日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『今宵の月のように』 エレファントカシマシ ~ 醒めつつも前向き、な感じがカッコイイと思うお年頃

街灯もまばらな夜道。
妙に輪郭のはっきりとした自分の影を足元に見つけ
思わず背後を振り仰ぐと、そこには、ぽっかりと満月が浮かんでいたりする。

月の光って意外と明るいんだよね。

いつか、今夜の月のように光り輝くんだ、という
なんだか少し遠慮がち聞こえてしまいがちな、表題曲の歌詞も、
案外そんなに悪い目標でもないんじゃないか思える瞬間だ。


そう思って聴くと、
「♪くだらねぇと呟いて 醒めたツラして歩く」とか、
「♪いつまでも続くのか 吐き捨てて寝転んだ」とかいう
ブッキラボー*1でヤサグレ*2歌詞の中にも
新しい季節の始まり、や、愛を探しに行こう
といったの言葉に未来への光明が見えてくる・・・

と思いたいところ、、、だが、
結局のところこれも、「♪いつの日か・・・だろう」
具体的な年月、目標点のない夢物語にすぎず
時に、えもいわれぬ焦燥感に駆られて不安になりつつも
つまんねーなー、なんか面白い事ねーかなー、と無為に思いを巡らせているに過ぎない。

「新しい季節の始まり」とか言っているくせに、
「真夏の夜空」──季節のど真ん中──に街に吹く風は
当たり前のように「夏の風」なんだから。

季節変わってねェじゃん!


今宵の月のように
シングルジャケット/amazonより
 
  • 作詞・作曲 宮本浩次、編曲 佐久間正英
  • 1997年(平成9年)7月30日、ポニーキャニオンより発売
  • オリコン最高位8位(年間81位/1997年)
  • 歌詞はうたまっぷへ:今宵の月のように エレファントカシマシ 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:今宵の月のように - Wikipedia



  • 人生の岐路に立つような絶望もなく、
    そのくせ尖って周りに当たり散らすこともせず、
    ボソっとぼやくように憎まれ口をたたくだけ。
    時にカッコつけて
    「♪もう二度と戻らない日々を 俺たちは走り続ける」なんて口にするけど、
    果たして走っているという自信がない。
    あー、ホント、こういうことあるよな。


    「♪君がいつかくれた 想い出のカケラ集めて 真夏の夜空ひとり見上げた」
    「♪君の面影 キラリと光る夜空に 涙も出ない 声も聞こえない」

    昔の彼女だろうか。
    想い出に寄り添ってちょっとした現実逃避。

    「♪今日もまたどこへ行く」すでに夜空の時間なのに、今さらの行動。
    今日もうすぐ終わっちゃうよ?

    「♪明日もまたどこへ行く」
    予想通り今日は成果なしだったらしい。
    明日に持ち越しらしい。これを先送りという。

    「♪見慣れてる町の空に」
    やっぱり今日はどこにも行けなかったらしい。
    夜行性生物はこれだからいけない。

    そして、あしたもきっと、今日と同じ日々が続いてゆく。


    よほど人生が充実している人間ならともかく
    だれでも一度は、(あるいはずーーっと)こういう状態を経験しているはずだ。

    ある種、実に共感を得やすいシチュエーションともいえる。
    同じような人間を見つけて安心を得る
    ぬるま湯シンドローム。居心地いいよね。


    名曲・聴きドコロ★マニアックス

     「♪あふれる熱い涙」という歌詞。
    どういうわけか2通りの節回しで歌われている。

    1回目と3回目は、言葉の本来のイントネーションに沿った
    「あふる あついみだ」

    2回目は、「今宵の月のように」と同じイントネーションで
    「あふれる ついなだ」

    意味があるのかどうか、まったくわからない使い分けだが
    おかげで、どっちのイントネーションで
    歌えばいいかわからなくなって、結果的に音程があやふやになってしまう。


    そういえば、唄い出しの「♪くだらねぇと」の
    「く~ぅだ」の部分、
    なんだか音程ちょっと変じゃね?
    タイミングをつかみ損ねて慌てて声出したみたい。

    ところで、どうでもいいけど、宮本浩次の声って
    なんとなく時々ユースケ・サンタマリアの声に似てるよね。


    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    今宵の月のように
     もうこの言い方が、かなりカッコつけだよね。
    「今日の月みたいに」といわず「今宵の月のように」
    照れ隠しに気取ったふりをしているとも取れる。

    エレファントカシマシ
    このバンド名ってすごいと思う。
    音の響きのよさと、かしましいという古風な言葉のミックス。
    なんだか少しカッコ悪いのに、なんだかとてもカッコいい。
    英語のようで英語でない。もちろん日本語でもない。
    絶妙な言葉のセンスに乗っかったネーミングに脱帽。


    現在入手可能な音源

    【オリジナルアルバム】
    明日に向かって走れ ― 月夜の歌

    明日に向かって走れ ― 月夜の歌

    オリジナルアルバム 3曲目の『風に吹かれて』(1977年/ by
    もカナリいいよね。そのうち採り上げよう。

    やっぱ生で聴きたい人は、ライブ・イベント情報&チケット

    ※該当曲を聴ける保証はありません。

    脚注

    *1:ぶっきらぼう】並外れた無愛想で知られた江戸時代の僧侶・仏煌僧正のあだ名、仏煌坊主ブッキラボウが語源。(大ウソ)

    *2:【やさぐれ】英国貴族グレイ勲爵士のしつこいまでの要求に対し、下僕が半ギレで返事した「Ya!Sir.Glay!」の言葉から来ている。(大ウソ)