あらためて歌詞をみて初めて気づいたのだが、
別れた相手を想い出にできなくて苦しい、
という単純な歌とは、どうやら違うらしい。
彼に言われた別れの言葉が、
いつまでも頭の中でリフレインしていて、逃れられない。
だけどなぜか、愛しさを忘れることができない、
という内容の曲なのだと思い至った。
問題となるのは、思わず聴き流してしまう英語のコーラス部分。
「♪You are only in my fantasy」
君は僕の幻の中だけにいるんだ。
おそらくこれは彼に言われた言葉。
ボーカルではなくコーラスが歌っていることからもそれが暗示される。
たびたび現れるこのコーラスの後には、
「今でも覚えている あなたの言葉」
「あなたの声聞きたくて」
と続くので、
“あなたの言葉”としてもっとも頭の中に残ってしまったのが
この突き放すような言葉なのだろう。
「♪ Leaving for the place without your love」
も彼の言葉だろう。
僕は君の愛のない場所に帰るよ。
「♪まばたきもしないで あなたを胸に焼き付けてた 恋しくて」
こんな、憧れにも似た接し方が、
彼には重荷だったのかもしれない。
君は僕の幻しか見ていない、と。
こんな言葉がずっと頭の中で、
繰り返し「♪so, once again(ああ、また)」
フラッシュバックしているにもかかわらず、
言われた瞬間の景色でさえも、
言葉とともにまざまざと思い返されるにもかかわらず、
「♪あなたの声聞きたくて」
突き放した後ですら、こんなに思われるようだと、重いかも。
耐えられないかもしれないなぁ。
だけど、女性視点から見たら
こんなに切ない、けれどやさしさのつまった歌になってしまった。
想い出として美化されて、
さらに重たくなってしまったのだろうか。
想いが重い。
ダジャレか?
すいません。駄洒落です。
名曲・聴きドコロ★マニアックス
それはそうと、
「♪あなたの居ない右側に 少しは慣れたつもりでいたのに」
漫才師じゃあるまし、
立ち位置が決まっていたのかよ*1という
ツッコミはこらえつつ、
この部分に焦点を当てて進行してみよう。
ふとした拍子に、ああこの場面では
いつもあなたがここにいたっけ、と思うと泣けてくるという。
これはどういうシチュエーションだろう。
短絡的に考えると、
いつも右手で彼の腕を組んでいた、
あるいは、
いつも助手席に乗っていて、右側の運転席に彼がいた、
というのが思い浮かぶ。
槇原敬之の『もう恋なんてしない』(1992年/ by
)
にでてくる「♪眺めのいい左」は
男女の立場の違いがあるものの、おそらく後者のパタンだろう。
しかしよく考えると、
ふとした拍子に居もしない人の腕を組もうとはしないし、
運転する人のいない助手席に乗り込むなんて
天然ボケも甚だしい。
やはり漫才コンビを組んでいたと考えるのが妥当か。
(違う)
日常のなかで、なんとなく決まっている居場所、
というものがある。
自宅の食卓の家族の座る場所とか、
駅のホームで列車を待つ場所とか、
行きつけの店のカウンターの席とか、
ポジション、定位置と呼ばれる類のものだ。
一緒にいた時間が長ければ長いほど、
こういった暗黙の了解による定位置が崩れたことに
あれっ、と違和感を覚えてしまうのだろう。
学校や職場での席順、チームのフォーメーション、
団体スポーツのポジションのような
あらかじめ誰かに決められた場所、での「右側」という可能性もある。
ただ、ポジションとしての考え方にとらわれてしまうと
「右側に慣れた」という妙な文脈の区切りで認識してしまい、
今までレフトを守っていたけど、あなたがいなくなったせいで
ライトにコンバートでされた。だけどそれも少しは慣れて来たみたい。
なんていう妙な解釈が成立してしまう。
んー。
(なお、今回このコーナーの文章が妙に長いのは、
元々これを本文として書いていたため。
おふざけが過ぎるので、マニアックスのコーナーに左遷された次第。)
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
「星が森へ帰るように 自然に消えて」
美しい表現だが、あまりにも詩的すぎて
何を言っているのか掴みづらい。
キャンプなどで、彼と星をみた想い出でもあるのだろうか。
動いているように見えない星座たちが、
地球の自転による星空のゆっくりとした動きで、
気が付くといつの間にか木々の中に隠れてしまっている。
そんな風に、いつの間にか消え去っていくものの
例えとして星を用いているのだろう。*3
(彼の)「ちいさな仕草」も、
「はしゃいだあの時の私」も、
「いつまでもあなたしか見えない私」も、
いつかそんな風に、
気が付くといつの間にか消えてしまうことを願っている。
「消せないアドレス Mのページを 指でなぞってる」
恋人は「M」のページに記されているようだ。
この人のアドレス帳は、どうもアルファベット順らしい。
二人の設定は外人か?
それはそうと、携帯電話なんてなかった当時、
アドレス帳に載っているということは
同棲はしていなかったことが察せられる。
「夢見て目が覚めた 黒いジャケット(の)後ろ姿が 誰かと見えなくなっていく」
彼が、知らない女性と一緒に去っていく夢を見た。
ふられた陰には、女がいたんじゃないか、
決して自分のせいじゃない。
なんだか重症ですね。
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