日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見による日本100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

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『夏をあきらめて』 研ナオコ ~ ナイスカバー? yes. ナイスカバー。

ひとの持ち歌を歌うことを「カバー」という。 レコードにかぶせて歌うから、カバー。 つまりは、カラオケのイメージ。 ・・だと思っていたが、どうも違うらしい。 英語で"cover for ××"(××は人を指す) で、「××の代わりを務める」 という意味から来ている表現だそうで、要するに代役のこと。 なんだリメイクだと思っていたら、スペアだったか。 しかし、そんな本来の意味通りの代役や、 だれもが認める名曲を××が歌い上げる・・・というようなカラオケ状態のものではなく、 カーペン…

『銀座カンカン娘』高峰秀子 ~ 「銀座」は残った 柳とともに いつまでも

流行を取り入れた歌詞が、時代とともに早々に廃れてしまうことは 『洒落男』(1929年/二村定一)の回で触れたとおりだが、 この『銀座カンカン娘』はというと、驚くべきことに 一語たりとも死語というものがないように見える。 「カンカン娘」という造語 ーーおそらくはイマドキの若い女性たちの総称として名付けた、 特にこれといった意味のない雰囲気名称と思われる*1ーーはともかくとして、 それ以外登場する語句は、今でも普通に使用されるものばかりだ。 言い回しに文語調の古めかしい表現が見受…

『洒落男』二村定一 ~ 流行は廃れる危険を考慮しないと、すぐに意味不明になる

またしても時を遡り、20世紀前半に舞い戻ろう。 この「日本百名曲-20世紀篇-」を始めるにあたって、 各年代それぞれで候補曲としていた曲がいくつかあった。 戦前戦中の候補曲には、この『洒落男』をはじめとして 『東京節』*1(添田知道/1918年/※試聴環境がないようです by※これは近年のカバー) 『アラビヤの唄』(二村定一・天野喜久代/1928年/※試聴環境がないようです by※これも近年のカバー) 『蒲田行進曲』(川崎豊・曽我直子/1929年/※試聴環境がないようです b…

『本能』 椎名林檎 ~ 人間の歴史の上に、言葉とともに欲望が生まれた

やけに耳障りな音だ。 不安になるような不協和音とは違う、人の息遣いを感じない電子音とも違う、 もっと実在的で、物の気配を感じ取れるような音。 まるで機械がけたたましく連続音を発生させる、町工場の界隈のような。 そう、喧噪という言葉がぴったりかもしれない、尖ったガチャガチャした音。 人の営みが作り出す、騒々しく耳障りな音の数々。 自分にとって、この曲は、そんなイメージがある。 うなり上げるベース、金属音のようなドラムス、空気を切り刻むようなストリングス*1、 そして町内放送のス…

『バン・バン・バン』 ザ・スパイダース ~ 脳内ババンバンがとまらない!

グループサウンズの東の雄、ザ・スパイダースと言えば、 その現役時代の足跡の大きさもさることながら、 解散後、元メンバーたちが音楽のみならず才能を発揮し、 もはや元スパイダース、という肩書すら不要になったほどの錚々たるメンツ揃いで、 その後の元メンバー活動を列挙しただけでも、 この稿だけではとてもとても足りなくなってしまう。 ごく簡単に、露出度の高そうな順に元メンバーを列挙してみよう。 いまだにテレビの第一線で、司会やタレント、俳優として活躍する堺正章。 ソロの代表曲は『さらば…

『DA. YO. NE』 EAST END×YURI ~ だってラッパーちゃんだから、何でもありだYo。

あえて小難しい言葉でいうならば、 この曲が「ラップ」なる音楽的指向の 市井における嚆矢であることに関して是非に及ばず、 といえる。 難しい言葉にすることには、自己満足以外の意味がないので、 解るように砕けた言い方をすると、 やっぱ、どーあがいても、そこいらのオッちゃんやオバちゃんに、 「ラップ」って呼び名と雰囲気をわからせた、という一点において、 この曲が決定的な役目を果たした、というのはもうまぎれもない事実であって 疑いようがない。賛否両論は不要ということ。 もちろんそれま…

『appears』 浜崎あゆみ ~ ぜいたくな悩みだよね。本人は深刻なんだろうけども

曲の終盤にあらわれる、しつこいぐらいの念押しが 主人公の今の心のありようを物語っている。 「♪まるで全てが そう、まるで何もかも全てが 全てのことが」 メロディーの進行を捻じ曲げてまで、 しつこく、しつこく、しつこく、しつこく。 「♪うまくいっている かのように 見えるよね」 第三者の視点のように言っているけど、 ここでいう「恋人たち」はもちろん主人公とその彼氏のことだろう。 当たり前のこととして日常に発生する波風は、当然あるものの ほんとうに順調に日々を重ねて行っているハズ…

