くだらない駄洒落でしかないと、自分でもわかっているのだが、
いけないと思いつつ、どうしても頭をよぎってしまう、連想してしまう、
そんなフレーズが多々ある。
歌詞に「別れ」という言葉があれば、
それは半ば自動的に「ワカメ」という言葉に脳内変換され、
一瞬で曲を台無しにしてしまう。
この曲の導入部分に当てはめれば、
「♪素敵な別れさ 出会いの未来があるから」という前向きな別離で始まるはずが
脳内では「♪素敵なワカメさ~」と、生のワカメにほおずりせんばかりに、
最高の笑顔を見せる男の歌になってしまう。
高橋真梨子が、『ごめんね・・・』(1996年/ by)において
「♪連れて行って 別れのない国へ・・」と、悲壮な後悔を見せれば、
やはり脳内では、「♪連れて行って ワカメのない国へ・・」と、
この上なくワカメを毛嫌いする女性の嘆きに変身してしまう。
どういうわけか、映像付きで脳内変換されてしまうのが
イメージを固定させる拍車をかけていて、本当にいけない。
同様に、沢田研二が『勝手にしやがれ』(1977年/ by)で、
「♪寝たふりしてる間に 出て行ってくれ」と歌えば、
脳内では「♪ネタふりしてるマギー」と変換され、
彼女と一緒にいる部屋に突然現れ「これが○○になったら、びっくりするでしょ?」
これからやるマジックのネタふりをする、すっとぼけたマギー司郎に変身し、
「♪出て行ってくれ~」と懇願する場面に変わり、
郷ひろみが『お嫁サンバ』(1981年)で「♪ああー それが大事だよ~」と歌えば、
「♪ああー 総理大臣だよ~」と脳内変換され
「村山富市君を内閣総理大臣に任命します!」と土井たか子議長の声が議場にこだまする。
こうなるともう止めようがない。
脳内変換に留めるだけでなく、ついうっかり言葉にしてしまうと
もうそういう風にしか聞こえなくなるからヤメロ、と嫁に怒られる始末だ。
あぁあああああ、今回は(今回も?)内容が本当にひどいな。
ほかにも同様な例がいくらでもあるんだけど、挙げだすときりがないので、
あとひとつだけでやめておこう。
人間性を相当疑われそうなので、これまで人前にさらけ出したことはないが
もうひとつ、この『By For Now』にそれは潜んでいる。
「♪夢かなう日まで 今はこの場所でBy For Now」
会議場に続々と人々が入場してくるシーンではじまる。
四角く囲むように配置された長机の正面、メインコメンテーターには、
タレント・タモリの姿がちらりと見え、いよいよ進行役が討論会の開始を宣言する。
ここで、印象的なオーケストラヒットの短い間奏に差し掛かる。
その一音一音にあわせて、各人のアップがパンで入り、最後はタモリのユルい笑顔。
すぐにカメラが一気に引いて、議場正面と、背後の横断幕が捉えられる。
ここで一番盛り上がりを見せるボーカルが、「♪おっぱいフォーラム!」
横断幕には「女性のバストを語る夕べ」と、恥ずかしげもなく書かれている・・・
あああ、書いちまったよ。骨の髄からヒドイなこれは。
どう考えても脳内だけに留めておくべきだろ。
(言うまでもないが、正しくは「♪Oh, Bye for now」と歌っている)
ごめんね、本当にごめんね。
ひどいよね、ヒドすぎるよね。許してなんか言えないよね!
長々とひとりボキャ天*1とナウシカごっこやっていないで、
ちょっとは真面目に曲について語らないと、さすがに申し訳ない。
先にも書いたように、この曲は「別れ」を「素敵」と表現するほどの
ザ・ポジティブ・シンキング・ソング。
マイナスさえもプラスの出来事と考えてしまおうという、非常に前向きな曲だ。
別れを前向きにとらえる歌、というのは、
ある種の定番曲で、今も昔も枚挙に限りはない。
「♪さよならは別れの言葉じゃなくて 再び会うまでの遠い約束」
(『セーラー服と機関銃』薬師丸ひろ子/1981年/ by)
「♪サヨナラから始めよう 燃えるよな恋してみよう」
(『夏を待ちきれなくて』Tube/1993年/ by)
「♪涙の数だけ強くなれるよ アスファルトに咲く花のように」
(『Tomorrow』岡本真夜/1995年/ by)
「♪Oh, My Baby, バイバイじゃない サヨナラは また新しいスタート」
(『Bye-Bye』ブラックビスケッツ/1999年/試聴はこの先から)
など様々だ。
そもそも「卒業」の歌というのが、別れを伴う未来への旅立ちの曲であるので、
考えれば「前向きな別れ」という一見矛盾するような事柄が、
定番であることに何ら不思議はない。
面白いのが、「♪君の笑顔忘れはしない」というような今生の別れのような深刻さの中、
「Bye For Now」(じゃあまたね)と、かなり軽いノリの声をかけていることだ。
しかもそれがタイトルになっている。
英語になっているので気づかないが、仮にこの曲のタイトルが、
日本語で「ほんじゃまたノチホド」だったとしたら
曲調の深刻さとのギャップに面食らうだろう。
ただこれも、ひとつの定番だ。
「あるある」といった方がいいだろうか。
深刻な場面で深刻になることを嫌う、言い方は悪いがひとつの現実逃避。
大したことじゃないんだよ、と自分達に言い聞かせるように。
「今はここで。・・・そう!"Bye for now" だよな!」
「素敵な別れ」とか、「出会いの未来がある」とか。
弱気になりがちな旅立つ相手の背中を押し、
半ば冗談にすることで、自らの心をも軽くなぐさめ、
なによりピシッとカッコつけられる。これぞ一石三鳥なり。
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
マジじゃ言えないけれど
面と向かってはいけないけども、シラフじゃ言えないけども
というくらいの意味だろう。
冗談めかさなきゃ言えないけど、お前の横顔、かっこいいぞ。
うわ、本当に冗談めかさないと言えそうにないなこれは。
照れくさすぎる。これをマジで口にできる奴は、最強に口が軽い奴だ。
全ての明日
「未来」って言えばいいのに。もう、この照れ屋さんたら。
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