日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見による日本100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『So Young』 The Yellow Monkey ~ げにイエモンは感嘆符がよく似合う

あぁしまった!そうだった! と関西弁で叫んでいるように聞こえてしまっていけないが、 「そぉや~ん!!」こと、『So Young』。 頑なまでに日本語にこだわった歌詞で、最後まで英単語のひとつも使わずに、ラストにしてようやく絞り出すように叫んだ英語でも…

『想い出の渚』 ザ・ワイルドワンズ ~ 日本人の夏はノスタルジィでできている 【リマスター版】

夏のうたがノスタルジックになったのは、いつからなのだろう。 夏のうたといえば、大人も子どもも恋人たちも夏だぜ海だぜ騒ごぜイエイ、てな感じの開放的な歌とは必ずしも限らない。 むしろ夏の日の思い出を、優しく、ときに切なく歌い上げる曲が、特に日本…

『Love Phantom』 B'z ~ 自身の作り出した亡霊に振り回され自暴自棄になるお話 【リマスター版】

松本孝弘というギタリストは、自身でほぼすべてのB'z楽曲で作曲とアレンジを行っていて、演奏でもどーだとばかりのテクニックを誇示しているクセに、なぜか一歩引いているような印象を受ける。 ボーカルをとらない、っていう部分も大きいんだろうけど、実は…

『川の流れのように』 美空ひばり ~ 平成という時代は昭和の大きな残響から始まった 【リマスター版】

時系列から整理していこう。 時は平成元年。 昭和天皇の崩御に伴い、1月8日に始まった平成という時代のわずか4日目に、この曲はシングルカットされた。 平成元年(1989年)1月11日のこと。 以下、昭和と平成の境目を反復するように時をたどる。 さかのぼって、…

『大都会』 クリスタル・キング ~ 底辺の現実にも、希望あふれる壮大な歌 【リマスター版】

最初に威勢よく現れたきり、その後なかなか登場しないサビを待ちわびているうちに、いつしか 「♪交わす言葉も寒いこの街 これもさだめと生きてゆくのか」 Bメロのハーモニーの虜となってしまった。 ロングのカーリーヘアー、田中昌之による超ド級のファルセ…

『息子』奥田民生 ~ エア息子とロマンチ母ちゃん 【リマスター版】

10代の頃、どういうわけかこの表題曲が大のお気に入りだった。 サウンドだけでなく、この歌詞世界にしてやられていたような気がする。 くだけた口調で、無限とも錯覚できる世界の大きさと、人生の可能性を語る、そのアベコベさにだ。 「♪半人前が いっちょ前…

『なごり雪』 イルカ ~ 季節はまだ春じゃない、旅立ちはまだ先のはず 【リマスター版】

本当に、恋人もしくは恋人未満の男女の別れのうた、なのだろうか? もとはかぐや姫・伊勢正三による男性目線だった歌を、女性であるイルカがカバーして歌うことで、その違和感はさらに深まった。 おそらくは表題曲と同時に発表された、同じく伊勢正三作詞・…

『青春サイクリング』 小坂一也 ~ 名古屋人ならば、そう呼んでいたに違いない 【リマスター版】

のっけから個人的な余談から始まって申し訳ないが、「方言」というものにあれこれ興味を持ちはじめたのは、インターネット前夜ともいえる時代のこと。 当時、地域のネイティブな言語差をうかがい知ることができたのは、主にテレビや物語世界だけであったが、…

『強く儚い者たち』 Cocco ~ 悪魔のささやきの裏には、報われない恋の悲しさがある 【リマスター版】

時は、大航海時代。 「♪嵐の中で戦って 突風の中生き延び」 「♪飛魚のアーチをくぐって 宝島がみえた」 何かの物語の主題歌でないことが不思議なくらい、なんとも寓話的なシチュエーション。 それにしても視点が斬新。 主人公の役どころは、なんと「悪魔のさ…

『帰って来たヨッパライ』 / ザ・フォーク・クルセイダーズ ~ 元ネタいくつ、みつけられるかな? 【リマスター版】

巡り合わせの妙というものだろう。栄えあるオリコンチャート史上初のミリオンセラーが、よりによってこんな…と言ったら失礼にあたるけど、表題曲だったりする。 初のミリオンセラー、といってもそれまで100万枚以上売れた曲が存在しなかったわけではない。オ…

