日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見による日本100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

500名曲

「MAY」 斉藤由貴 ~ 奇妙な双子 中二病でも恋がしたい!!

主人公は、今で言う「中二病」をこじらせているように思う。 説明するまでも無いかもしれないが、中二病なる俗語の意味するところを要約すると、 自分やその周辺に何らかの「妄想的設定」*1を設け、その設定を達成するために自らにキャラ付け*2をしたり、強…

『あなた』 小坂明子 ~ あんなことイイな できたらイイながいっぱいあった

本人の想いが真剣で深刻であればあるほど、 想いが募り過ぎた結果、思考がぶっ飛べばぶっ飛ぶほど、 我々のような無責任な傍観者は、それを茶化さずにはいられない。 果たしてどこからどこまでが実際にあったことで、 どこからどこまでが主人公の妄想なのか…

『天使の誘惑』 黛ジュン ~ 80年代アイドルソングの予感

2002年に島谷ひとみが『亜麻色の髪の乙女』(※試聴環境がないようです by)のカバー*1を 大ヒットさせたことで、にわかに巻き起こったカバー曲ブーム。 2匹目のドジョウを狙って、グループサウンズ時代を中心とした 古きよき時代のカバー曲が現れては消えて…

『ヨイトマケの唄』 丸山明宏 ~ 色眼鏡で見られてしまうのは全部妖怪のせいなのです

のちに年を経て「美輪明宏」という名の妖怪モノノケとなるよりも、ずっと以前。 まだ一介の「化け物」に過ぎなかった丸山明宏というシャンソン歌手が繰り出した、 泥臭く力強くも、切なく心温まる渾身の一作。 男どもに混じって、負けじと肉体労働を生業とし…

『Stay By My Side』 倉木麻衣 ~ 夢に魅入られ永遠を誓いかけるも様子見に走る

宇多田ヒカルの二番煎じ、のような扱いで ほとんど何の前触れもなく突如ミュージックシーンに登場した倉木麻衣だが、 比較されるようになった一番のきっかけは、この二人の声質が似ていたからだろう。 本人やその周辺の意図したものではなかったのかも知れな…

『恋心』相川七瀬 ~ ワールドミュージック風無国籍が、騒々しく沈黙を歌う

幾重にも重ねられ、ぶアツい壁をつくり上げるギターサウンド。 そのアツさ(厚さ・熱さ・篤さのトリプルアツさ)に包み込まれながら、 しっとりと歌い上げられるボーカル。 そのどちらにも強い違和感を覚える。 これってなんかいつもと違う。 相川七瀬の楽曲…

『Over』 Mr.Children ~ やれうつな まったく懲りないフラレ男たち哉

なんでだろう。フラレ男の歌がとっても好きな自分がいる。 といっても、好き好んでフラレ男のイジケっぷりを愉しんでいるわけではなく、 気づいたらその手の曲ばかりを好んで聴いていたことに、気づいただけだが。 過去にここで採り上げた曲の多くに、その傾…

『Choo Choo TRAIN』 Zoo ~ 冒頭から催眠術にかけられるカオスソング

Q1.ヒアリング問題です。 次の音声を聞いて内容を書き下し、カッコ内にその意味を日本語で書きなさい ※試聴環境がないようです ♪ちゃ~んとデレレレ脳裏忠義一本ですfee for festival (抜かりなくデレております。頭の中はすべて忠義心のみで一点の曇りも…

『とんぼ』 長渕剛 ~ 逃げたつもりが希望へ向かっていた男の話

いい大人になってから、不良っぽさへのあこがれを持ってしまうと 人の見てくれっていうのは、こうなってしまうのかなぁ。 この頃の長渕剛に対する印象は、まさにそんな感じだった。 「♪好きです好きです心から愛していますよと 甘い言葉の裏には一人暮らしの…

『ウェディング・ベル』 シュガー ~ 静粛どころか奔放すぎるオルガンにつき聴き逃がし注意

一発屋の巣窟として名高い、ヤマハの「ポプコン」出身である。 そんな出自から容易に想像がつくように、 表題曲の歌い手であるシュガー、および作詞・作曲の古田喜昭は、 いずれもご多分に漏れず、一発屋として記憶されている。 その特大の一発こそが、『ウ…

『道標ない旅』永井龍雲 ~ 空の向こうにあったはず。まだ見ぬ遥かなフロンティア

世界の広さと、地球の鼓動が感じられるような、 雄大で、のびやかな旋律と、希望をのせたメッセージ。 こういう歌がヒットチャートに乗らなくなって、 もうずいぶん経つように思う。 というより、それは一過性のブームだったのかもしれない。 ジャンルを表わ…

『ブルドッグ』 フォーリーブス ~ にっちもさっちも、どーにも ウヮオ!

