日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見による日本100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

1991~1995

『Over』 Mr.Children ~ やれうつな まったく懲りないフラレ男たち哉

なんでだろう。フラレ男の歌がとっても好きな自分がいる。 といっても、好き好んでフラレ男のイジケっぷりを愉しんでいるわけではなく、 気づいたらその手の曲ばかりを好んで聴いていたことに、気づいただけだが。 過去にここで採り上げた曲の多くに、その傾…

『Choo Choo TRAIN』 Zoo ~ 冒頭から催眠術にかけられるカオスソング

Q1.ヒアリング問題です。 次の音声を聞いて内容を書き下し、カッコ内にその意味を日本語で書きなさい ※試聴環境がないようです ♪ちゃ~んとデレレレ脳裏忠義一本ですfee for festival (抜かりなくデレております。頭の中はすべて忠義心のみで一点の曇りも…

『渡良瀬橋』 森高千里 ~ 素直な音色を奏でる地名オタク

表題曲の前年にも、『ロックンロール県庁所在地』(1992年/※試聴環境がないようです by)という、 タイトルからしてイカレた楽曲を本人の作詞・作曲で発表*1しているくらいなので、 森高千里は、おそらく地図・地名のマニアの類なのだろうと推測する。 九州出…

『もう恋なんてしない』槇原敬之 ~ 残された最たるは、モノではなく強迫観念

以下に記載するのは、表題曲の場面に至る前の出来事を、思いめぐらせてみたものだ。 こういうのは単なるイタい妄想ともいう。 【もう恋なんてしない──前日譚】 「・・・私がいないと、あなた一人じゃ何にもできないんだろうけど、せいぜい頑張ってね。」 い…

『息子』奥田民生 ~ エア息子とロマンチ母ちゃん

10代の頃、どういうわけかこの曲が大のお気に入りだった。 サウンドだけでなく、この歌詞世界にしてやられていたような気がする。 くだけた口調で、無限とも錯覚できる世界の大きさと、人生の可能性を語る、 そのアベコベさにだ。 「♪半人前が いっちょ前に …

『明日の行方』 Smile ~ 嘘と希望と逃避のはざまに

訥々と語るセリフからは、夢見るロマンチストを気取っているのかと思いきや、 実はすべて、主人公の現実逃避の言葉であることに気づいてからは、 いったい彼に何があったのか、気になってしょうがなくなってしまったのだ。 この主人公、とにかく明日が来るの…

『夜桜お七』 坂本冬美 ~ 蜃気楼のごとく一瞬かいま見えた、演歌の明るい未来

こと音楽に関しては、基本的にかなりの雑食であるつもりなので、 今更ジャンルにこだわったり、ジャンル談義をするつもりはさらさらない。 というよりも、ジャンルの違いというものを よく理解していないがゆえの雑食とも言えるのでなおさらだ。 ジャンル談…

『夏だね』 TUBE ~ 全季夏へと強制連行! TUBEは夏の季語に違いない

思考の跳躍っぷりが半端ない。 第一声、「春一番」で始まった歌が、わずか8小節足らずのうちに「6月」になり、 16小節に達する頃には、遥か「夏休み」にまで達する。 この間、文字数にしてわずか36文字。 「♪春一番が 小さな過去へと遠くなる六月 心はウワの…

『Bye For Now』 T-BOLAN ~ 照れ隠しのコツは、トコトンカッコつけるべし

くだらない駄洒落でしかないと、自分でもわかっているのだが、 いけないと思いつつ、どうしても頭をよぎってしまう、連想してしまう、 そんなフレーズが多々ある。 歌詞に「別れ」という言葉があれば、 それは半ば自動的に「ワカメ」という言葉に脳内変換さ…

