「江戸っ子だってねェ。」
「おぅ、神田の生まれよォ。」
どこの誰だか知らないけれど
誰もがみんな知っている*1この有名なセリフ。
そしてトドメはもちろん、
「寿司食いねェ!」。
長い話のなかの、ほんの一場面なんだろうけど*2、
セリフが独り歩きして幾星霜。
遂にはこんな派生曲まで誕生してしまった。
そして、数十年たったいまでも
テレビなんかで寿司の場面のBGMといえばこの曲。
ちゃきちゃきの江戸っ子の世界を、
こんなテクノポップスで彩るなんて、どうやったって不釣り合い。
だのに「ヘイ、ラッシャイ」という掛け声と
寿司ネタの連呼が、妙にピコピコ音にマッチしていて、
深層心理に、寿司屋とはこうあるものだという先入観を
ザクザクと植えこんでいく。
もとより、回っていない寿司屋に入ることなんか無いんで、
本物の江戸前の店でどうなのか知らないけど
こんな威勢のいい江戸っ子の世界が広がっているという思い込みを、
すべての人に植え付けやがるのだ。この曲は。
当然、のれんをくぐったら「ヘイ、ラッシャイ」と言われるだろうし、
店を出るときは「まいど!」と言われるだろうと。
だけど冷静に考えれば、寿司屋の大将に
上から目線で「寿司食いねェ」なんて勧められることは
まず、ありえないだろうと予測はつく。*3
![スシ食いねェ! [EPレコード 7inch][LP Record] スシ食いねェ! [EPレコード 7inch][LP Record]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/410HMTqGwvL.jpg)
それにしてもシブがき隊って、こういうちょっとキワモノが多いよね。
王道の少年隊と比べ、あまり本気で売り込んでもらえていない印象。
サウンドを聴くと一目瞭然(一聴瞭然?)で、
もう、一音一音の金のかかり方が違うのが、悲しいくらいに見て取れる。
だけどもそのおかげか、好き勝手やっているように見えて、それが魅力でもある。
「スシ食いねぇ」にしたって、元々はコンサートの曲間の間繋ぎ用に
本人たちによって作られたお遊びだったとか。
演出も自分たちでやらなくちゃいけなかったことが窺えて、悲しいやら、逞しいやら。
その後、プロの作詞家・作曲家の手にゆだねられて
現在の形にまとめられたという。
交代で歌う部分は、薬丸、布川、本木の順に歌っているように聞こえる。
「スシ食いねェ!」のセリフだけは布川→薬丸の順かもしれない。
本木は「オヤジ、How match?」だ。
ふと、あの本木雅弘が、当時どのツラ下げて
こんな歌を歌っていたんだろうと気になり
動画サイトをチェックしてみた。
喜々として踊り歌っている本木を見つけて
なんだかとても安心した。
名曲・聴きドコロ★マニアックス
寿司ネタの連呼の中で気になるのが、
「シメサバ」。
『おさかな天国』(柴矢裕美/1991年/ by
)でも同じ感想をえるのだが、
何故サバだけが加工された状態で挙げられるのか。
サバでいいじゃん。サバで。
魚偏にブルーの、鯖で。
ちなみに、岐阜県の一部地域では「シメサバ」といわずに「スサバ」という。
スーパーなんかでも、そう書いて売っている。
後に、スタバってスサバみたいだよなと最初思ったところを見ると、
スサバという言葉を知った方が、スタバより先と見える。
しかしまぁ、こんな曲を選んでしまっていいものかどうか
ここまで書いても未だに迷いが晴れないところ。
もっと挙げるべきはいくらでもあるだろうと自問するが、
やっぱりこの魅力は捨てがたい。
カラオケなんかでも、オーディエンス*4がちゃんと
掛け合いをやってくれる雰囲気ができていれば、
比較的誰でも知っている曲なので、それなりに盛り上がる。
もっとも、「♪俺の彼女は~」とくるとみんなキョトン。
曲の知名度のわりに、フルコーラス知っているヤツって
ほとんどいないようだ。
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
「小柱」
バカガイとかアオヤギとか呼ばれる貝の貝柱のこと。
ホタテの貝柱と比べて小さいから、小柱というのだと思う。
個人的にこの寿司を見たことはないが、軍艦に盛られているらしい。
「あ、ガリ」「あがり」
ガリはスライスしたショウガの酢漬け。
あがりは業界用語でお茶のこと。
イキがって業界用語を連発する奴はいけ好かないので気を付けるべし。
こうやってシャレとして言うくらいがちょうどいい。
「おあいそ」
これも業界用語で、お勘定のこと。
どうせ言うなら、この曲の締めのように
「オヤジ、How Match?」(もちろん魚のハマチにかけている)
というほうが、はるかに粋というものだ。
現在入手可能な収録CD/視聴可能
やっぱ生で聴きたい人は、ライブ・イベント情報&チケット
※該当曲を聴ける保証は、、ないだろうなぁ。