当時、何故あれほどこの曲を毛嫌いしたか、自分でもわからないくらい
今聴くとなかなかにハッピーな佳曲じゃないか。
趣の異なるサビ、Aメロ、Bメロの組み合わせや、
主旋律とオブリガード*1の逆転、ゆがんだ和音を響かせるエンディングなどなど
展開もなかなかに凝っている。
だけど、これが流行した当時は「だめだこりゃ」といかりや長介ばりに吐き捨て、
やがて個人的に日本の曲を全く聴かなくなっていく、ひとつのきっかけになってしまった。
おそらくそのせいだろう。百名曲の記事を読み返してみると、
1980年代後半から、90年代前半にかけての曲の記事にはトゲが感じられる。
いけないよなぁとは思うものの、どうしてもひとことふたこと
言いたくなってしまうから困りものだ。
この曲を筆頭に、当時の流行歌に多く見られた歌唱の稚拙さが、主な原因だと思うが、
それを言い出したら、もっと上には上(下には下か?)がいくらでもいるし、
そもそも児童合唱のようなものが娯楽として成り立たなくなってしまう。
毛嫌いしていた割には、久しぶりに耳にした際には、
1番くらいならソラで歌えるくらい体に染みついていたところを見ると、
実はまんざらでもなかったのかもしれず、
ある種の、カッコつけのポーズだったのかもしれないと今になって思う。
文字通りガキだったんだよな。

全体に意味不明な歌であるので、全文日本語訳行ってみよう。
胸の中にある、もやもやなんて脱ぎ捨ててしまおう。
どうだい、夢中な冒険者たち、
ここは、大人には見つからない、大人にはたどりつけない夢の世界なんだ。
そう、君たちは空を見上げるだけの子どもだった。
さみしそうな眼をして、大空を飛び回るのを夢見ていたんだろう。
だから僕は君たちに、ついておいでよ!と呼んでみたんだ。
しぼんだ風船のような気持では、大空なんて飛べやしないさ。
海の広さを知ることもできないし、当然、夢見ることなんてできない。
君の心の中の大きなカバンに、いっぱいの夢と希望を詰め込んで
大空へ飛び立とうよ!
どうだい、この世界は。とってもハッピーだろう?
心をいっぱいに広げて感じようよ!
どうだい、夢中な冒険者たち、
ここは、大人には見つからない、大人には決してたどりつけない夢の島なんだ。
嘘なんかじゃないよ。ほら、しずかに息を鎮めて感じとってごらん。
おでこに新しい風を感じるだろ?ほら、シーツがたなびいている!
君のベッドはもう、まるで汽車のように飛び回りはじめた。
今、銀河行きの発車ベルが鳴ったんだ!
夢に向けてどこまでも大空を翔び抜けていく。
シルクロードの広大な景色を吹き抜ける、笛の音にも似た風のように!
ようこそ、僕たちの楽園へ!みんなおもいきり楽しもう!
胸の中にある、もやもやなんて脱ぎ捨ててしまおう。
どうだい、夢中な冒険者たち、
ここは、大人には見つからない、大人にはたどりつけない夢の中の世界なんだ。
どうだい、この世界は。とってもハッピーだろう?
心をいっぱいに広げて感じようよ!
どうだい、夢中な冒険者たち、
ここは、大人には見つからない、大人には決してたどりつけない夢の中の世界なんだ。
「♪しゃかりきコロンブス」のような、 意味ありげで魅力的なフレーズにあふれている。
プロバスケットボールチーム、埼玉ブロンコスの名前を見るにつけ*2、
決まって思い出すのがこのフレーズだし、
お笑いコンビ坂道コロコロが、名前が縁起悪いからと改名したのが
坂道コロンブスだったりした。
そのほか、全然意味わかんないのに、なんだか前向きな印象の言葉たち。
「♪胸のリンゴむいて」「♪心の傘開き」
曲のタイトルの『パラダイス銀河』だってそうだ。
いったいぜんたい、「銀河」がどこから来たものか、
曲をしっかり聴きこむまで気が付かなかったくらいだが、
ゴロがいいと言ったらいいのだろうか。言葉のフレーズが実にしっくりくる。
後に流行った、「声に出して読みたい日本語」*3、それがやたらと飛び出すところに、
この歌の一番の魅力があるのかもしれない。
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
しゃかりきコロンブス
「しゃかりき」とは、一心不乱になって追い求めること。
ニュアンスそのものの言葉で、意味が伝えにくいよな。
しゃかりき、とか、がむしゃら、とかいう言葉は、
釈迦力とか我武者等と書きたくなるけど、たぶんそれは言い得て妙な当て字。
「コロンブス」は、開拓者や先駆者くらいの意味で使っているのだろう。
総じて、一心不乱な開拓者、という意味だろう。
しぼんだままの風船じゃ 海の広さを測れない
しぼんで飛ばなくなった風船では、海を越えていくことはできない。
だから海の広さを知ることもできない、ということ。
このフレーズを聴くと、風船おじさん*4を思い出すのは自分だけだろうか。
胸のリンゴむいて
心の傘開き
胸や心に、リンゴや傘があるわけではなく、
おそらくは、「一皮むける」「殻を脱ぎ捨てる」といった、成長を表す言葉、
そして、「心を開く」「アンテナを張り巡らせる」といった、世界を眺望する言葉を、
何か別の言葉に置き換えようとしたときに、
リンゴの皮をむくように、傘を広げるように、という
ちょっと変わった比喩にしてしまったものと推測する。
胸の内に秘めていた想いが、殻を打ち破って飛び出す。
閉ざしていた心を、世界に向けて開いてみる、というような意味だろう。
現在入手可能な収録CD
やっぱ生で聴きたい人は、ライブ・イベント情報&チケット
※該当曲を聴ける保証はありません。(というか、ないと思う)