日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『東京節』 添田さつき ~ 大正のリズムネタだよパイのパイのパイ!

「♪ラ~メちゃんたら ギッチョンチョンで パイのパイのパイ パ~リコっとパナナで フライフライフライ」 嬉しくなっちゃうくらい意味の無い歌詞に、もろ手を挙げてバンザイだ。 ここまで強烈な無意味っぷりをカマされた日にゃ、 これに意味を求めることこそ…

『月光』 鬼束ちひろ ~ 陽の光をわずかに映し、地上をかすかに照らす存在

やべぇ。出だしから歌詞をすごい勘違いしてた。 「♪ I am the last child」(私は最後の子ども)だとばかり思っていたのに、 正しくは「♪ I am God's child」(私は神の子)だったらしい。 どっちにしてもえらく大層で印象的な歌い出しであることに違いはな…

『Pride』 今井美樹 ~ コワモテ兄ちゃんの乙女な一面をどう扱おうか

いったいぜんたい、どのツラ提げて作詞・・・作曲 布袋寅泰。 あのコワモテのあんちゃんが、よりによって 「♪私は今 南の一つ星を見上げて誓った」だなんて、、、 決してヒトを顔面だけで判断するものではないが、 普段のあの、あからさまに作ったキャラクタ…

『渡良瀬橋』 森高千里 ~ 素直な音色を奏でる地名オタク

表題曲の前年にも、『ロックンロール県庁所在地』(1992年/※試聴環境がないようです by)という、 タイトルからしてイカレた楽曲を本人の作詞・作曲で発表*1しているくらいなので、 森高千里は、おそらく地図・地名のマニアの類なのだろうと推測する。 九州出…

『もう恋なんてしない』槇原敬之 ~ 残された最たるは、モノではなく強迫観念

以下に記載するのは、表題曲の場面に至る前の出来事を、思いめぐらせてみたものだ。 こういうのは単なるイタい妄想ともいう。 【もう恋なんてしない──前日譚】 「・・・私がいないと、あなた一人じゃ何にもできないんだろうけど、せいぜい頑張ってね。」 い…

『抱きしめてTONIGHT』 田原俊彦 ~ ぎこちないラテンのリズムで何様目線

一番の疑問点は、これって誰の視点?ということだろう。 人知れず悩みを抱える相手に対し、 「♪悩み事を隠すの、案外下手だね。」と声をかけた、 その視点の主あるじとは一体? ◇仮説 1 【恋人(彼氏・彼女)】 これが一番仮定しやすい、視点の主だろう。 …

『星空のディスタンス』 アルフィー ~ 照れ屋なのか奥ゆかしいのか。ただ図々しいのか。

ジ・アルフィー。 そのスタイルからして、変なバンドとしか言いようがない。 なんといっても、「事実上」のメインボーカルが一番目立たないではないか。 3人並んだ向かって左端で、サングラスの向こうに照れ屋の瞳を押し隠して、 おとなしそうにチョコンとし…

『春なのに』 柏原芳恵 ~ 青い春の空に消えた、あっけない幕切れに

温度差の描写が見事。 送る側である主人公──おそらく在校生だろう*1──と、 卒業していく彼との、単純な別離の歌と捉えることもできる。 というか、ふつうはそう捉えるだろう。 しかしどちらかというと、自分がこの曲から受ける印象は、 おかれた立場の違いか…

『日立の樹』ヒデ夕樹・朝礼志 ~ この歌なんの歌 気になる歌 見たことのあるCMだ!

「♪この木なんの木 気になる木 見たこともない木ですから 見たことのない花が咲くでしょう」 言わずと知れたCMソングの雄である。「この木なんの木」こと『日立の樹』。 CMソングをはじめ、映画やテレビ、舞台などのタイトル曲やサウンドトラックなど、 何か…

『ドリフのズンドコ節』 ザ・ドリフターズ ~ カバー王者、ドリフのキレッキレソング

カバーソングの王者といえば、ザ・ドリフターズだと思っている。 もちろん、この稿における「ザ・ドリフターズ」とは 日本一のコメディーグループ、いわゆる「ドリフ」のことで、 『ラストダンスは私に』(1960年/※試聴環境がないようです by)などで知られ…