ゴム紐の輪っかを使った、何の意味もなさそうだが実に印象的なパフォーマンスと 「♪にっちもさっちも どうにもブルドッグ ガゥ!」 という、これまた何の脈絡もないが極めて印象的なキメ台詞で、 まるっきりキワモノのような扱いのこの表題曲だが、 楽曲とし…

『喝采』 ちあきなおみ ~ タイトルがいいよね。曲の最後に拍手が聞こえてきそう。

いつものように──Macugaマクーガ ・Arekeyアーキー (誰?) ※意味はありません まったく意味の無い雰囲気だけの上の一文はともかくとして、 『喝采』といえば、コロッケの物まねヅラばかりが脳裏に浮かんできていけない。 ちあきなおみが比較的若く引退した…

『アンコ椿は恋の花』 都はるみ ~ 生きている島に負けじと、声を響かせる最高の楽器

個人的な話題からで恐縮だが(いつものこと?) 初めて火山というものを体感したのが、1986年の伊豆大島三原山の噴火だった。 授業中、突如「バーン」という激しい音とともに発生した地震に、教室は騒然となった。 その後、間をおいて幾度となく激しく窓をバ…

『月光』 鬼束ちひろ ~ 陽の光をわずかに映し、地上をかすかに照らす存在

やべぇ。出だしから歌詞をすごい勘違いしてた。 「♪ I am the last child」(私は最後の子ども)だとばかり思っていたのに、 正しくは「♪ I am God's child」(私は神の子)だったらしい。 どっちにしてもえらく大層で印象的な歌い出しであることに違いはな…

『Pride』 今井美樹 ~ コワモテ兄ちゃんの乙女な一面をどう扱おうか

いったいぜんたい、どのツラ提げて作詞・・・作曲 布袋寅泰。 あのコワモテのあんちゃんが、よりによって 「♪私は今 南の一つ星を見上げて誓った」だなんて、、、 決してヒトを顔面だけで判断するものではないが、 普段のあの、あからさまに作ったキャラクタ…

『渡良瀬橋』 森高千里 ~ 素直な音色を奏でる地名オタク

表題曲の前年にも、『ロックンロール県庁所在地』(1992年/※試聴環境がないようです by)という、 タイトルからしてイカレた楽曲を本人の作詞・作曲で発表*1しているくらいなので、 森高千里は、おそらく地図・地名のマニアの類なのだろうと推測する。 九州出…

『もう恋なんてしない』槇原敬之 ~ 残された最たるは、モノではなく強迫観念

以下に記載するのは、表題曲の場面に至る前の出来事を、思いめぐらせてみたものだ。 こういうのは単なるイタい妄想ともいう。 【もう恋なんてしない──前日譚】 「・・・私がいないと、あなた一人じゃ何にもできないんだろうけど、せいぜい頑張ってね。」 い…

『抱きしめてTONIGHT』 田原俊彦 ~ ぎこちないラテンのリズムで何様目線

一番の疑問点は、これって誰の視点?ということだろう。 人知れず悩みを抱える相手に対し、 「♪悩み事を隠すの、案外下手だね。」と声をかけた、 その視点の主あるじとは一体? ◇仮説 1 【恋人(彼氏・彼女)】 これが一番仮定しやすい、視点の主だろう。 …

『星空のディスタンス』 アルフィー ~ 照れ屋なのか奥ゆかしいのか。ただ図々しいのか。

ジ・アルフィー。 そのスタイルからして、変なバンドとしか言いようがない。 なんといっても、「事実上」のメインボーカルが一番目立たないではないか。 3人並んだ向かって左端で、サングラスの向こうに照れ屋の瞳を押し隠して、 おとなしそうにチョコンとし…

『春なのに』 柏原芳恵 ~ 青い春の空に消えた、あっけない幕切れに

温度差の描写が見事。 送る側である主人公──おそらく在校生だろう*1──と、 卒業していく彼との、単純な別離の歌と捉えることもできる。 というか、ふつうはそう捉えるだろう。 しかしどちらかというと、自分がこの曲から受ける印象は、 おかれた立場の違いか…

『日立の樹』ヒデ夕樹・朝礼志 ~ この歌なんの歌 気になる歌 見たことのあるCMだ!

