日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『いくじなし』 筋肉少女帯 ~ 狂気の中毒性に注意。迷宮に迷い込んで3アウト。

イカしているということと、イカレているということは

その文字ヅラ以上に紙一重だということに気づかされる。

 

 

大槻ケンヂの、イカレたボーカルや、狂気の物語世界の影に隠れているが、

バックを固めるアンサンブルの、まあ達者なことよ。

 

これぞメタルの王道、という趣のバスドラムの連続打ちで始まり、

間奏では三柴江戸蔵の優雅できらびやかなピアノソロ*1に導かれる、

『Jumpin' Jack Flash』(ローリング・ストーンズ/1968年/ by

風のリフなんか最高にナイス。

エンディングに向かって、ぐいぐいとテンションを高めていく演奏も圧巻だ。

 

この極端な対比のために、余計に狂気の部分が際立つという、

プラスになってるんだかマイナスになってるんだか、ちっともわからない

組み合わせの妙が、このバンドの魅力なのだろう。

 

 

 

SISTER STRAWBERRY(紙ジャケット仕様) アルバムシングルジャケット/amazonより
いくじなし

いくじなし

 
  • 作詞 大槻ケンヂ、作曲 大槻ケンヂ斎藤清二、編曲 筋肉少女帯
  • 1988年12月21日、アルバム『SISTER STRAWBERRY』に収録
  • 歌詞はうたまっぷへ:いくじなし 筋肉少女帯 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:SISTER STRAWBERRY - Wikipedia
  •  

    そもそも、こんなところで取り上げるべき曲なのかどうか非常に判断に苦しむ。

    ここに出入りする人たちの、果たして何%が

    この狂気の曲を知っているというのだろう?ベストアルバムにも入っていないし。

     

    未聴の人は、とりあえずYoutubeなんかで聴いてみるといいかも知れないが、

    覚悟してほしい。

     

    メタルというジャンル自体の取っつきにくさ、

    聴いていられない感満載の、叫ぶばかりのボーカル、

    10分近い演奏時間という、大ボリュームっぷり。

    まさに三重苦だからだ。

     

    唯一の救いは、大槻ケンヂの朗々としたセリフ回しの妙だが、

    これもかなり好みが別れると思う。

    こんなの歌じゃないと思ったが最後、拒絶反応しか起こらないだろう。

    先に挙げた演奏の充実っぷりは、マニアックな視点過ぎて救いにはならないと思う。

     

     

    圧巻は、まくしたてる早口セリフと、キレのいい演奏が交互に現れるラストだが、

    これも理解されるかなぁ。なんて言ってるかまったく聞き取れないもの。

     

    こういう癖のあるものは、癖になるので、中毒注意なり。

     

     

    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    フェティシスト

    「フェティスト」もしくは「ペティスト」と叫んでいるように聞こえるが、

    正しくは「フェティシスト(fetishist)」らしい。

    現在では「フェチ」という略語でおなじみとなった、極端な性的指向を持つ者を指す言葉だが、

    この当時はそんな日本語はほぼ存在しなかった。

     

    ただ、ここの歌詞での使われ方は、性的変態指向の意味としてではなく、

    その元々の意味するところの

    「異端物崇拝」「呪物信仰」あたりの意味においてだと思われる。

     

    もっと砕けた言い方をすると、

    「異端児」「変わり者」というような意味が、極限までいってしまったような人を

    「フェティシスト」と呼んでいるものと思われる。

     

     

    僕は 君と姉さんを 脳髄は人間の中の迷宮である という観点から あえて許そう

    めちゃめちゃな早口で一体何を言っているのかと思っていたら、

    こんなことを言っていたらしい。ずいぶん概念的な言葉を言っていたんだな。

    心理学者が好んで使いそうな言葉だけれど、いったい誰の言葉なんだろう。

    人の思考や反射のメカニズムは、千差万別複雑怪奇なり、

    というような意味合いだろうと推測する。

     

     

    グルグルグルグルグルグルグルグルグルグルグルグルグルグルグルグル

    鉄棒で回るシーンの描写だが、どんだけ早く回っているんだと突っ込みたくなる。

    それはそうと、大槻ケンヂ著の小説『ぐるぐる使い』。あれも随分イカレていたよなぁ。

     

     

    いくじなし

    主人公の言うところの、意気地の有無の判断基準は、

    おそらく「異端者」であり続けることができるか否かにあるようだ。

    異端者のまま死んだ「姉さん」は、意気地があり、

    しがないアンテナ売りとして死んだ「兄さん」は、意気地がなかった。

    異端者のまま、世間に染まらず生きることの難しさがあるらしい。

     

     

     

    現在入手可能な収録CD/視聴可能
    SISTER STRAWBERRY

    SISTER STRAWBERRY

    やっぱ生で聴きたい人は、ライブ・イベント情報&チケット

    ※該当曲を聴ける保証はありません。

     

     

     

    脚注

    *1:これってピアノの鍵盤の右半分しか使ってないんじゃね?