ひとつひとつの要素を見ていくと、
まったくと言っていいほど、いいところが見当たらない。
終始低い声でぼそぼそ歌うし、
単調で盛り上がりに欠けるし、
未練たらたらの失恋ソングだし、
歌い手のビジュアルもいまひとつパッとしないし。
だのに、なぜここまで、「いい歌」となって
さらに、2か月以上にわたってオリコン1位という大ヒットになったのか?
正直永遠の謎だ。
メロディーに至ってはまさにお経さながらで、
ひょっとすると、全ての歴代オリコン1位曲のなかで
もっとも音域が狭く、もっとも最高音が低い曲なのではないかと
勘ぐっている次第。検証したことはないけど*1。
あまりに単調なためだろう、途中で転調を試みているが、
多少キーが上がったところで低いものは低い。
ただ、リズムがすこぶるいい。
イントロのエレキギターに続く、ダダ!の2音にゾクゾク来る。
そのリズムに、ルーズなボーカルがかぶさる。
もしかしたら、これが
日本のメジャーシーンで、ルーズがオシャレに転化した
最初の出来事だったのかもしれない。
名曲・聴きドコロ★マニアックス
拍の頭になぞ、決して音を出してやるもんか。
まるで地雷でもあるかのように、4拍子の1拍めを
ほとんどすべての音が避けている。
出したとしてもおそるおそるという感じで、
本来ここにあるべきバスドラムの音も聞こえない。
というより曲全体通してバスドラムを鳴らしていない??
素直なタイミングでボーカルが入るが
どこか落ち着かない感じで力無げだ。
サビがシャキッとせず、だらけて聞こえるのは、
おそらくこの出だしに原因があるのだと思う。
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
「ルビーの指環」
表記としては指輪ではなく指環。まあ、比較的どうでもいいことだが。
ルビーは7月の誕生石なので、「貴女」は7月生まれなのだろう。
「留守番電話」というものが普及していなかった当時、
日本の多くの子どもが、しりとりにおいて数少ない
「る」の返し手を一つ得たのだった*3。
「曇りガラスの向こうは風の街 問わず語りの心が切ないね」
曇りガラスの向こう=世間。風の街=冷たい。
問われてもいないのに、世間は冷たい、と
ひとり感じてしまう切なさ。ひきこもりの心境か。
「枯葉一つの重さもない命 貴女を失ってから」
命→失う、で勘違いしそうになるが、「貴女」は死んだわけではない。
命は主人公の命のこと。
女にフラれてから、抜け殻になってしまった主人公。
自分の命の価値も見失ってしまったようだ。
「ベージュのコートを見かけると 指にルビーの指環を探すのさ」
手を見るということは、
後ろ姿を見かけると、ということだろう。
正面から見ているのであれば顔を見るだろうからね。
『駅』(竹内まりや/1987年/ by)と同じようなシチュエーション。
しかし、あの時返されて受け取ろうとしなかった指環を
彼女がまだしていてくれているという
望みを持ち続けるなんて。なんてことだ!
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