「♪この木なんの木 気になる木 見たこともない木ですから 見たことのない花が咲くでしょう」 言わずと知れたCMソングの雄である。「この木なんの木」こと『日立の樹』。 CMソングをはじめ、映画やテレビ、舞台などのタイトル曲やサウンドトラックなど、 何か…

『ドリフのズンドコ節』 ザ・ドリフターズ ~ カバー王者、ドリフのキレッキレソング

カバーソングの王者といえば、ザ・ドリフターズだと思っている。 もちろん、この稿における「ザ・ドリフターズ」とは 日本一のコメディーグループ、いわゆる「ドリフ」のことで、 『ラストダンスは私に』(1960年/※試聴環境がないようです by)などで知られ…

『修学旅行』 舟木一夫 ~ 修学旅行の想い出は、やっぱ場所より人と出来事よ

懐メロ特集で必ずと言ってよいほど出現する 「♪ぁ・あ~ぁ~ぁ~ぁ~高校三年せ~」に、 『高校三年生』(1963年/※試聴環境がないようです by )はもう耳にタコよ、 という自分のようなひねくれた輩には ぜひ、『修学旅行』をおススメする。 『高校三年生』…

『軍艦行進曲』 日本海軍 ~ あっけらかんと、守備重視のカウンター戦法

「♪キン・キン・キンタマリンの ナ・ナ・フ・シ・ギ!」 いきなりこんなんでスマンスマンスマン。 ご存じ「軍艦マーチ」こと『軍艦行進曲』だが、 自分が小学生のころ、こんな替え歌が流行っていたのだ。 そんな替え歌が通用するほど、 昭和生まれの小学生に…

『ミュージックアワー』 ポルノグラフィティ ~ ありそうでなかったリアルシミュレート

ああ、なんだかこの曲、唯一無二感がすごくない? 妙にリアルな架空のラジオ番組をでっちあげて*1、 ト書き(ナレーション)やモノローグ(心の内の声)の一つも用いることなく、 番組のはじめから終わりまでを、シミュレート再現するというもの。 実に本物…

『涙の天使に微笑みを』原由子 ~ 本当に自分の記憶違いなのか。いまだに世界を疑っている

かつては、タイトルや歌い手を間違えて覚えていたために いくら探しても見つからない曲、というものが存在しえた。 ネット時代の今日では、些細な手がかりであっても おおよその情報は(誤情報も含めて)ググって得ることができるが、 それ以前は、その方面…

『CRUCIFY MY LOVE』 X JAPAN ~ ニホンゴで歌わんかいっ

この曲に限らず、日本市場向けの作品であるにも関わらず 英語詞だけで構成されている曲は、古くからいくつか存在する。 つのだ☆ひろの『メリー・ジェーン』(1971年/※試聴環境がないようです by )をはじめ、 『モンキー・マジック』(1978年/※試聴環境がな…

『息子』奥田民生 ~ エア息子とロマンチ母ちゃん

10代の頃、どういうわけかこの曲が大のお気に入りだった。 サウンドだけでなく、この歌詞世界にしてやられていたような気がする。 くだけた口調で、無限とも錯覚できる世界の大きさと、人生の可能性を語る、 そのアベコベさにだ。 「♪半人前が いっちょ前に …

『新しいラプソディー』 井上陽水 ~ ”I Love You”の最強呪文が解き放つ夢幻の世界

「困るんだよな、こういうの。」 いかにも嫌味な上司が言いがちな感想を持ってしまうほど、困る。 なにが困るって、そりゃぁこういう、さりげなくていい曲ってのは、 言葉で説明がつけられないから、本当に困るのだ。 もう、聴いちゃって聴いちゃって。 いち…