グループサウンズの東の雄、ザ・スパイダースと言えば、
その現役時代の足跡の大きさもさることながら、
解散後、元メンバーたちが音楽のみならず才能を発揮し、
もはや元スパイダース、という肩書すら不要になったほどの錚々たるメンツ揃いで、
その後の元メンバー活動を列挙しただけでも、
この稿だけではとてもとても足りなくなってしまう。
ごく簡単に、露出度の高そうな順に元メンバーを列挙してみよう。
いまだにテレビの第一線で、司会やタレント、俳優として活躍する堺正章。
ソロの代表曲は『さらば恋人』(1971年/ by
)。
俳優業では『西遊記』の孫悟空が代表作だろう。スパイダースでは主にボーカルを務めた。
同じく司会・俳優・タレント業でおなじみ、井上順。
ソロ代表曲は『昨日・今日・明日』(1971年/試聴はこの先から)、
『お世話になりました』(1971年/試聴はこの先から)、
そしてスパイダース時代のセルフカバーがリバイバルヒットした
『なんとなく なんとなく』(1995年/ by)。
スパイダースでは主にボーカルを務めた。
独特の風貌を持つ唯一無二のミュージシャンとして活躍し、
「ムッシュ」の愛称でも親しまれた、かまやつひろし。
ソロ代表曲は『どうにかなるさ』(1970年/ by)、
『わが良き友よ』(1975年/ by)、
ほかのミュージシャンへの楽曲提供に、
ちのはじめ『やつらの足音のバラード』(1974年/ by)、
立花理沙『大人はわかってくれない』(1987年/ by)などがある。
スパイダースでは主にソングライティングと、サイドギターを務めた。
楽曲提供やバンドマンとして活躍する井上堯之と大野克夫。
二人で『太陽にほえろ!メインテーマ』(1972年/試聴はこの先から)、
『傷だらけの天使』テーマソング(1974年/試聴はこの先から)などドラマ音楽を手掛け、
井上堯之は、楽曲提供でPYG『自由に歩いて愛して』(1971年/ by)、
近藤雅彦『愚か者』(1987年/ジャニーズ関係は試聴できる環境がない)などがあり、
大野克夫は、沢田研二の『時の過ぎゆくままに』(1975年/ by)
『勝手にしやがれ』(1977年/ by)などの一連のヒット曲を連発し、
五木ひろし&木の実ナナ『居酒屋』(1982年/ by
)などの楽曲提供や
近年では『名探偵コナンテーマソング』(1996年/ by
)を手掛けている。
スパイダースでは、主に井上はリードギター、大野はキーボードを務めた。
今や大手の芸能プロダクション、田辺エージェンシーを立ち上げた
スパイダースのリーダーでドラムスの、田辺昭知。
新旧所属タレントには、スパイダースの各メンバーのほか、
タモリやアルフィー、TUBE、永作博美、堺雅人など枚挙にいとまがない。
スパイダース全盛期の主要メンバーの中では、ベースの加藤充のみが、
その後芸能界を引退し主に市井で活躍することとなる。
ごく簡単に述べただけでも、これだけの分量になってしまう。
さて、忘れていないぜ『バン・バン・バン』。
非常にシンプルなロック・ナンバーで、
「♪とぼけた顔してババンバン」という、これまたとぼけた歌詞がナイス。
そしてなんだかとっても歌いにくい。
「♪バンバンババババババババーン」下手な早口言葉よりも難易度が高く、
歌っているだけで、思わず照れ笑いのようにニヤけてしまう。
そんな雰囲気もあって、たいへんご機嫌なナンバーなのだが、
ライブパフォーマンスの楽しげな雰囲気が、レコードにうまく残せていないのが残念。
個人的な感覚なのかもしれないのだけど、
頭の中で鳴っている音と、レコードで聴く音の乖離が激しいのだ。
同様な例はタイガースの『シーサイド・バウンド』(1967年/ by
)、
北島三郎の『まつり』(1984年/試聴はこの先から)、
研ナオコの『夏をあきらめて』(1982年/ by
)などいくつもあるが、
これが最大級。レコードを聴くと、なんだかしっくりこなくて、
クシャミが出そうで出ないときのような、もどかしさを感じてしまう。
だけども、いったん曲を聴き終わりさえすれば、
またもや頭の中で楽しく賑やかな「♪ババババンバーン」がはじまり、
脳内パワープレイ*1へと発展するのだ。
「♪ババンバン」
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
とぼけた顔
とぼける、という言葉は少し面白い成り立ちをしていて、
ボケる(惚ける・呆ける)に接頭語「と」をつけて強調するものになっている。
「と」は漢字で書くと「途」かもしれない。
ちなみに程度を上げると「すっとぼける」になる。
無意識的<-- ぼけた顔 - とぼけた顔 - すっとぼけた顔 -->意識的
のような関係がなりたつ。
バン
擬音語以外の何者でもないが、この「バン」はなんだろうか。
ぱっと思いつくのがBang! Bang!、と銃の音なんだろうけど
The Yellow Monkey『BURN』(1997年 by)での
「♪バーン、バーン、バーン、バーン、バーン」は、タイトル通り「burn」(燃える)だし、
The Beatles『Maxwell's Silver Hammer』(1969年/ by
)での
「♪Bang! Bang!」は金槌で恋人を撲殺する音だ。
いずれにしても、割合物騒な言葉である。
するてーと、なにか?
ドリフの『いい湯だな』(1967年/試聴はこの先から)は、
温泉場でドンパチ抗争するやくざモンの歌で
児童曲『うたえバンバン』(1972年/ by)は鼻歌交じりに銃を乱射する歌で、
スパイダースの『バン・バン・バン』は、素知らぬ顔で銃をぶっ放す歌か。
そりゃあ、「♪アイツにゃとても敵わない」のは無理もないだろう。
そしてチキチキバンバンやビリーバンバンやバンバンは危険物だということか!
そんな馬鹿な!
現在入手可能な収録CD/視聴可能
やっぱ生で聴きたい人は、ライブ・イベント情報&チケット
※該当曲を聴ける保証はありません。(ていうか、ないと思う。)
脚注
*1:ヘビーローテーションともいう。ラジオ番組などのキャンペーンで、イチ推しの曲を頻繁に流すこと。