人」

「♪線路のわきの蕾は 赤いスイートピー

 

春色、というと淡い桜色やクリーム色だろうか。

1982年当時にあった、パステル色の列車。

そしてその汽車は海へと向かう路線。

4月に露地のスイートピーが咲く地域。

寒冷地ではもっと遅いので、関東以南だろう。

二人のほかに人影がなくなるような、無人かそれに近い駅のあるローカル路線。

 

と、いくつかヒントが転がっているので、

鉄道ファンなら舞台となる地について、

いくつか具体的な路線名を挙げられるのだろう*1

が、

あいにくそんなスキルは持ち合わせていない。

無念。

 

赤いスイートピー [EPレコード 7inch] シングルジャケット/amazonより
赤いスイートピー

赤いスイートピー

  • 松田 聖子
  • J-Pop
  • ¥250
 
  • 作詞 松本隆、作曲 呉田軽穂、編曲 松任谷正隆
  • 1982年(昭和57年)1月21日、CBSソニーより発売
  • オリコン最高位1位(年間12位/1982年)
  • 歌詞はうたまっぷへ:赤いスイートピー 松田聖子 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:赤いスイートピー - Wikipedia
  •  

    もう一つ、結論の出ない考察を入れてみよう。

    相手の男性は、いくつなのか。

     

    「♪タバコのにおいのシャツに そっと寄り添うから」

    という歌詞から、ある程度年の離れた年上の男性を想像しがち*2だが、

     

    「♪あなたと同じ青春」

     意外と年が近いのだろうか。

     

    「♪ちょっぴり気が弱いけど」

    「♪あなたの生き方が好き」

     ちょっと上から目線のような気がする。

     

    「♪なぜ 知り合った日から半年過ぎても あなたって手も握らない」

    「♪なぜ あなたが時計をちらっと見るたび 泣きそうな気分になるの」

    これらが、モノローグ(心の中のつぶやき)ではなく、

    直接口に出して問いかけて、

    ちょっと相手を困らせているのだとしたら?

     

     

    相手の男性は、無邪気な主人公に振り回されている

    主人公と同年代の、ピュアな不良少年*3ではないだろうか。

     

     

    と、可能性のひとつではあるけど、

    ここまで来ると妄想だな、これは。

     

     

    名曲・聴きドコロ★マニアックス

    シンプルだが印象的なピアノのイントロに始まり、

    出だしからさすがの歌唱力を見せる松田聖子

     

    それにしても、アイドルブームの先鞭をつけた松田だが、

    どうして後に続いたアイドル達は、

    歌唱力を競うつもりもなく

    歌がメタメタだったのか。とても不思議。

     

    こののち、危なっかしいを通り越して 

    危険物のような歌唱のアイドル達が量産されていく。

    風見しんご『僕、笑っちゃいます』(1983年/ by)や、

    新田恵利『冬のオペラグラス』(1986年/ by)の雄姿を見よ!

     

     

    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    スイートピー

    見た目の印象は、バカでかい豆の花*4

    「ピー(pea)」は豆のこと。スイートピーは直訳すると甘豆。

    甘いといっても、じつは毒があるらしいので、世の中そんなに甘くない。

    ちなみに複数形にすると「ピース(peas)」。グリーンピースは、直訳すると緑豆団。

     

    ちなみに、スイートピー花言葉

    「門出」「別れ」「想い出」

    別れ、の歌ではない。門出に伴う別離の意味合いが強いので、

    二人そろっての出立の歌なのだろう。

     

     「心の岸辺」

    意味合いとしては「心の片隅」に近いのだろうけど、

    「岸辺」とすることで、心が接している部分、心が寄り添う部分、

    というような、相手との心の接点を指しているのだと思う。

     

    「あなたが時計をちらっと見るたび 泣きそうな気分になる」

    デートの最中に時計を気にされたら、相手は気が気じゃない。

    「たび」に、ということは一回きりではなくたびたび目をやっているのだろう。

    しかし駅で汽車を待つときに時計を見るのは、比較的自然なこと。

    列車か時計のどちらかが遅れているのだろう。

     

     

    現在入手可能な収録CD/視聴可能
    やっぱ生で聴きたい人は、ライブ・イベント情報&チケット
    ▼ 松田聖子
    icon icon

    ※該当曲を聴ける保証はありません。

     

     

     

    脚注

    *1:当時のパステルカラーの列車、といって真っ先に思い浮かぶのは京王井の頭線だが、ほかの条件が全く適さない

    *2:なぜか主人公の女性はハイティーンの前提であることを、いまのところ否定するつもりはない

    *3:あるいは青年

    *4:豆の花を知らなければ、そんな印象も持たないのだろうが