『Hello, Again ~昔からある場所~』 /My Little Lover ~ 君と、僕と、冒険心と、ほんの少しの郷愁と。

詩と、小説との一番の大きな違いは、 周囲の状況や、登場人物が誰であるか、 そういったことが具体的に語られないところにあると思う。 小説だったら、光景がぱっと眼前に浮かぶような風景の描写から始まり、 名指しで書かれた主人公が、いま何をしている、 そんなところからスタートする。 「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。 向側の座席から娘が立って来て、島村の前のガラス窓を落した。」(『雪国』川端康成) 一方、詩においては 登場人物が名…

『KNOCKIN' ON YOUR DOOR』 L<->R ~つたなさがにじむ青い応援歌

「♪あのきむにゅどぅ~」 いや、言えてないし(笑)。 個人的に、テレビの音楽番組というものを全く見ないため、 歌は知ってても、誰のなんていう曲か まったく知らないなんてことがざらにある。 L<->Rとかいう妙な名前のバンド*1の、 「Knokin' on your door」というタイトルの曲が存在することは なんとなく知ってはいたが、 曲とタイトルが結びついたのは何年も後になってからのこと。 タイトルから勝手に、ボブ・ディランの 『Knokin' on Heaven's D…

『夏の日の1993』 class ~ 時代の粋を集めたバカップルの一発屋ソング

よくぞ名付けたり、『夏の日の1993』 これで1993年の夏のヒット曲でなければ もはや嘘を通り越してペテンである。 ピンク・レディー『カルメン'77』(1977年/※試聴環境がないようです by)、 中森明菜『十戒(1984)』(1984年/※試聴環境がないようです by)、 本田美奈子『1986年のマリリン』(1986年/※試聴環境がないようです by)、 hitomi『LOVE2000』(2000年/※試聴環境がないようです by)などなど、 リアルタイムの年を冠した曲…

『さよなら夏の日』 山下達郎 ~ 勝手な解釈は聴き手の自由だ(くれぐれも自己責任で)

毎回毎回、もっともらしく歌詞の解説をしてはいるが、 実のところは、シチュエーションの設定次第で、 物語の解釈はどうとでもなることが多い。 こういうのを曲の懐の広さ、という。 曲に懐の広さがあるからこそ、 人はその中に自分の実体験や、見聞きした物語との共通点を見出すことが出来る。 たとえそれが、ごくごく僅かな取っかかりであったとしても、 想いを共感、投影することで、 曲と想い出とをセットにして、心にとどめ込むのだと思う。 それを逆手にとって、勝手極まりない解釈を垂れている。 そ…

『勝手にしやがれ』 沢田研二 ~ カッコつけるが女々しさ全開

勇ましいタイトルや曲調と裏腹に、なんとも女々しい歌であることよ。 力強いピアノによるイントロ*1から導き出される ジュリー*2こと沢田研二の カッコよく歌いあげるストーリィは、、、、 出ていく女をタヌキ寝入でやり過ごす男。 女が出て行ってからむっくり起き上がり、 遠く去りゆく女に向かって、窓越しに「アバヨ」と声をかける。 しまいには夜中だというのに 派手に音楽をかけて朝までひとり残念会で現実逃避。 ・・・なんてカッコ悪いんだろう。 シングルジャケット/amazonより 勝手に…

『たそがれの銀座』 黒沢明とロス・プリモス ~ 数え歌になり損ねたかムード歌謡

やがて日本のポピュラー・ソングの王道がロック・ポップス*1に移り代わり、 その傍流としてフォーク*2やニュー・ミュージック*3が台頭してきた頃。 従来の古いタイプのうたは「歌謡曲」という新たなジャンル名を頂戴して、 独自の進化を遂げていった。 その中に、「ムード歌謡」という名を与えられた枝葉的なジャンルが発生した。 大雑把に定義するならば、ラテンのリズム*4に乗せて、 コーラスグループが歌う歌謡曲を指すものということになる。 ムード歌謡は、歌詞の内容でさらに2系統に分けられ、…

『想い出の渚』 ザ・ワイルドワンズ ~ 日本人の夏はノスタルジィでできている

夏のうたがノスタルジックになったのは、いつからなのだろうか。 夏の歌といえば、大人も子どもも恋人も、 夏だぜ海だぜ騒ごぜイエイ、てな開放的な感じではなく、 夏の日の思い出を、優しく、ときに切なく歌い上げる曲が 日本の歌には特に多い気がする。 「♪麦わら帽子はもう消えた 田んぼの蛙ももう消えた それでも待ってる夏休み」 『夏休み』(よしだたくろう/1971年/※試聴環境がないようです by)、 「♪胸元が揺れたら 雫が砂に舞い 言葉もないままに あきらめの夏」 『夏をあきらめて…