日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

百名曲

『even if』平井堅 ~ 妄想は心に思う分には無害だが口にするとキモイ

女を酒に酔わせて、どうこうしようという妄想を抱くお話。 解説、おしまい! いや、、、これで終わっては身も蓋もない。 もう少し具体的に内容を詰めていこう。 彼氏持ちの女友達。ひそかに思いを寄せる相手を この主人公、どういう手を使ったか、 事前にリ…

『花葬』 L'Arc~en~Ciel ~ 失われたものは美しいが、残ったものはただの無残

ラルクことL'Arc~en~Cielの存在自体は 結構早い段階から認識していた。 というのも、うちの弟が地元*1ミュージシャンの黒夢とセット(?)で インディーズのアルバムCDやビデオを所持していたためだが、 それらのジャケットの雰囲気のせいだろう バンドや…

『田園』 玉置浩二 ~ 本当にみんないるのかな。自分だけはじかれてない?

『田園』という、本文中にカケラも登場しないタイトルもさることながら 歌詞にしたって、結論として何が言いたいのか正直よくわからない。 難しい言葉なんて全く使われていないのに。 「僕」は、石ころを蹴飛ばし、夕陽に泣き、 陽だまりの中、がむしゃらに…

『名もなき詩』 Mr.Children ~ プライドを捨てきれていないのは、自分。

なんでこの歌には名前が無いんだろう。 そんな本質とは離れた、比較的どうでもいいことを深く考え始めると 思考はドツボにはまっていく。 名前がない状態というのには いくつかパターンがあると思う。 ひとつは、まだ名前が付けられていない状態。 出生届を…

『Diamonds』 プリンセス・プリンセス ~ 偏見に突き付けた、若き挑戦状

知ってて勘違いされるように言っているとしか思えない。 「♪私を動かすのは ダイアモンド」 時代の熱気に浮かれまくった若き女性たち。 とびっきり高価なものをちらつかせない限り、絶対になびかない。 そんな偏見に満ちた世の中に、挑戦状のように あえてこ…

『川の流れのように』 美空ひばり ~ 平成は昭和の大きな残響から始まった

時系列から整理してみよう。 時は平成元年。 1月8日に始まった、平成のわずか4日目に この曲はシングルカットされた。 平成元年(1989年)1月11日のこと。 以下、昭和と平成の境目を反復するように時をたどる。 さかのぼって、およそひと月前。 この曲の初出は…

『高原列車は行く』 岡本敦郎 ~ 日本のフニクラ・フニクラ、というわけではないらしい

「♪穿こう 穿こう 鬼のパンツ!」 のとんでもない邦訳(というより替え歌か?)でもおなじみの 『フニクラ・フニクラ』*1と同じような、 観光PRソングだとばかり思っていたが、 どうも違うらしい。 また、歌のモデルとなった鉄道は、 かつて長野県の軽井沢と…

『東京ラプソディ』 藤山一郎 ~ 華やかさの裏に忍び寄る影

そもそもラプソディとは何ぞや、 という疑問が先に立つ。 ラプソディといえば、この1936年の『東京ラプソディ』をはじめ、 『ボヘミアン・ラプソディ』(クィーン/1975年/※試聴環境がないようです by) 『新しいラプソディ』(井上陽水/1986年/※試聴環境…

『東京音頭』 小唄勝太郎・三島一声 ~ 1932年生まれ、今なお現役。20世紀最大のヒット曲

「♪ハァ~」で始まる曲は数多くあれど、 その最高峰に位置し、いまだに盆踊りの代表曲であるこの曲は、 なんと1933年(昭和8年)のリリース。 三味線と小太鼓、合いの手の掛け声という、お座敷唄の様式をベースに、 太鼓と管弦楽伴奏を加えて音に厚みを持た…

『花火』 aiko ~ 泣いてまで諦めなければいけない恋とはいったい何か

つまりは、この「花火」っていうのは、 恋心のことなんだな。たぶん。 理由はわからないけど、 どうしてもあきらめなければいけない恋。 「♪夏の星座にぶら下がって 上から花火を見下ろして」 一歩引いた位置から俯瞰するように、客観的に自分の恋心を眺めて…

