いったいぜんたい、どのツラ提げて作詞・作曲 布袋寅泰。
あのコワモテのあんちゃんが、よりによって
「♪私は今 南の一つ星を見上げて誓った」だなんて、、、
決してヒトを顔面だけで判断するものではないが、
普段のあの、あからさまに作ったキャラクターのような言動と、
喜びも悲しみも一抱えに生きようと誓う女性を描く歌詞との
ギャップをどう補ったらいいかがわからない。
後に布袋が今井美樹と結婚に至ったこと*1をもって、
その隙間を埋めるパズルのピースを見つけた気になりかけたが、
心のどこかでやっぱり腑に落ちない自分がいる。
ミュージシャンっていう人種は、結局、ロマンチストなんだな、と思う。
じゃなければ、表題曲のわずか数か月前に
「♪天国は幻さ 何処にもありゃしない 気まぐれな神様の 笑えないジョーク」
(『命は燃やし尽くすためのもの』 布袋寅泰/ by
)
なんて歌っていたことこそ、ジョークになってしまう。

いかにもリードギタリスト、というアレンジ。
一定のリズムで和音を刻んだり、決まったフレーズを繰り返す気はさらさらないらしく、
途切れることなく即興的なフレーズを奏でる、右チャンネルのエレキギター。
そして、2番以降になると左チャンネルから時折聞こえるようになる、
クラシックギターの大人びた滑らかな音色が花を添える。
これに今井美樹のボーカルをのせたものに、
あとからドラム、ベースとコーラスを、
邪魔にならないようにささやかに加えていった、といった趣が感じられる。
実際どうだったのか知る由はないけれど、まあそんなところだろうと思う。
ギターの音色に耳を傾けているうちに、曲も終盤に差し掛かり、
自分が誓いを立てた南の一つ星を、
今度は、相手にも見上げてほしいと願うところで物語は終わる。
想いは実を結ばなかったけれども、自分の心は今こんなにも輝いている、
貴方への愛を貫いたことが、そういう今の私を育て上げたんだ。
そんな意思表明のように。
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
PRIDE
プライド。小難しい言葉で言うと自尊心。
ここでは、心を強く保つためのモチベーション、くらいの意味合いだろう。
たぶん、布袋が歌ったのなら負け惜しみに聞こえてしまうだろうが、
今井美樹が歌うことにより、前を向いて振り返らない
決意表明の歌になった気がする。
南のひとつ星
「南の一つ星」の異名をとる星が実際にある。
みなみのうお座の一等星、フォーマルハウトだ。
この星を意識した歌詞なのかどうかはさておき、
フォーマルハウトは結構低い位置にあるので、「見上げる」といっても
坂本九『上を向いて歩こう』(1961年/ by
)
のように、「涙がこぼれない」ほどに振り仰ぐ必要はなく、
下向きの目線を、正面やや上にあげる程度でいい。
未来を見据えるには、ちょうどいい角度じゃないだろうか。
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