日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見による日本100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『歩いて帰ろう』 斉藤和義 ~ レールからの脱却。そのささやかな第一歩

あらためて歌詞を見てみると、意外なほど愚痴っぽいのに、
なんだかとってもハッピーなうた。

みんなでワイワイと適当な楽器を持ち寄って、
せーのでこの曲を演奏してみるだけで、
たぶんきっと下手なりにもみんなハッピーになれる。

タンバリンをシャリシャリ鳴らしているだけでもいい。
曲の終わりに「シャララララララララ・・・シャン!」と決めるだけでも、
気持ちいいこと請け合いだ。


何せこの曲、2つのフェーズしかない。
「♪走る街を見下ろして のんびり雲が泳いでく」から始まる10小節と
「♪嘘でごまかして 過ごしてしまえば」から始まる8小節の
2つだけで構成されている。
前奏も、間奏も、歌がないだけで全く同じ。

なんてシンプルなんだろう!



シングルジャケット/駿河屋より
歩いて帰ろう

歩いて帰ろう

 
  • 作詞・作曲 斉藤和義、編曲 松尾一彦
  • 1994年(平成6年)6月1日、ファンハウスより発売
  • オリコン最高位60位
  • 歌詞はうたまっぷへ:歩いて帰ろう 斉藤和義 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:歩いて帰ろう - Wikipedia


  • ちょっとスネたような部分もある歌詞だけれど、
    それでも、いたって前向きに聞こえる。

    自分で変えていかなければ、毎日同じことの繰り返し。
    思い切ったことをやる気はないけれど、
    とりあえず今日は、歩いて帰ってみよう!
    ざっくりと要約するとそんな内容。

    そんでもって、「今日から」ではなく、「今日は」というのがポイント。
    思い切ってチェンジしてみる前に、思い付きでいいからとりあえず行動してみよう。
    ほんの些細なことだけれど、いつもと違ったことをしてみるのって
    ちょっとした冒険だし、何かのきっかけになるかもしれない。
    明日も続けるかどうかはわからないけどもね。


    「♪だから歩いて帰ろう」
    「♪今日は歩いて帰ろう」
    「♪僕は歩いて帰ろう」
    「♪今日は歩いて帰ろう」

    バカなことをやる言い訳を、声高らかに宣言しているかのようにも見える。
    陽のあるうちに帰ってるので、バックレて早退したのかもしれない。
    そいつは冒険だ。
    だけどひと駅歩いてみるだけでも、新たな発見があるかもしれない。

    走る街と、泳ぐ雲
    この対比からして何ともすがすがしいじゃないか。



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    本文でも述べた通り、いたってシンプルなこの曲。
    構成楽器もシンプルだ。

    ディストーションのかかったギターと、ドラム、ベース、オルガンがメインで
    小手先のテクニックなんかなくてもいい、というような潔さがいい。

    あとはピアノやタンバリン、サブのギターとコーラスが花を添える。
    シンプルさが実にいいね。


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    走る街
    のんびり雲が泳いで
    急ぐ人
    寄り道
    置いてかれる
    すぐに
    過ごして
    朝が来る
    歩いて
    風が吹く
    いつも

    緩急の言葉を抜き出しただけで、これだけある。
    重複している部分も抜き出せばこれの倍はある。


    せかせかした時間と、それに流される主人公。
    のんびりとした時間へのあこがれと、
    置いて行かれることへの不安。
    それだけで構成されているといってよいのかも。


    現在入手可能な音源

    【オリジナルアルバム】
    WONDERFUL FISH

    WONDERFUL FISH

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    ▼ 斉藤和義
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    ※該当曲を聴ける保証はありません。




    脚注