『強く儚い者たち』 Cocco ~ 悪魔のささやきの裏には、報われない恋の悲しさがある

時は大航海時代。 何かの物語の主題歌ではないことが不思議なくらいな、 なんとも寓話的なシチュエーション。 それにしても視点が斬新。 主人公の役どころは、なんと 「悪魔のささやき」。 自分が悪女と思われることもいとわず、 むしろ余裕しゃくしゃくとば…

『誰より好きなのに』  古内東子 ~ 男女の親友関係が成立ってのも、あやふやなものだ

せつない内容の歌なのに、なんだかオシャレ。 ピアノを中心として、ベース、ギター、ドラムスといった アコースティック*1の楽器をそろえ、 トランペットを中心にしたブラスアンサンブルと ストリングスで、“大人な感じ”を演出している。 個人的にはストリン…

『Love Phantom』 B'z ~ 自身の作り出した亡霊に振り回され自暴自棄になるお話

B'zの松本孝弘というギタリストは、 自分で作曲とアレンジを行っていて、 かなりのテクニックを誇示しているクセに、 なぜか、一歩引いている印象を受ける。 自己顕示が少ないんじゃないかと。 わかる人にだけわかってもらえれば、OK。 少なくともレコードで…

『さよなら夏の日』 山下達郎 ~ 勝手な解釈は聴き手の自由だ(くれぐれも自己責任で)

毎回、もっともらしく歌詞の解説をしているが、 実はシチュエーションの設定次第で 解釈はどうとでもなることも多い。 こういうのを曲の懐の広さ、という。 曲に懐の広さがあるからこそ、人はその中に 自分の実体験や、見聞きした物語との共通点を見出し た…

『花咲く旅路』 原由子 ~ 花びらの紫色は人生の色

ときはまだバブル景気を引きずっているころ。 すべてが浮かれまくって 「♪24時間戦えますか?」なんて歌が流行った時代だが、 (『勇気のしるし』(牛若丸三郎太*1/1989年/※試聴環境がないようです by)) どういうわけかこの時代は、ノスタルジックな曲が…

『少年時代』 井上陽水 ~ 憧れを覚えていますか。いいえ忘れたことにしました。

和製ボブ・ディラン、といえば吉田拓郎のことだが、 いや和製ディランだったら、むしろ 井上陽水のことだろう、と常々思っている。 どうやら自分の持つボブ・ディランのイメージと 世間の持つボブ・ディランのイメージに隔たりがあるらしい。 自分のイメージ…

『真夏の果実』 サザンオールスターズ ~ 夢の中だけに残る、ゆきずりの恋物語

まず第一に、小林武史によるアレンジが秀逸。 トーンチャイム*1とハープの中間のような音の 静かなイントロから導かれる 桑田佳祐のつぶやくような歌い出しに、 切なさがあふれている。 ゴテゴテした装飾の一切ない、 シンプルアレンジの一本鎗で、 桑田のボ…

『M』 プリンセス・プリンセス ~ 想いがブラックホール化している。立ち位置の問題か?

あらためて歌詞をみて初めて気づいたのだが、 別れた相手を想い出にできなくて苦しい、 という単純な歌とは、どうやら違うらしい。 彼に言われた別れの言葉が、 いつまでも頭の中でリフレインしていて、逃れられない。 だけどなぜか、愛しさを忘れることがで…

『越冬つばめ』 森昌子 ~ 美しく歌うツバメ男は何にあらがうのか

おそらく一生のうちに一度も訊かれることは無いだろうが、 もしも、「演歌で最も美しい曲は」と問われたとしたら 迷わずにこの曲を選ぶ。 「♪ヒュールリー ヒュールリーララー」 森昌子のよく通る声による、寂しげなメロディが 実にキャッチ―で印象的。 この…

『め組のひと』 ラッツ&スター ~ べらんめえ女とそれを取り巻くナンパ男たち

浮かれたバブル期の到来を予感させるような ラテン風でトロピカルな曲調*1とは裏腹に、 「いなせだね」 「目元流し目」 「粋なこと」 「め組のひと」 「気もそぞろ」 と、やけに古風な言い回しが目に付く。 視線の力と妖しい魅力で、男たちを虜にしていく女…