『東京音頭』 小唄勝太郎・三島一声 ~ 1932年生まれ、今なお現役。20世紀最大のヒット曲 【リマスター版】

「♪ハァ~」の掛け声で始まる曲は数多くあれど、その最高峰に位置し、いまだに盆踊りの代表曲として現役である表題曲は、なんと1933年(昭和8年)のリリース。 三味線と小太鼓、合いの手の掛け声という、お座敷唄の様式をベースに、太鼓と管弦楽伴奏を加えて…

『君がいるだけで』 米米クラブ ~ 偉大なるマイナー、移り気男の必死なアピールを茶化す 【リマスター版】

おそらくは、本人たちですら意図せぬままに、J-POPの頂点まで登り詰めてしまった偉大なるマイナー。米米クラブ。 推測でしかないが、この歌にしても、元々はトレンディー路線のポップスに対する、単なるパロディだったんじゃないかと思えてしょうがない。 例…

『冬のリヴィエラ』 森進一 ~ さわやかな森進一はお好きですか? 【リマスター版】

演歌とは何か、という問いに対する答えに、「演歌歌手が歌っているうた」という、文字通り本末転倒しているくせに、実に核心をついた答えがある。 演歌というのは非常に厄介な分類で、誰でも演歌というものに対して一定のイメージを持っているにもかかわらず…

『少年時代』 井上陽水 ~ 憧れを覚えていますか。いいえ忘れたことにしました 【リマスター版】

通常「和製ボブ・ディラン」といえば吉田拓郎のことを指すが、いやいや和製ディランであれば、むしろ井上陽水のことだろう、と常々思っている。 これはどうやら、世間の持つボブ・ディランのイメージと、自分の持つボブ・ディランのイメージに隔たりがあるこ…

『Yes-No』 オフコース ~ 心の中の問いかけに、いつまでも答えは返らない。 【リマスター版】

遠くかすかにこだまする、草笛のような音色。 風に乗ってほのかに聞こえてくるかのようだ。 あまりに静かな、そんな印象の立ち上がりに、「無音」と判断した車載のFMトランスミッターは、容赦なく省エネモードを発動、音の出力をOFFにしてしまう。 ケッ。所…

『ALICE』My Little Lover ~ 時計の針も逆さに回る、文字化けの森のアリス 【リマスター版】

あれはいつのころだっただろうか。 英語の授業において、今考えるとトンデモないことが流行した。 たとえば、日本語訳が 『Aが~すると、決まってBは…になる』 という英語構文があったとする。 この「~」を「ピー」、「…」を「プー」などと読むのだ。 たっ…

『Choo Choo TRAIN』 Zoo ~ 冒頭から催眠術にかけられるカオスソング 【リマスター版】

Q1.ヒアリング問題です。 次の音声を聞いて内容を書き下し、カッコ内にその意味を日本語で書きなさい setAudioTagFromLink('https://www.dropbox.com/scl/fi/9qp8go8myrw73qkmz2lpu/Choo.mp3?rlkey=grxx5fv1onstpvmm6v6iz5ds9&st=27gcxvgt&dl=0'); A1.♪…

『センチメンタル・ジャーニー』 松本伊代 ~ 短命を宿命づけられていた長寿曲 【リマスター版】

伊代ちゃん発見!(写真は本文に関係なし)松本人志とも読めるな・・・求む、松本幸四郎(546)! あれ、センチメンタルってどういう意味だっけ? 言葉の意味が何だったか混乱してしまいそうになるこの曲は、歌詞の最中に歌い手本人の自己紹介が入るという、…

《ただいま過去記事掘り返し中》~ 掘り出し物に出会えるかも?

相変わらず更新が滞りまくっており面目ない。 次回 平松愛理『素敵なルネッサンス』の予定でしたが(次回予告するのは初めてかもしれない)、予定を変更して過去記事を掘り返しております。 というのも、今年に入ったくらいからiTunesやGoogleDriveの仕様が…

『大迷惑』 UNICORN ~ もはやドタバタ時代劇

1980年代後半日本。この浮かれまくった時代に存在したあらゆる事象に「バブル」の影を語りたがるのは、極論すぎる以前にワンパターンで気が引ける。 実際、この稿の書き出しを、 「24時間戦えますか?」というイカレたキャッチコピーが何の違和感もなく受け…

「MAY」 斉藤由貴 ~ 奇妙な双子 中二病でも恋がしたい!!

