日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『誰より好きなのに』  古内東子 ~ 男女の親友関係が成立ってのも、あやふやなものだ

せつない内容の歌なのに、なんでだろう。なんだかとってもオシャレ。

ピアノを中心として、ベース、ギター、ドラムスといった
アコースティック*1の楽器を並べ、
トランペットを中心にしたブラスアンサンブルとストリングスで飾り立てることで、
ニクいまでの“大人な感じ”を演出している。

個人的にはストリングスと、キラキラした音の鳴る楽器*2
正直余計だったかなと感じてしまうんだけど、
ただでさえ装飾の少ないこの曲においては、
ヒット性を生み出す上で、必要なものだったのかもしれない。


シングルジャケット/駿河屋より
誰より好きなのに

誰より好きなのに

  • 古内 東子
  • J-Pop
  • ¥255
 
  • 作詞・作曲 古内東子、編曲 小松秀行
  • 1996年(平成8年)5月22日、ソニーレコードより発売
  • オリコン最高位35位
  • 歌詞はうたまっぷへ:誰より好きなのに 古内東子 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:誰より好きなのに - Wikipedia


  • さておき、歌詞の内容としては、
    お互い「友人として」付き合っている(ハズ)の男性に対して
    抱いてしまった恋心の切なさ、といったところか。

    「♪優しくされると切なくなる 冷たくされると泣きたくなる」
    「♪追いかけられると逃げたくなる 背を向けられると不安になる」

    こんな風にウジウジしているくらいなら
    ダメもとでアタックしてみればいいじゃん!
    というじれったさが付いて回るが、どうもそういう訳にはいかないらしい。

    思いを伝えた結果、拒絶されて、
    今の関係まで壊れてしまうことが怖くて、切り出せない。
    だから、さり気ないサインに相手が気づいてくれて、
    寄り添って来てくれれば、と願っている。
    んんんんんじれったい。


    同じ年のリリースの『Alone』(岡本真夜/1996年/ by)なんかも
    似たようなシチュエーションの、似たような内容の歌だけれど、
    どっちも、失うことを恐れて、得ることを放棄している。

    個人的に、異性の親友などというものを持ったことがないので
    このあたりの機微は正直ぜんぜん解らないんだけれど、
    もしかしたら、主人公はこのじれったい状況に対し、半分満足しているんじゃないか。

    今のままでも、そばにいられるだけでも幸せ、
    夢見ていることが幸せ、といった具合に。

    例えるなら、宝くじなんかで、抽選結果を確認するときよりも、
    買ってから抽選を待っている間の方が楽しい、というのに近いのか。
    いや、たとえが俗っぽすぎるだろ。


    それはともかくとして、
    「♪あの夜重ねた唇さえ 忘れようとしてるみたい」
    という歌詞には、個人的にちっとも納得することができない。

    異性の親友とは、ふとした拍子に、
    そういう関係になってしまってもアリなんだろうか。
    そんでお互い、今のナシ、ノーカウント、
    てな感じになかったことに出来る関係ってどーなのよ。

    ここがなければ、切ない大人の恋って感じで
    非常にいいんだけどなぁ、と感じてしまう自分は、
    ひょっとして恋に理想を求めてしまうタイプなのか?
    いやいや。。。まさか。
    そんなロマンチストではないことは自分が一番わかっている。


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    個人的な傾向なのかもしれないけど、
    この表題曲は、一度頭をよぎると、脳内永久ループを始めてしまって
    始末におえなくなる。

    ここの稿を書くにあたっては、数日間、
    対象曲を通勤中にエンドレスでリピートして聴く*3のだけれど、
    通勤中どころか勤務中にも頭の中を巡りまくり、
    たぶん、無意識のうちに口ずさんでしまっていると思われる。
    周りは何も言ってくれないが、やばい。


    ヤマダ電機の店内に流れるあの曲*4なんかよりも
    よっぽど強烈で、しばらくは悩まされることになる。

    70年代の大橋純子や、90年代のオリジナル・ラブなんかの曲にも
    同じ傾向があるので、自分にとってこの手のAOR*5の曲が
    もっとも深層心理に残りやすいのだろう。


    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    「笑う顔が淋しかった」
    淋しげに微笑んでいた、のではなく、
    自分に対する屈託のない笑顔が、
    自分には気がない証拠のように思えて
    淋しさを感じた、ということだろう。

    「心はいつも裏腹の言葉になってく」
    心が言葉になる、という難解な表現だが、
    思っていることと正反対の言葉が飛び出す、という
    ツンデレな状態ではない。

    直後の歌詞が、この意味するところを示している
    「優しくされる」→「切なくなる」
    「追いかけられる」→「逃げたくなる」
    心が、本来あるべき素直な反応を示さず、
    正反対の言葉で表すような動きを見せる、ということ。


    現在入手可能な音源

    【オリジナルアルバム】
    Hourglass

    Hourglass

    • アーティスト:古内東子
    • 発売日: 1996/06/21
    • メディア: CD
    やっぱ生で聴きたい人は、ライブ・イベント情報&チケット
    ▼ 古内東子
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    ※該当曲を聴ける保証はありません。

    脚注

    *1:【アコースティック】電子音ではない、要はシンセサイザー系ではない、アナログ楽器の総称

    *2:【キラキラした音の鳴る楽器】ウインドチャイム、というらしい。海辺の土産物屋で見かける貝殻の風鈴を金属で作ったらこうなる、という感じのかんざしの豪華版のような楽器

    *3:【エンドレスでリピートして聴く】これをしても苦にならない、どころか、どんどんハマってしまうところが、名曲の名曲たるゆえんだろう

    *4:ヤマダ電機の店内に流れるあの曲】「♪ヤマダまだまだ安いんだ ヤマダの安さは半端じゃないよ デンデン電器は ヤマダ・ダ・ダ!」 ワンコーラスごとに歌い手が女の子→お父さん、と家族に誰かにバトンタッチされていく

    *5:AOR】大人向けのロック"adult oriented rock"の略だと信じ込まされていたが、どうも違うらしい。日本以外では”Audio-Oriented Rock”、もしくは”Album-Oriented Rock”の略だという。英語のはずなのに、日本に入るときに別の英語に意訳されて輸入されるとはどういうことだ。