日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見による日本100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『落陽』 山田パンダ ~ 知る人ぞ知るパンダの足跡は、カリスマに踏み潰された

誰でも知っている、当然。

・・と思っていたことが、

ふとした拍子に、実は誰も知らなかったことを知る、

なんてことが時々ある。

 

それはドラマだったり、漫画、ゲーム、映画、

ファッション、また子供時代の遊びに至るまで

ありとあらゆるところに存在する。

 

自分の周りでは一大ムーブメントだったはずなのに、

後になって、ほかのコミュニティーで話題に出したところ、

まるでそんな存在自体がなかったかのような、

あっても「そういえば、そんなこともあった気がする」程度の

反応が返ってきて、正直ヘコむ。

 

 

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シングルジャケット/珍しく自前の写真画像より*1
落陽

落陽

これは吉田拓郎による後年の再録バージョン
  • 作詞 岡本おさみ、作曲 吉田拓郎、編曲 瀬尾一三
  • 1976年(昭和51年)9月25日、フォーライフレコードより発売
  • オリコン最高位53位(年間順位圏外)
  • 歌詞はうたまっぷへ:落陽 山田パンダ 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:落陽 (吉田拓郎の曲) - Wikipedia
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    山田パンダの『落陽』*2は、

    もしかしたらそういう類のものなのかもしれない。

    おそらく、広く世間に最初に認知されたのは、こっちの『落陽』だったはずだ。

    吉田拓郎*3の『落陽』は、ファンの間で知られていた名曲、

    というポジションだったのだと思う*4

    しかしいかんせん、二人の露出の多寡の差が大きすぎたのだろう。

    次第に、本家でもある拓郎の歌唱の方が認識され、パンダの歌唱は忘れ去られていった。

     

     

     

    お世辞にも歌唱力がいいとは言い難い。

    終始ダブルトラック*5のボーカルで、サビで力強く盛り上げるわけでもなく、

    ただ淡々とメロディーをたどっている。

     

    それがどうしたことだろう。

    「賭けるものなどない」日本という国の在り方に反抗し、

    仲間とともに反発したり、逃避したりと、時代のなかであがなう若者たち。

    そのなかの「さまよう」若者が、再び自分に向き合おうとする。

    そんな鬱屈とした叫びを内包した曲を、

    何ともソフトに仕上げているではないか。

     

    まるで「あのじいさん」に関する笑い話かのようだ。

     

     

     

    もしかしたら、「百名曲」に選ぶことになるうち

    もっともマイナーな一枚になるのかもしれない。

    しかし何とも言いがたい魅力を秘めている。

     

     

    もちろん、今の時代、

    ネットで検索すれば「同志」はいくらでも見つかる。

    山田パンダと、その『落陽』を知る人も大勢見つかる。

     

    それでも、当時からカリスマとして知られ、今なお現役の

    吉田拓郎の曲としての評価のほうが高いのが、

    正直もどかしい。

     

     

     

    名曲・聴きドコロ★マニアックス

    「苫小牧*6発仙台行きフェリー」。

    実在の地名を絡めているところは、ご当地ソングの態をなしているが、内容的には、べつに苫小牧である必要も、仙台である必要もない。 名護発鹿児島行のフェリーでも構わないわけだ。

    ただ一つ必要なのが、最果ての地から、少しだけ都に近づくという点のみ。振り出し→現実に戻る第一歩といったところか。

     

    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    「テープを拾って」

    船での出航の時に、船(旅立ち)側と波止場(見送り)側で紙テープ(粘着じゃないやつね)をたがいに持って、ロールがなくなるまで伸ばす習慣*7があった。

    船側から、紙の端をもったたまロールを波止場に投げ、波止場側ではその芯をもって、船に引かれるままにテープを繰り出す。テープがなくなったら、つながりが切れる。

    紙だから簡単に切れて船の走行に支障をきたさないのだろうが、危険は危険なので現在ではあり行われない。

     

    「サイコロころがし」

    ここでいうサイコロの博打は、おそらく「チンチロリン」だと思われる。親が振ったサイコロの出目を予想する「丁半」「大小」などとちがい、自らが振ったサイコロの目で勝負する。

    「♪振り出しに戻る」という歌詞があるために双六と勘違いされがちだが、すごろくのような時間なかかるもので博打する奴はあまりいない。

     

     

     

    現在入手可能な収録CD/視聴可能
    フォーク黄金時代 40-THE GOLDEN AGE OF FOLK SONGS-

    フォーク黄金時代 40-THE GOLDEN AGE OF FOLK SONGS-

    やっぱ生で聴きたい人は、ライブ・イベント情報&チケット

    ※該当曲を聴ける保証はありません。(とくに後者)

     

     

     

    脚注

    *1:この曲はなかなか収録しているCD見つからず、ワゴンセールのEP(シングルレコード)で入手した

    *2:かぐや姫の第3の男、という立ち位置からして微妙な、山田パンダ(山田つぐと)ソロ転向後のヒット曲のひとつがこれ。

    *3:当時の芸名は「よしだたくろう

    *4:レコードもライブバージョンしか出ていなかったからね

    *5:ボーカルを2重に重ねどりすること。この場合は線の弱さを補っている

    *6:北海道の工業都市。札幌に向かう太平洋側の湾口でもある

    *7:『おんなの出船』(松原のぶえ/1979年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード)などでも描写がある。