『聖母たちのララバイ』 岩崎宏美 ~ この子守歌はテンションが高すぎて眠れやしない

どこまでも、上がっていく音階の歌唱。 どこまでも、ヒートアップしていく演奏。 歌いだしからクライマックスまで、 この歌唱と演奏の二つが 螺旋のように絡み合い上り詰めていく。 まさに圧巻。 ん~、あふれる思いが強すぎるのか うまく文章で表すことがで…

『センチメンタル・ジャーニー』 松本伊代 ~ 短命を宿命づけられていた長寿曲

センチメンタル、という言葉の意味を 思わずはき違えてしまいそうになるこの曲、 歌詞の最中に自己紹介が入るという 画期的なチャレンジを施した曲である。 そしてチャレンジャーの最たる部分は 自らが、賞味期限を数か月に絞ってしまっているところだ。 「♪…

『ビューティフル・ネーム』 ゴダイゴ ~ beautifulは、うつくしいではなく、すばらしいなんだ。

小学校か何かで習ったような覚えがある。 音楽の教科書ではなく、 小さな歌本のような副読書に載っていた気がする。 その時には、こんな絶妙にノリの良い歌だとは、思いもよらななかった。 オリジナルの『ビューティフル・ネーム』は 「♪きょうも こどもたち…

『大都会』 クリスタル・キング ~ 底辺の現実にも、希望あふれる壮大な歌

最初に現れたきり、その後なかなか登場しないサビを待ちわびているうちに、 いつしかBメロのハーモニーの魅力の虜になってしまった。 ロングのカーリーヘアー、田中昌之と、 パンチパーマ+サングラスのムッシュ吉崎の ツインボーカルをメインに据えたバンド…

『中央フリーウェイ』 荒井由実 ~ 無自覚のままに時代が散りばめられたうた

中央道を八王子方面に向かって走っていて 頭をよぎったのは、やはりこの曲だった。 右手に競技場のようなものが見えたところで、ふとこの曲を思い出し、 ひょっとしてあれが競馬場だとすると、、 じゃあ左手に、、、この建物がビール工場? あ、SUNTORYって…

『木綿のハンカチーフ』 太田裕美 ~ 天然悪女の男いじめうた

すべて女が悪いと思う。 新社会人として、意気揚々と都会へ旅立っていった男と、 故郷にひとり残された恋人の、 文通形式のこの曲*1を聴くたびにそう思う。 しかし一般世間の反応を見ると どうも解釈が違うらしい。 都会にもまれて、変わっていく男、 そして…

『ジョニィへの伝言』『五番街のマリーへ』 / ペドロ&カプリシャス ~ 人を介さないとお互いコミュニケーション不能らしい

すっかり、シングルのA面・B面曲*1だと信じ切っていた。 そんな、初めからひと組の楽曲として 作られたのじゃないかと思ってしまうくらい、 見事な対比をみせているこの2曲。 別々に作られたものと知ったのは後になってからのこと。 何も具体的な描写はない…

『伊勢佐木町ブルース』 青江三奈 ~ スケベを餌にやりたい音をやるべし

歌詞はともかく、イチイチかっこいい曲である。 跳ねるようなストリングスのリフ*1、 時計が秒針を刻むような、乾いたドラムの音、 青江三奈のハスキーボイス、 ブレイク、 「ドゥドゥヴィドゥヴィドゥビ・・・」のスキャット*2、 その後に絶妙なタイミング…

『想い出の渚』 ザ・ワイルドワンズ ~ 日本人の夏はノスタルジィでできている

夏のうたがノスタルジックになったのはいつからだろうか。 大人も子どもも恋人も、 夏だぜ海だぜ騒ごうぜイエイ、 てな開放的な感じではなく、 夏の日の思い出を、優しく、ときに切なく歌い上げる曲が 特に日本の歌に多い気がする。 ジャケット/amazonより …

『恋のフーガ』 ザ・ピーナッツ ~ 突き刺さるイントロに、おもわずゴジラの面影をみる

突然の大音量にびっくりする。 今の言葉で言うと、「オーケストラヒット」*1に相当する音だろうが 当時にしてみれば相当センセーショナルな音だったに違いない。 コンサートやレコードの冒頭で度肝を抜くにはまさにもってこいで、 現代においてもその存在感…

