日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見による日本100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『ブルドッグ』 フォーリーブス ~ にっちもさっちも、どーにも ウヮオ!

ゴム紐の輪っかを使った、何の意味もなさそうだが実に印象的なパフォーマンスと
「♪にっちもさっちも どうにもブルドッグ ガゥ!」
という、これまた何の脈絡もないが極めて印象的なキメ台詞で、
まるっきりキワモノのような扱いのこの表題曲だが、
楽曲として、なかなかにカッコイイ隠れた逸品である。

ツインギターならぬ、ツインベース*1が奏でる、低音域を勢いよく駆け抜ける前奏が、
うなり上げるバスドラムのクレッシェンド*2によって炸裂し
「♪止まれ! ウルサいぞオマエら!」と、パンチのきいた歌い出しにつながる。


フォーリーブスは、ジャニーズ事務所の最初期のアイドルグループだが、
歌も尾藤イサオばりに迫力があって、なかなかキマってる。
「♪見ろ!俺の目を!信じろ!このオレを!」と、
終始に最後の2音にアタックを利かせていて、
聴いてる方のテンションも馬鹿上がりというもの。


この少し前にリリースされた、ピンクレディーの『カルメン'77』( by)
と似たような曲調だなと思っていたが、それもそのはず、作曲は同じ都倉俊一。
一方、ブッとんだ作詞は『南の島のハメハメハ大王』や『はたらくくるま』などの
子供向けの曲でおなじみの伊藤アキラなのが、ちょっと意外でビックリだ。


フォーリーブス BULLDOG ブルドッグ/標的 和モノ アナログ 7インチレコード 2 中古 シングルジャケット/amazonより
ブルドッグ

ブルドッグ

これは近田春夫のカバー。ちと大人しいかな。
  • 作詞 伊藤アキラ、作曲・編曲 都倉俊一
  • 1977年(昭和52年)6月21日、CBSソニーより発売
  • オリコン最高位40位
  • 歌詞はうたまっぷへ:ブルドッグ フォーリーブス 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:ブルドッグ (フォーリーブスの曲) - Wikipedia

  • 男のロマンを寿司詰めにした、熱血少年漫画のような世界観で、
    一聴して何を言っているかよくわからない内容だが、
    よくよく内容を眺めてみると、彼女をほかの男にとられてメソメソする男を
    慰めようとハッパをかける内容になっている。

    「♪俺の面影を抱きしめて君は生きろよ」のくだりに、??となるが
    これはフッてくれた女性に対し、自分のような男がいたことを有難く思え、
    というようなことを負け惜しみのように言っているのであって、
    フラれた男に対し、なんなら俺を好きになってもいいんだぜ?
    という気味の悪い慰めを言っているのではないことを付け加えておく。

    最後のブルドッグのくだりだけは、意味不明なままだが、
    犬相手に恋の道を揚々と説く、寂しい男の物語の可能性もないではない。



    個人的には、パンクロック志向のガールズバンドあたりに
    「♪そうさ!あたしらは女だ 恋を忘れて生きられる 今夜限りで恋人とはおさらばだ」
    てな感じで、カッコよくカバーしてもらえれば、
    今の時代でもまだまだイケるんじゃないか、と思うが
    ジャニーズ事務所はブランドを大事にするあまりに、出し惜しみする癖があるので、
    果たして許可が出るかどうか。誰かやってみんかね?

    アレンジはあまり変えず、テンポを落とし気味に、
    アタック音をより際立たせれば、凄くカッコいいと思うのだが。



    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    永久とわ
    えいきゅう、と書いて「とわ」と読ませるのは
    強敵と書いて「とも」と読む*3のに近いものがあるが、
    当て字ながらも、ほぼ日本語に定着しており、普通に辞書にも載っている。

    語源は不明らしく、個人的には
    常磐ときわ(常に在り続ける岩のように不変なもの)が転じたものではないかと思うが、
    漢字一字でとわとも書くらしいので、
    古来の大和言葉に漢字を当てただけかもしれない。


    にっちもさっちも
    漢字で書くと「二進も三進も」。
    ふつうは漢字で書くと何となく意味や語源が分かるものだが、
    これではかえってチンプンカンプンになる。
    掛け算でいう九九に当たる、割り算の「九帰法」(八算)からきた言葉らしい。
    「にっちのにんじゅ」(2割る1は2)、「さっちのさんじゅ」(3割る1は3)・・・と
    小さい順に割っていっても割り切れない、どうにも計算が成り立たないことをいう。

    ちなみにいわゆる「割り算九九」では、算式の順序ではなく、
    そろばんの動きの順を言葉で表しているものもあるため、
    「しさんしちじゅうのに」(4で30を割ると7あまり2)のように、
    正直言葉を覚えたところで、算式と答えがぱっと浮かぶものでもない。

    (余談が長くなるがせっかくなので続ける)

    九九と違って2の段が「にいちてんさくのご」(2で10を割ると5)と
    「にっちがいんじゅ」(2で2を割ると1)の2つしかないことにも違和感を感じてしまうが、
    これは掛け算の九九のように、3×7と7×3みたいに同じ答えになるものを
    いちいち重複して覚える手間を省いただけのことだ。

    また、九九のように整然と並んでないから気持ち悪い、と思うのもちょっと違う。
    掛け算の九九は、整然と並ぶ法則に従って、並べてあるだけだ。
    たとえば九九を、答えの小さいものから順に並べていったとしよう。
    1(1×1)、2(1×2)、2(2×1)、3(1×3)、3(3×1)、4(1×4)、4(2×2)、4(4×1)、5(1×5)、5(5×1)、6(1×6)、6(2×3)、6(3×2)、6(6×1)、
    と、同じ数が不規則な数ずつ並び、13や17のように2桁の素数は歯抜けになる。
    割り算九九が不規則に感じるのは、単に並べる順番の問題なのだ。


    現在入手可能な音源

    【ベストアルバム】
    フォーリーブス 1968-1978

    フォーリーブス 1968-1978

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    脚注

    *1:【ツインベース】ウッドベースエレキベースの2本に聞こえるが、もしかしたら、ウッドベースエレキギターのユニゾンかもしれない

    *2:【ドラムのクレッシェンド】和太鼓がドロドロと小さい音から大きい音へ駆けあがっていくのをイメージすればわかりやすい?もっとわかりづらい?

    *3:【強敵と書いて「とも」と読む】たぶんこの大元ネタは、漫画・北斗の拳だろう。最初はカイオウのセリフだったっけ?ケンシロウか?