『ガイア幻想紀』 川崎康宏  ~ テンションマックス、新説ワールドミュージック

今回は番外も番外。ゲームのBGMです。 タイトルを見てピンと来た方、もしくは、検索で直接こちらに来られた方、 イイもの取り揃えております。ごゆっくりどうぞ。 なにそれ?な方、ここはおそらく求めるものは無いので、 良ければこのサイト内の別のページで…

『借金大王』 ウルフルズ ~ 胸の中で毒づくけどホントは声に出して言いたい日本語

ドコを切り取っても、純度100パーセント、 混じりっけナシのロックンロール。 そりゃあもう、『完全無欠のロックンローラー』(1981年/アラジン/※試聴環境がないようです by) なんか、まるっきりメじゃないほど完全無欠なロックンロール。 チャック・…

『DA. YO. NE』 EAST END×YURI ~ だってラッパーちゃんだから、何でもありだYo。

あえて小難しい言葉でいうならば、 この曲が「ラップ」なる音楽的指向の 市井における嚆矢であることに関して是非に及ばず、 といえる。 難しい言葉にすることには、自己満足以外の意味がないので、 解るように砕けた言い方をすると、 やっぱ、どーあがいて…

『まゆみ』 KAN ~ 無償の愛、受ける側には結構ありがたくない

たぶん守秘義務があるので、詳しいことは言えないが ときどき仕事で有名無名のミュージシャンの動向を知ることがある。 世間的には、『愛は勝つ』(1990年/※試聴環境がないようです by)で 一発屋として知られるKAN(失礼)が 「弾き語りばったり」とかいう…

『YAH YAH YAH』 Chage&ASKA ~ 宗教勧誘と見紛うばかりのポジティブリード

ずいぶん紆余曲折をするグループだよなと思っていた。 谷村新司と堀内孝雄のダブルボーカルグループ・アリスのような、 歌謡曲風のフォークロック 『ひとり咲き』(1979年/※試聴環境がないようです by)でデビューし、 あからさまなアジアンテイストの 『万…

『Hello, Again ~昔からある場所~』 /My Little Lover ~ 君と、僕と、冒険心と、ほんの少しの郷愁と。

詩と、小説との一番の大きな違いは、 周囲の状況や、登場人物が誰であるか、 そういったことが具体的に語られないところにあると思う。 小説だったら、光景がぱっと眼前に浮かぶような風景の描写から始まり、 名指しで書かれた主人公が、いま何をしている、 …

『KNOCKIN' ON YOUR DOOR』 L<->R ~つたなさがにじむ青い応援歌

「♪あのきむにゅどぅ~」 いや、言えてないし(笑)。 個人的に、テレビの音楽番組というものを全く見ないため、 歌は知ってても、誰のなんていう曲か まったく知らないなんてことがざらにある。 L<->Rとかいう妙な名前のバンド*1の、 「Knokin' on your doo…

『夏を待ちきれなくて』 TUBE ~ 覆水盆に還らず、という言葉を知らんのか。

いいよ、君が望むなら別れよう。 だけどまたすぐに恋人同士に戻れるさ! もうすぐ夏がやってくるからね! 「♪サヨナラから始めよう 燃えるような恋してみよう」 「♪もう一度やり直せそう 夏を待ちきれなくて」 ポジティブ・シンキングにもほどがある。 何の…

『世界中の誰よりきっと』 中山美穂 & WANDS ~ オマエの日本語ってなんだか変だよな。イヤ解るけどさ

キャッチ―でメロディアスなんだけど、 なんだかとっても捉えどころのない曲。 なにより歌詞の意味するところが曖昧で ちっとも直接的でない。 歌ってて小恥ずかしくなるようなラブソングでもなければ、 心揺さぶる熱いメッセージソングでもない。 身近な恋に…

『Love Phantom』 B'z ~ 自身の作り出した亡霊に振り回され自暴自棄になるお話

B'zの松本孝弘というギタリストは、 自分で作曲とアレンジを行っていて、かなりのテクニックを誇示しているクセに、 なぜか、一歩引いている印象を受ける。 ああ見えて意外に自己顕示が少ないんじゃないかと。 わかる人にだけわかってもらえれば、OK。 少な…