『恋のバカンス』 ザ・ピーナッツ ~ ジャパン・ポップスの幕開け

洋楽ポップスのカバーを中心に活躍してきた双子のデュオ*1。 満を持して登場したオリジナルソングが 大ヒットした*2。 どちらが主旋律ともとらえきれないツインボーカルは、 声質こそ旧態依然としているものの、 曲全体の雰囲気が、新たな時代を予感させるも…

『いつでも夢を』 橋幸夫・吉永小百合 ~ 曲がいいと中国語でもイケるのよ

どこで覚えたのかはとんと覚えがないが、 昔からこのメロディーは知っていた。 この曲をそれとして認識したのは サントリーの烏龍茶のコマーシャル*1が最初だったと思う。 中国語で唄われたこのCMは当時ちょっとした話題となり、 調子に乗って新聞に載った烏…

『ハイそれまでョ』 植木等 ~ 卓越した表現力はタチが悪い

柳の下にドジョウはウジャウジャといたようで、 前年の『スーダラ節』が、ヒットの勢いを得て映画化*1し、 さらにつづけての映画*2のメインテーマ(のひとつ)となったのがこれ。 勢いそのままに、この曲で紅白歌合戦に出場となった。 なんといっても注目は…

『スーダラ節』 ハナ肇とクレージー・キャッツ ~ 生真面目にとほうもない脱力劇

サラリーマン哀歌の元祖ともいえる楽曲だが、 その突き抜けるまでの能天気なアレンジと歌唱が、 根底に流れる暗さを微塵も感じさせない、 浮かれた、酔いの境地に似た空間を醸し出している。 サビは、脱力を無限に発する 「♪スーイ スーイ スーダラダッダ ス…

『東京ナイトクラブ』 松尾和子・フランク永井 ~ オトナの男女の火アソビ劇場

フランク永井の、ダンディーな低音の響きと 松尾和子の、艶やかで色っぽくかすれた声による 掛け合いデュエット。 じれったいまでにタメのきいた伴奏と これまたじれったい、二人のオトナの会話。 それをひと言でいうなら、ムーディ。 ナイトクラブ、とはい…

『お富さん』 春日八郎 ~ 意外や意外にヤクザな物語だよお富さん

「♪死んだハズだよ お富さん」 元ネタは歌舞伎*1らしい、と知ったのは最近のこと。 人の女に手を出したチンピラが、女ともども半殺しの目にあって、 自分だけ生き延びていたと思っていた。 しばらくのち、 当の女は誰かに囲われていていい暮らしをしていたこ…

『お祭りマンボ』 美空ひばり ~ 出来すぎちゃったネタフリ

『♪ワッショイ、ワッショイ、ワッショイ、ワッショイ そ~れ、それそれ お祭りだァ!』 というフレーズは、いつの時代になっても おもわず使ってみたくなるフレーズらしく、 『お祭り忍者』(忍者/1990年/試聴はこの先から)や 『ダンシング!夏祭り』(10…

『東京キッド』 美空ひばり ~ その音質は時代の音なのか

「♪右のポッケにゃ夢がある、左のポッケにゃチューインガム」 映画を見たことはなくても、 ズボンのポケットに手を突っ込んで歌う子役時代の美空ひばりの 映像とひっくるめてこの曲を記憶している人が多いのではないだろうか*1。 まさに自分がそうだ。 それ…

『長崎の鐘』 藤山一郎 ~ にわかな光明を瞬時に覆い尽くす闇

いうまでもなく、長崎での戦災をテーマにした曲。 直接的に原爆をしめす表現は一切出てこないものの、 誰もがそれを連想せざるをえない。 ということで、曲調も、歌詞も、何もかもが 重苦しい雰囲気を醸し出している。 とても美しいメロディーラインの曲なの…

『誰か故郷を想はざる』 霧島昇 ~ まるで縦横無尽の格ゲーコマンド

はじめてこの曲を知ったのは、どういうわけか夢路いとし・喜味こいし*1 の漫才だった。 小学生のころだったと思うが、TVの演芸番組*2をカセットテープに録って ラジカセやヘッドホンステレオ*3なんかで聴いていたのだが ほとんど前触れもなく、漫才のまっ最…