暗転した舞台に、三味線と鼓による
『天城越え』(1986年/ by)のイントロに導かれ
スポットライトを浴びた、石川さゆり登場。
途中、新曲や、持ち歌以外のスタンダードを交えつつ、
『能登半島』(1977年/ by)のようなヒット曲や
『ウイスキーが、お好きでしょ』(1991年/ by)などの小品をからめて、
ラストにこの『津軽海峡・冬景色』を持って来れば
熱心なファンじゃなくても、お客さん皆大満足なこと請け合い。
・・・まったくの想像による
石川さゆりディナーショーの流れを妄想してみたが、
結構当たらずも遠からずなのではないだろうか。
ただでさえ賞味期限の長い演歌にあって、
演歌歌手は、ひとつでもヒット曲があれば、
その気になれば歌手として一生営業していける。
そして演歌史に残る超ド級のヒット曲を2曲も持つ石川にとっては、
その2曲だけは変にいじったりせずに、
出来るだけレコードそのままと心がけていてさえすれば、
後は好きなようにやっても、大満足のステージを生み出すことができる。
意識してか知らずか、石川はこれを律義に実践しているように思う。
大御所と呼ばれるようなベテラン歌手で、
時々耳に障るのが、この変にタメを利かせた歌い方。
たぶん、歌い飽きているんだろうね。
元の節を変にずらして、聴く側をつんのめらせてしまう。
じれったくて、聴いていられない。
そもそも『津軽海峡・冬景色』は、元々レコードの段階から
絶妙なタメを持った曲で、意識して聴いていると
各フレーズの後ろ部分は、リズムからかなり遅れているのがわかる。
「♪上野発の夜行列車」あたりまではテンポ通りだが
「♪降りた時・か・ら・」と、だんだんタメが利いてくる。
「♪青森駅は」とテンポが戻ったとおもったら、
それにづづく言葉のタメが利いてくる。これの繰り返し。
嫌味にならないギリギリのところでタメを利かせている。
これ以上タメちゃうともう聴いていられない。
絶妙。
名曲・聴きドコロ★マニアックス
津軽海峡を、船でも電車でも
渡ったことのある人ならわかると思うが 、
この曲が頭をよぎらないことが、まずない。
上野発ではないけれど、
雪の季節ではないけれど、
連絡船ではないけれど、
青森を発つときは、『津軽海峡・冬景色』を思い浮かべ、
函館に着くときは、「♪はーるばる来たゼ ハーコダッテー」と、
『函館の女』(北島三郎/1965年/試聴はこの先から)を思い浮かべる。
これはもう、条件反射のようなもので
何者にも止められやしない。
「♪ご覧あれが竜飛岬 北のはずれと 見知らぬ人が指を指す」
かつて、夜行の青函フェリーから、必死に竜飛岬を探したが、
いくつもあるうちのどの明かりが、竜飛岬なのか判らなかった。
「♪息で曇る窓のガラス拭いてみたけど 遥かに霞み見えるだけ」
窓越しに進行方向左側を眺めている人が結構いた。
皆思うものは似たようなものだったのだろうと思う。
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
「連絡船」
青函連絡船。今では逆に信じられないことだが、
列車がそのまま船に積み込まれる。
桟橋から直接、船内にレールがつながっており、
船に直接列車が走りこむ*1。
なんだかすごくない?
ご存じのとおり、1988年の青函トンネルの開通により、
青函連絡船は廃止。
海に突き出た青森駅の妙な構造だけが名残として残っている。
「上野発」
これは比較的最近までそうだったので
それほど違和感はないが、
かつて東京から東北方面の始発駅といえば上野駅だった。
いずれも上野駅で行き止まりののホームに滑り込んだ。
上野から東京方面に向かうのは、
山手線と、京浜東北線のみだったのは今は昔。
新幹線*2も、東北線*3も、そのまま東京方面へ直通するようになった
現在入手可能な収録CD/視聴可能
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