『太陽が燃えている』 ザ・イエロー・モンキー ~ ないはずの説得力がある骨太サウンド

まったくの個人的観点から言わせてもらうが、 バンド・サウンドのベストはイエモンだと思う。 おそらく意識的に超高音と重低音を排除し、 中低音の音域にどっかと腰を据えた骨太のサウンドに、 話し言葉のような日本語を載せている。 そのせいだろう、歌詞カ…

『ロビンソン』 スピッツ ~ 他力本願そのもの。メルヘン主導の雰囲気先行曲

日本の流行歌史上、大きな位置を占めるこの名曲は 「君」を何と解釈するかによって、歌詞の意味が大きく変わってくる。 そもそもが全体に抽象的で、暗喩のようなキーワードばかりで 具体的に何を言っているのかさっぱりわからないのだから、 それは当然のな…

『歩いて帰ろう』 斉藤和義 ~ レールからの脱却。そのささやかな第一歩

あらためて歌詞を見てみると、意外なほど愚痴っぽいのに、 なんだかとってもハッピーなうた。 みんなでワイワイと適当な楽器を持ち寄って、 せーのでこの曲を演奏してみるだけで、 たぶんきっと下手なりにもみんなハッピーになれる。 タンバリンをシャリシャ…

『夏の日の1993』 class ~ 時代の粋を集めたバカップルの一発屋ソング

よくぞ名付けたり、『夏の日の1993』 これで1993年の夏のヒット曲でなければ もはや嘘を通り越してペテンである。 ピンク・レディー『カルメン'77』(1977年/※試聴環境がないようです by)、 中森明菜『十戒(1984)』(1984年/※試聴環境がないようです by)、…

『島唄』 ザ・ブーム ~ さとうきび畑、現代沖縄語訳

沖縄音楽の最大のヒットが、 このヤマトンチュ*1による『島唄』だったのは、 ちょっとした皮肉だったろうか。 しかし、 『ハイサイおじさん』*2(1976年/※試聴環境がないようです by)や 『すべての人の心に花を』(1980年/※試聴環境がないようです by)で…

『君がいるだけで』 米米クラブ ~ 移り気男の本命アピールタイム。そう、例えば、、、

おそらくは、本人たちですら意図せぬままに、 頂点まで登り詰めてしまった、偉大なるマイナー、米米クラブ*1。 推測でしかないが、この歌にしても、もしかすると 元々はトレンディー路線のポップスに対する、単なるパロディだったのかもしれない。 例えば、…

『悲しみは雪のように』 浜田省吾 ~ どんなに積もっても、いつかは融けるんだ

心の叫びを絞り出すような、心に響くメロディーに おもわず勘違いしそうになる。 「♪心の底から誰かを愛することができるはず」 「♪誰もが Wow.. 愛する人の前を気づかずに通り過ぎてく」 自分の思いに気付いてくれない人に対して、遠回しに想いを伝えている…

『さよなら夏の日』 山下達郎 ~ 勝手な解釈は聴き手の自由だ(くれぐれも自己責任で)

毎回毎回、もっともらしく歌詞の解説をしてはいるが、 実のところは、シチュエーションの設定次第で、 物語の解釈はどうとでもなることが多い。 こういうのを曲の懐の広さ、という。 曲に懐の広さがあるからこそ、 人はその中に自分の実体験や、見聞きした物…

『花咲く旅路』 原由子 ~ 花びらの紫色は人生の色

ときはまだまだ、バブル景気を強く引きずっているころ。 日本中すべてが浮かれまくって 「♪24時間戦えますか?」なんて歌が流行った時代だが、 (『勇気のしるし』(牛若丸三郎太*1/1989年/※試聴環境がないようです by)) どういうわけかこの時代は、ノス…