『修学旅行』 舟木一夫 ~ 修学旅行の想い出は、やっぱ場所より人と出来事よ

懐メロ特集で必ずと言ってよいほど出現する 「♪ぁ・あ~ぁ~ぁ~ぁ~高校三年せ~」に、 『高校三年生』(1963年/※試聴環境がないようです by )はもう耳にタコよ、 という自分のようなひねくれた輩には ぜひ、『修学旅行』をおススメする。 『高校三年生』…

『山の人気者』/中野忠晴とコロムビア・リズム・ボーイズ ~ ヨーデル放題、チチしぼり放題

もしもあなたが、「ヨーデル」と聞いて 何らかのフレーズを思い浮かべることができるとするならば、 たぶんあなたは、この『山の人気者』という曲を さわりだけでも知っているといって、過言ではないだろう。 おそらく、ヨーデルの曲で日本で最も知られてい…

『軍艦行進曲』 日本海軍 ~ あっけらかんと、守備重視のカウンター戦法

「♪キン・キン・キンタマリンの ナ・ナ・フ・シ・ギ!」 いきなりこんなんでスマンスマンスマン。 ご存じ「軍艦マーチ」こと『軍艦行進曲』だが、 自分が小学生のころ、こんな替え歌が流行っていたのだ。 そんな替え歌が通用するほど、 昭和生まれの小学生に…

『ミュージックアワー』 ポルノグラフィティ ~ ありそうでなかったリアルシミュレート

ああ、なんだかこの曲、唯一無二感がすごくない? 妙にリアルな架空のラジオ番組をでっちあげて*1、 ト書き(ナレーション)やモノローグ(心の内の声)の一つも用いることなく、 番組のはじめから終わりまでを、シミュレート再現するというもの。 実に本物…

『涙の天使に微笑みを』原由子 ~ 本当に自分の記憶違いなのか。いまだに世界を疑っている

かつては、タイトルや歌い手を間違えて覚えていたために いくら探しても見つからない曲、というものが存在しえた。 ネット時代の今日では、些細な手がかりであっても おおよその情報は(誤情報も含めて)ググって得ることができるが、 それ以前は、その方面…

『CRUCIFY MY LOVE』 X JAPAN ~ ニホンゴで歌わんかいっ

この曲に限らず、日本市場向けの作品であるにも関わらず 英語詞だけで構成されている曲は、古くからいくつか存在する。 つのだ☆ひろの『メリー・ジェーン』(1971年/※試聴環境がないようです by )をはじめ、 『モンキー・マジック』(1978年/※試聴環境がな…

『息子』奥田民生 ~ エア息子とロマンチ母ちゃん

10代の頃、どういうわけかこの曲が大のお気に入りだった。 サウンドだけでなく、この歌詞世界にしてやられていたような気がする。 くだけた口調で、無限とも錯覚できる世界の大きさと、人生の可能性を語る、 そのアベコベさにだ。 「♪半人前が いっちょ前に …

『新しいラプソディー』 井上陽水 ~ ”I Love You”の最強呪文が解き放つ夢幻の世界

「困るんだよな、こういうの。」 いかにも嫌味な上司が言いがちな感想を持ってしまうほど、困る。 なにが困るって、そりゃぁこういう、さりげなくていい曲ってのは、 言葉で説明がつけられないから、本当に困るのだ。 もう、聴いちゃって聴いちゃって。 いち…

『ラズベリー・ドリーム』 レベッカ ~ フィーリングで演り、フィーリングで聴くべし

カッティングと残響音のコントラストを利かせたギターによる導入から、 間をおいて、跳ねるようなドラムが、続いてピアノとベースがフィルインしてくる*1。 そしてNOKKOの抑えつつも勢いのあるボーカルを迎えるころには いかにも、バンド然、とした王道のサ…

『夏をあきらめて』 研ナオコ ~ ナイスカバー? yes. ナイスカバー。

ひとの持ち歌を歌うことを「カバー」という。 レコードにかぶせて歌うから、カバー。 つまりは、カラオケのイメージ。 ・・だと思っていたが、どうも違うらしい。 英語で"cover for ××"(××は人を指す) で、「××の代わりを務める」 という意味から来ている表…