主人公は、今で言う「中二病」をこじらせているように思う。 説明するまでも無いかもしれないが、中二病なる俗語の意味するところを要約すると、 自分やその周辺に何らかの「妄想的設定」*1を設け、その設定を達成するために自らにキャラ付け*2をしたり、強…

『あなた』 小坂明子 ~ あんなことイイな できたらイイながいっぱいあった

本人の想いが真剣で深刻であればあるほど、 想いが募り過ぎた結果、思考がぶっ飛べばぶっ飛ぶほど、 我々のような無責任な傍観者は、それを茶化さずにはいられない。 果たしてどこからどこまでが実際にあったことで、 どこからどこまでが主人公の妄想なのか…

『天使の誘惑』 黛ジュン ~ 80年代アイドルソングの予感

2002年に島谷ひとみが『亜麻色の髪の乙女』(※試聴環境がないようです by)のカバー*1を 大ヒットさせたことで、にわかに巻き起こったカバー曲ブーム。 2匹目のドジョウを狙って、グループサウンズ時代を中心とした 古きよき時代のカバー曲が現れては消えて…

『ヨイトマケの唄』 丸山明宏 ~ 色眼鏡で見られてしまうのは全部妖怪のせいなのです

のちに年を経て「美輪明宏」という名の妖怪モノノケとなるよりも、ずっと以前。 まだ一介の「化け物」に過ぎなかった丸山明宏というシャンソン歌手が繰り出した、 泥臭く力強くも、切なく心温まる渾身の一作。 男どもに混じって、負けじと肉体労働を生業とし…

『Stay By My Side』 倉木麻衣 ~ 夢に魅入られ永遠を誓いかけるも様子見に走る

宇多田ヒカルの二番煎じ、のような扱いで ほとんど何の前触れもなく突如ミュージックシーンに登場した倉木麻衣だが、 比較されるようになった一番のきっかけは、この二人の声質が似ていたからだろう。 本人やその周辺の意図したものではなかったのかも知れな…

『恋心』相川七瀬 ~ ワールドミュージック風無国籍が、騒々しく沈黙を歌う

幾重にも重ねられ、ぶアツい壁をつくり上げるギターサウンド。 そのアツさ(厚さ・熱さ・篤さのトリプルアツさ)に包み込まれながら、 しっとりと歌い上げられるボーカル。 そのどちらにも強い違和感を覚える。 これってなんかいつもと違う。 相川七瀬の楽曲…

『Over』 Mr.Children ~ やれうつな まったく懲りないフラレ男たち哉

なんでだろう。フラレ男の歌がとっても好きな自分がいる。 といっても、好き好んでフラレ男のイジケっぷりを愉しんでいるわけではなく、 気づいたらその手の曲ばかりを好んで聴いていたことに、気づいただけだが。 過去にここで採り上げた曲の多くに、その傾…

『Choo Choo TRAIN』 Zoo ~ 冒頭から催眠術にかけられるカオスソング

Q1.ヒアリング問題です。 次の音声を聞いて内容を書き下し、カッコ内にその意味を日本語で書きなさい setAudioTagFromLink('https://www.dropbox.com/scl/fi/9qp8go8myrw73qkmz2lpu/Choo.mp3?rlkey=grxx5fv1onstpvmm6v6iz5ds9&st=27gcxvgt&dl=0'); A1.♪…

『とんぼ』 長渕剛 ~ 逃げたつもりが希望へ向かっていた男の話

いい大人になってから、不良っぽさへのあこがれを持ってしまうと 人の見てくれっていうのは、こうなってしまうのかなぁ。 この頃の長渕剛に対する印象は、まさにそんな感じだった。 「♪好きです好きです心から愛していますよと 甘い言葉の裏には一人暮らしの…

『ウェディング・ベル』 シュガー ~ 静粛どころか奔放すぎるオルガンにつき聴き逃がし注意

一発屋の巣窟として名高い、ヤマハの「ポプコン」出身である。 そんな出自から容易に想像がつくように、 表題曲の歌い手であるシュガー、および作詞・作曲の古田喜昭は、 いずれもご多分に漏れず、一発屋として記憶されている。 その特大の一発こそが、『ウ…