そもそもラプソディとは何ぞや、
という疑問が先に立つ。
ラプソディといえば、この1936年の『東京ラプソディ』をはじめ、
『ボヘミアン・ラプソディ』(クィーン/1975年/ by)
『新しいラプソディ』(井上陽水/1986年/ by)
『ラプソディ・イン・ブルー』(DA PUMP/1998年/ by)*1
など、古今東西に冠する曲は数あまたあれど、
その意味するところはあいまいではなんだかよく判らない。
なんとなく、ちょっぴり哀愁漂う雰囲気の言葉である。
SPレーベル/ネットでのひろいもの←いけません
ラプソディー【rhapsody】狂詩曲。狂想曲。
「ラブ・ストーリー」と「ラブ・ソング」の項に
挟まれているのがなんだかお茶目。
狂っている曲らしいがなんだかよく判らないので、
キーワードをたどってみよう。
きょうし・きょく キャウ…【狂詩曲】器楽曲の一形式。きわめて自由な形式を持ち、楽想の自由な展開を表現するもの。ラプソディー。
ぴんと来ないままにラプソディーに戻ってしまったので、
もう一つのキーワードをたどってみる。
きょうそう・きょく キャウサウ…【狂想曲】⇒カプリッチオ
カプリッチオ【capriccio イタリア】一定の形式なく気分の変換を主としたリズムの曲。狂想曲。幻想曲。
タライ回しにあっている気分。
リアル辞書を引くのって楽しいなぁ。
げんそう・きょく【幻想曲】(fantasia イタリア)楽想の自由な展開によって作曲した形式不定のロマン的楽曲。また、歌劇からとった抜粋曲。ファンタジー。
なぜかファンタジーにたどり着いてしまった。
現代の感覚でいうと、ファンタジーはロマンとメルヘンの集合体なので、
場違いなところに来てしまった感覚だ。
総合すると、ラプソディとは、自由奔放な作曲の形式らしいが、
『ボヘミアン・ラプソディ』は別として、それ以外のラプソディは
本来の意味からすると、どうもピントがずれている気がする。
それとも、ラプソディなのは楽曲の方ではなく、
歌われている内容・歌詞が、狂想や幻想、なのだろうか。
「♪楽し都 恋の都 夢のパラダイスよ 花の東京」
と歌われているように、
パラダイスである東京は、夢でしかない、絵空事なのか。
「♪うつつに夢見る君よ 神田は想い出の街」
現実として見えているつもりの風景は、
実は嘘っぱちで、想い出の中にのみ残るというのか。
「♪今もこの胸に この胸に ニコライの鐘も鳴る」
今もお茶の水にあるニコライ堂は、1923年、関東大震災により被災。
その後1929年までに再興していたはずだが、
鐘の音は想い出の中にしかないとうたわれている。何故か。
ヒントを求めて当時の世相を見てみよう。
1936年(昭和11年)といえば、二・二六事件のあった年。
軍部が台頭し、この曲のリリースは戒厳令の真っ最中の6月。
翌年には日中戦争がはじまり、第2次世界大戦へと続いていく。
ハイテンポで明るい曲調と、華やかな歌詞に隠れて
忍び寄る暗く永い影。
これが、ラプソディ、の正体なのだろうか。
こんなに無性に明るい曲なのに。
名曲・聴きドコロ★マニアックス
この曲に幻の5番*4があると聞いて、
とりあえずどれどれと歌詞を眺めながら聴いたところ、
手元の音源にでは、5番どころか3コーラスで終わっていて、4番すらない。
というよりも3番は間奏になっていて抜けており、
4番で終わっているというほうが正しいようだ。
参考までに5番の歌詞はうたまっぷには掲載されていないので
以下に挙げておく。
「♪花咲く都に住んで 変わらぬ誓を交わす
変わる東京の屋根の下 咲く花も赤い薔薇
楽し都 恋の都 夢のパラダイスよ 花の東京」
古い曲ほど、何回も再録されていることが多いので
バージョン違いが多いのは致し方ないところ。
手元の音源はどうやら藤山一郎本人によるアレンジのものらしい。
ほかのものよりずいぶんスローテンポ。
これに聴き慣らされると、通常のものが
いやに駆け足に聞こえてしまっていけない
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
「逢えば行くティールーム」
喫茶店に対応する英語といえば、
今では「カフェ」*5が普通だが、
当時は「ティールーム」というのが一般的だったのだろうか。
字面からするとティールームの方がしっくりくるのは確か。
彼女と銀座で待ち合わせて、まず行くのは喫茶店。
くらいの意味だろう。
「うつつに夢見る君の 神田は想い出の街」
「うつつ」現実のこと。
きらびやかな銀座や新宿に遊ぶ君にとって
神田の街はすでに想い出でしかない。
「夜ふけにひと時寄せて なまめく新宿駅」
深夜にちょっと立ち寄った 夜の顔を見せる新宿駅。
今も昔も新宿の夜はなまめかしい。
amazonで現在入手可能な収録CD 1曲目/試聴可能・これは藤山本人の編曲によるバージョン
- アーティスト: 藤山一郎
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