『銀河鉄道999』 ゴダイゴ ~ 隠された意味を探そうにも、そんなものは無いのが現実。

この超名曲を、なぜに百名曲に選ばずに、500名曲としてしまったか。 あえて言い訳を述べるならば、まったくの個人的嗜好に行き着く。 短いフレーズをリピートしながらフェードアウトする曲が好きではないという、 そんな限りなく個人的な事情に、ただただ申…

『真冬の帰り道』 ザ・ランチャーズ ~ 大人になれない大人が、地団駄を踏むか、否か。

「♪あなたの肩先に ひらひらこぼれてる プラタナスの枯葉 寒そな枯葉」 この曲ではそんな風に歌われるプラタナス。 「♪プラタナスの枯葉舞う 冬の道で プラタナスの散る音に 振り返る」 (『風』はしだのりひことシューベルツ/1969年/※試聴環境がないよう…

『青春サイクリング』 小坂一也 ~ 小坂は名古屋人なので、たぶんこう呼んでいたに違いない

のっけから余談から始まって*1申し訳ないが、 個人的に方言というものにあれこれ興味を持ちはじめたのは、 インターネット前夜の時代のこと。 当時、地域の言語差をうかがい知れたのは、主にテレビや物語世界だけであったが、 親の転勤によって、いやがおう…

『銀座カンカン娘』高峰秀子 ~ 「銀座」は残った 柳とともに いつまでも

流行を取り入れた歌詞が、時代とともに早々に廃れてしまうことは 『洒落男』(1929年/二村定一)の回で触れたとおりだが、 この『銀座カンカン娘』はというと、驚くべきことに 一語たりとも死語というものがないように見える。 「カンカン娘」という造語 ー…

『洒落男』二村定一 ~ 流行は廃れる危険を考慮しないと、すぐに意味不明になる

またしても時を遡り、20世紀前半に舞い戻ろう。 この「日本百名曲-20世紀篇-」を始めるにあたって、 各年代それぞれで候補曲としていた曲がいくつかあった。 戦前戦中の候補曲には、この『洒落男』をはじめとして 『東京節』*1(添田知道/1918年/※試聴環…

『本能』 椎名林檎 ~ 人間の歴史の上に、言葉とともに欲望が生まれた

やけに耳障りな音だ。 不安になるような不協和音とは違う、人の息遣いを感じない電子音とも違う、 もっと実在的で、物の気配を感じ取れるような音。 まるで機械がけたたましく連続音を発生させる、町工場の界隈のような。 そう、喧噪という言葉がぴったりか…

『アジアの純真』 Puffy ~ ネット住人のイッツ・ア・スモール・ワールド

さて、どこからツッコんでやろうか。 脈絡なんか考えずに、片っ端から行ってみようか。 曲自体、見どころツッコミどころ満載の支離滅裂さだから それくらいがちょうどいいかもしれない。 アジアの純真、のタイトルよろしく、歌詞は北京からスタートする。 し…

『明日の行方』 Smile ~ 嘘と希望と逃避のはざまに

訥々と語るセリフからは、夢見るロマンチストを気取っているのかと思いきや、 実はすべて、主人公の現実逃避の言葉であることに気づいてからは、 いったい彼に何があったのか、気になってしょうがなくなってしまったのだ。 この主人公、とにかく明日が来るの…

『夜桜お七』 坂本冬美 ~ 蜃気楼のごとく一瞬かいま見えた、演歌の明るい未来

こと音楽に関しては、基本的にかなりの雑食であるつもりなので、 今更ジャンルにこだわったり、ジャンル談義をするつもりはさらさらない。 というよりも、ジャンルの違いというものを よく理解していないがゆえの雑食とも言えるのでなおさらだ。 ジャンル談…

『夏だね』 TUBE ~ 全季夏へと強制連行! TUBEは夏の季語に違いない

思考の跳躍っぷりが半端ない。 第一声、「春一番」で始まった歌が、わずか8小節足らずのうちに「6月」になり、 16小節に達する頃には、遥か「夏休み」にまで達する。 この間、文字数にしてわずか36文字。 「♪春一番が 小さな過去へと遠くなる六月 心はウワの…