日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『島唄』 ザ・ブーム ~ さとうきび畑、現代沖縄語訳

沖縄音楽の最大のヒットが、
このヤマトンチュ*1による『島唄』だったのは、
ちょっとした皮肉だったろうか。

しかし、 『ハイサイおじさん*2(1976年/ by)や
『すべての人の心に花を』(1980年/ by)で、
喜納昌吉らが長年かけてコツコツと浸透させてきた沖縄音楽を
一気にポピュラーソングまで持って行った功績は大きい。


まるで様子窺いのように、最初に沖縄でリリースし、
局地的にヒットさせたあとで、ファンの要望にこたえる形で全国発売、
一大ヒットになった。
 
この事態を音楽シーン以外で例えるならば、
外国人の無名シェフが、誰もが日本人が作ったと疑わないような創作日本料理を考案し、
まず最初に本場日本でブームを巻き起こし、お墨付きを得てから、
満を持して本国に持ち帰り一大ムーブメントに育て上げた。
そんな感じだろうか。

・・・具体性がないのでかえって解りにくい例えになってしまった。
何か良い実例がないかいろいろと考えたが 、一向に思いつかない。
日本製中華料理である、カップラーメンが比較的近いかもしれないが、
最初に中国でブレイクしたわけではないので、チト違う。

そんな、ジャンル問わず前例がないような事態と考えてよいと思う。


ロックと琉球民謡の融合と、
琉球音階と西洋音階が交互に現れる展開*3など、
単なる琉球音楽の模倣ではない、ジャンルの垣根を乗り越えたことが
ヒットの秘密だったのではないかと思う。

伸びのあるエレキギターで奏でる琉球音階から
三線琉球三味線)に受け継がれるイントロはまさに特筆もの。

島唄 シングルジャケット/amazonより
  • 作詞・作曲 宮沢和史、編曲 THE BOOM
  • 1993年(平成5年)6月21日、ソニーミュージックエンタテイメントより発売
  • オリコン最高位4位(年間28位/1993年)
  • 歌詞はうたまっぷへ:島唄 THE BOOM 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:島唄 (オリジナル・ヴァージョン) - Wikipedia

  • 心地よいサウンドについ見逃してしまうが、実はこの表題曲は、反戦歌であり鎮魂歌である。
    太平洋戦争沖縄戦の犠牲になったウチナンチュ(沖縄県人)を悼み、永遠の平和を願う歌だ。

     「♪このまま永遠(とわ)に夕凪を」は、今の平和が長く続くことを願う言葉になっている。


    同じ題材を扱った『さとうきび畑』(森山良子/1969年/ by)では
    「♪むかし海の向こうから 戦がやってきた」
    「♪あの日鉄の雨に打たれ 父は死んでいった」
    と直接的な言葉で歌われているのに対し、

    島唄』では、「♪でいごが咲き乱れ 風を呼び嵐が来た」
    「♪ウージの森であなたと出会い ウージの下で千代にさよなら」
    と、直接的な言葉をほとんど使わないで歌われている。


    メッセージを広く伝えるうえで、どちらが良いのかはわからない。
    島唄』が言葉をオブラートで包んだことで、万人に受け入れられたことは確かだろう。
    ほのめかす程度でも、より多くの人に届くのが良いのか。

    つらくとも直接的な誰もがわかる言葉で、くさびのように心に突き刺していくのが良いのか。


    言わんとしていることは、どちらも同じなのだけれど。



    名曲・聴きドコロ★マニアックス

    ラララで歌われる最後の部分は
    マントラとかチャントとかいうのを思い起こさせる。

    どんどん早くなって締めくくられる。
    マントラ? しらない? あ、そう。

    ほんとにマニアックになりそうなので、おしまい。



    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    「でいご」「ウージ」
    これらは固有名詞なので、特に深い意味というかはない。
    どちらも植物の名前。
    梯梧(でいご)は沖縄県県花。ウージはさとうきびのこと。





    現在入手可能な音源

    【オリジナルアルバム】
    思春期

    思春期

    • アーティスト:THE BOOM
    • 発売日: 1992/01/22
    • メディア: CD
    やっぱ生で聴きたい人は、ライブ・イベント情報&チケット

    ※該当曲を聴ける保証はありません。



    脚注

    *1:【ヤマトンチュ】沖縄方言で、本土出身者のこと。対して沖縄出身者の総称はウチナンチュ。

    *2:ハイサイおじさん志村けんが「変なおじさん」と替え歌していることでも知られる。沖縄弁がきつく「おじさん」以外は何言っているのか全然分からない

    *3:琉球音階と西洋音階が交互に現れる】全般に沖縄音階で作られている中において、♪ウージの森で・・・のくだりと、なぜか非常にたどたどしい間奏の部分が西洋音階になっている