つまりは、この「花火」っていうのは、
恋心のことなんだよな。たぶん。
理由はわからないけど、どうしてもあきらめなければいけない恋。
「♪夏の星座にぶら下がって 上から花火を見下ろして」
一歩引いた位置から俯瞰するように、客観的に自分の恋心を眺めてみた。
「♪確かに好きなんです 仕方ないんです」
恋している。間違いなく。こればっかりは否定できない。
「♪涙を落として火を消した」
やっぱりやめよう。現実的に考えて、泣く泣く恋をあきらめた。
「♪バイバイバイ・・・」
と恋心に別れを告げながら曲は終了する。
なんで叶わないのか、なんで諦めるのか、
そこのところは語られない。
aikoのトレードマークである(と勝手に認識している)
救急車のサイレンのように音程が上下する旋律に合わせて
なんだか抽象的な歌詞が載せられていくので、
想像していくしか手掛かりがない。
だけどなんだか面白いのは、物語に登場する天使。
恋のキューピッドなんだろうけど、コイツ、ホントに天使なんだろうか。
三角の目と、三角の耳を持つ異形の天使。
こいつのアドバイスが、実にフランクな上にふるっていて、
「♪疲れてるなら やめればぁ?」
「♪一度や二度は 転んでみればぁ?」
天使じゃなくて、悪魔なんじゃねーの?コイツ。
気が乗らないならやめればいいし、当たって砕けることは判っているけど、
それはそれでいいんじゃないの、
てな具合の無責任なアドバイスをかましてくれる。
漫画やアニメなんかの演出でよく見かける、天使と悪魔のささやきの攻防。
それは自己の葛藤の姿でもある。
恋心を相手につげようとする欲求が、悪魔のような天使と姿となって現れるが、
結局、自制心の勝ち。大人だね。
恋心にみずから終止符を打ち、
アン・ハッピーエンド。
めでたし、めでたし?
名曲・聴きドコロ★マニアックス
この曲で終始聴ける
こういうお洒落で奔放なピアノのフレーズが好み。
アドリブっぽい感じのピアノというか、
わかる?
『もしもピアノが弾けたなら』(西田敏行/1981年)じゃないけど、
もしもこんなお洒落なピアノがアドリブで弾けたら、なんて思わずにいられないけど
練習する気も、才能もたぶんないのです。
左右一本指奏法から抜け出る日は永遠に来ない。
最後にミもフタもないようなことになるが、正直に言ってみる。
aikoの曲であれば、
デビュー曲の『あした』(1998年/ by)の方が、
実は好みなのです。
「♪あーう~↑」
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
夢は夢で目が覚めれば ひどく悲しいものです
夢が夢だったと目が覚める。
文字にするとなんだか変な感じがするけど、
見ていた夢が、現実の出来事ではなかったと気づいた時は、
それが楽しいものであればこそ、余計に喪失感が大きい。
もやがかかった影のある形のないものに 全て預けることはできない
形のないもの。これも恋心のことだろうか。
恋心というよりも、感情といった方がいいのかもしれない。
ひと時の感情に、人生をゆだねることはできない
と、かなり冷静に、現実的なことおっしゃっています。
揃ったつま先 崩れた砂山 齧ったリンゴの跡に 残るものは想い出のカケラ
つま先と砂山は、危うい不安定な状況を象徴していて、
齧ったリンゴは、中途半端に手を付けた状況を象徴しているのか。
危ない恋、あるいは許されざる恋。
友達の彼氏とか、そういうことなのかなぁ。よくわかりません。
そんな恋の結果に、残るものはわずかな想い出でしかない。
少し冷たい風が足元を通る頃は 笑い声たくさんあげたい
秋になる頃には*1、恋心に決着をつけて、
自然に笑いかけられる関係になりたい。
なんだかつらいぞ、ここのくだりは。
全体に明るい曲調が、かえって無理に
明るくふるまっているかのように思えていけない。
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